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神羅学園ミッドガル校特別課外活動部

オリエンテーリング

Black Lapis/mya様 より、相互リンク記念に頂きました。

 

※ご注意: 18禁。Black Lapismya様から頂いたもの。

「高校生パラレル・体育館倉庫プレイ・鬼畜・でも最後は超ハッピーエンド!」

というMOCOCOの変態リクエストにお応えしてくれました!!

 

 

ザックスは焦っていた。

昨日の突然の一方的な通告、とにかく真偽を確かめなければ……それだけを考えて走って向かった先は

保健室、体育館の裏を回れば近道だ。

駆け抜けようとしたとき眼の端で特徴的な見事なブロンドの頭を見たような気がしたが、そいつのことばかり

考えているからだと否定して保健室に急ぐ。

「セフィロス!何で、学校辞めるんだ!」

……相変わらず騒々しいな、ザックス。いつも言っているだろう。平常心……だからおまえはいつも肝心な

ところでダメなんだ……。」

……あんた以外負けたことないよ……。」

気勢を削がれてぶすっとしたまま前の椅子に乱暴に座る。

セフィロスは珍しく苦笑いを浮かべ、ザックスの前にコーヒーを置く。

「ほとんど片づけてしまったからな……。インスタントだぞ……。」

                                   ********* 

 ここは、ミッドガルの巨大コンツェルン神羅カンパニー直属のハイスクール、といっても中学から大学までの

一貫校である。そしてここは、その校内の保健室であり、前で大騒ぎしているのはそこの剣道部キャプテンの

高校三年生、ザックス・フェア、大騒ぎされているのは昨日までここの保険医であったセフィロス。

「なぁ噂は本当なのか?あんたが生徒に手を出して、クビになったって話……。」

 大声で喚き立てるザックスにセフィロスはため息をつく。

……
こいつに冷静さが加われば無敵なのだが……

 瞬間湯沸かし器……と思わずつぶやく。

……まぁ当たらずとも遠からずってとこだ……。」

……まさか、あんたがそんなこと……。」

「まぁ、現実は小説より奇なりってな……。」

 ザックスは、思いもしない方向に話が行くので本当に焦っていた。

……剣道部はどうするんだ?顧問なしで……全国大会まであと3か月切ってんだぞ……。」

……大丈夫だ……。お前が冷静に対処さえすれば負けるわけはない……。次の顧問も、もう頼んである。

覚えてるか?社会科の教師、アンジールが引き受けてくれた。」

「げっ、あの生活指導の説教ジジイ。」

「そう言うな、腕は確かだ。」

 ザックスには全く納得がいかない。

 ここ、神羅ミッドガル学園は、神羅グループの学校の中でも特に優秀な者が集まるところで、みな一芸に

秀でている。

 剣道部は創部以来常勝で、特にここにいるセフィロスは負けたことがなかった。

そのセフィロスが最高学年の頃、中学部に入学したザックスはメキメキと頭角を現し、第2のセフィロスと

呼ばれる実力者であった。最もセフィロスに勝ったことがないのが癪の種だが……

 セフィロスは、大学卒業後インターンを兼ねてここの保険医となり現在2年目である。

 当然の如く剣道部の顧問、指導者として落ち着いたセフィロスに師事し、全国大会の連覇に向けて練習中の

ザックスたちにまさに青天の霹靂とも言える話が伝わった。

 セフィロスが学園を辞めるという……いや正確には辞めさせられるという……

 ザックスの友達の情報通、カンセルに言わせるとどうも女生徒に手を出したと言う。

「妊娠させたって噂もある。」

「えっ?セフィロスが???」

……そうだ……。何でもその子、この世のものとは思えないほどの美人らしい。中学部1年の……。」

「中学部1……??13歳じゃないか……?まさか……。あの・・・・・・・?」

 ザックスは目をむく。
 
……
それって犯罪じゃ……

 ここミッドガルには青少年育成条例があって、15歳以下のものと性交渉をもった大人は厳罰に処せられる。

軽くてミッドガルからの追放、重い場合は禁固刑もある。


……お前でもやっぱり知ってるんだな。ご名答、B組のクラウディア・ストライフ……。例のクールを通り越して

のアイスビューティ」

 ……クラウディア・ストライフ?ああ、そんな名前だったな。あのプレジデント肝いりの特待生制度第1号の……

 神羅ミッドガル学園は、「次世代を担う幹部候補生を育成する」をスローガンに一芸に秀でた人間を

集めている。身分、貧富にかかわらずということで上位成績者には、入学金と学費の免除の特典がある。

 武道、学業、その他いろんな分野で特典を受けた生徒がいるが、一昨年学園を訪れたプレジデントの

「女性の場合、美人ということも才能の一つではないかという一言でできた項目が、「容姿端麗」である。

どこぞのセクハラ委員が眉を吊り上げて怒りそうな項目ではあるが……

 とにかく、盗み撮りした写真は飛ぶように売れていると聞く、笑わない、透き通るような肌をした

ビスクドール・・・・・・・。

「抱きしめると折れそうなくらい華奢な体、目の覚めるようなブロンドの髪、いつもうるんだようなスミレ色の

……。ほんと地上に降りた天使って言うくらい清純そうな美人だぜ……。」

「その子がセフィロスと?」

……なんでも、その子、保健室に入り浸りなんだそうだ……。ベッドで居るのを見たとか、極めつけは……。」

「極めつけは?」

「セフィロスのTシャツ着て、生足で、下半身は下着姿で保健室のベッドに真っ赤な眼をして座ってたんだと……。」

 サボろうと保健室に行った奴らが股間を抑えたり鼻血を出したりで慌てふためいて出てきたとカンセルは言う。

……信じられない……。」

「セフィロスさんは、尊敬すべき先輩だけど……でもやっぱり人間だし……。」

 カンセルはそう言っていた。

                                  *******

 ザックスも18歳になったばかり、お年頃である。自分の中の獣性も時折感じることも確かにある。

 いわゆる性衝動である。

 けれどあの自身の太刀筋と同じような氷のような静、無為という言葉を体で表現するようなセフィロスが衝動の

赴くままに女の子を押し倒すなんてとても考えられない。それにセフィロスは24歳、そんな年齢でもないだろう……

 そんなこんなであわてて保健室に駆けつけたのであるが、意に反して、セフィロスは部屋の私物を片付けて

いる。学園を辞めるというし、噂の真偽についてものらりくらりとかわすだけである。

……あんたはこれからどうするんだよ。」

 ザックスの今にも泣きそうな声にセフィロスは答える。

……これからは、ジュノンで軍医をすることになった。まぁそんな顔するな。すぐまた会えるさ……

お前も軍を目指すのだろう?先に行ってるから……。」

 いつになくセフィロスは饒舌だ。

 そして少し視線を逸らすと言った。

「クラウディア・ストライフを助けてやってくれ……。」

「えっ?」

「あの子を頼む。力になってやってくれ……。」

 そこにはザックスの知らないセフィロスが居た……

                                    ******


 半ば呆然としたザックスはどうやって部屋を出てきたのかわからなかった。ただ自分が目標としてきたものが

崩れていくのを感じて体が震えた。
 ……噂は本当で、セフィロスは13歳のクラウディア・ストライフに誘惑されて、禁断の実を食べた。

そして、職を失いジュノンに追放される。それで済んだのは彼女が合意の下誘惑したからだ……

 ザックスは田舎から出てきたどちらかといえば純情な少年で、並はずれた身体能力と、それに見合う体格、

精悍な中にも時折のぞく甘い笑顔、遊ぶ女の子には不自由しないほどもてたが身持ちは固かった。

……
初めてのセックスは好きな子と……。そしてその子を一生かけて守り抜く……

 今時の中学生でも考えないようなことを本気で思っていた。
 
 中等部からの悪友レノに唆されてつい玄人相手に筆おろしした時も自分が汚れてしまったような気がして

3日間ほど落ち込んだ。
  
 今は、素人童貞と開き直っている。

 そして心ひそかに想いを寄せる女性がザックスにはいた。

 剣道部のマネージャーのエアリスである。

 大きな緑の瞳が魅力的なエアリスは同い年でありながらみんなのマドンナで、部員の誰にも靡かず平等に

接する。

……
俺が絶対一歩リードしている……

 ザックスはそう自負している。

                                   ◇◆◇◆◇◆

 半ば呆然としたザックスは先ほどは駆け抜けた体育館裏をぼんやりと歩く。ふと怯えたような嫌な眼をした

奴らがこちらを向く。

「向こう行ってろ!」

 ザックスが誰かわかっていないらしい一人が威嚇するように言う。

 もう一人があわててそれを止める。

「なんだと?」

 ただでさえ機嫌の悪いザックス、特徴的な蒼い瞳が底光りする。

 ふと鮮やかな金色が目に入る。

 そこには羽をもがれた天使がいた。

 淡いブルーのセーラー服は見るも無残に切り裂かれ、ピンクのブラジャーと揃いのスキャンティが

見え隠れする。
 
 肌にはところどころ服を裂くために使ったカッターの跡が赤く筋状に残り、血がにじんでいる。

 ただ、その天使はおびえた顔を一片も見せず、いじめられた猫のように周りを威嚇していた。

 ……クラウディア・ストライフ……

 ザックスは誰に言うともなく呟いていた。

……なんだ、剣道部のエース様か……。ボスのお気に入りを傷つけられちゃ黙っていられないってか?

でもそのボスの御威光も今日限り、その魔女のおかげでクビになったんだろ?」

 ……相手は、高等部3年のゴロツキどもか、相変わらずステレオタイプの登場だな(作者の力不足です)……

 人数は12,3人、多勢に無勢で何とかなると思ったのか……

 ザックスは非常に機嫌が悪かった。それに火に油を注ぐような言動、滅多にしないことなのだが、

そばにあった走り高跳び用のバーを手に取る。

 竹刀と比べて数倍痛い。瞬間湯沸かし器とセフィロスに言わしめるほど感情の起伏の激しいザックス、

本人は手加減したつもりだが十数分後には立っているものはいなかった。

 ザックスはとりあえず自分の上着を取るとクラウディアに投げてよこす。

「大丈夫か?」

 けれどその言葉は日ごろのザックスを知る者が信じられないほど冷たく響いた。

……放っといて……。」

 クラウディアが丸見えのブラジャーを隠しながら言った。
  
 白い肌に残る赤い筋……。見事な黄金色の髪にスミレ色の瞳。

 魔女と男は呼んだがそれほど似つかわしくない言葉はない。

 ……天使だ……

 ザックスは息をのんだまま動けなかった。

「何じろじろ見てんだ!あっちへ行け!」

 天使に似つかわしくない言葉を投げられてザックスは我に返る。

「お前なぁ……。言葉の使い方、親に習わなかったのか?」

「うるさい!あれくらい一人でどうにかなるんだ、本当なら……。こんな服着てなかったら……あとから助っ人

引き連れてきやがって!畜生!」

 天使さまはかなり口が悪いようである。

 ピンクの下着がちらちら見えて目のやり場に困る。

……そんな姿、人に見られるの厭だろう?とりあえず……こっちへ来いよ。」

 ザックスの声に、投げられた上着を肩に引っ掛け立ち上がろうとしてよろける。

……っつ。」

 どうやら足をねじったようだ。

……ほらこっちへ来い。」

 捨て猫のようにじたばたと抵抗するクラウディアを軽々と抱き上げポケットを探る。

・・・・・・・さっきまで竹刀の手入れをしていたから確か鍵があったはずだ。

 はたして体育館倉庫の鍵を見つけたザックスは鍵を開け、マットの上にクラウディアを座らせる。

 ようやく落ち着いたのかクラウディアは大きく息を吐いて小さな声で言う。

「ありがとう……。」

 思わずザックスは見惚れる……。本当にきれいな子だ……。 

南方出身のどちらかと言えば小麦色の健康的な肌をしたザックスに比べクラウディアの肌は抜けるように

白い。真っ赤に熟れた唇。

 見つめるうちにだんだん負の感情がザックスに湧き上がってくる。

 いつも憎まれ口を叩いていたが、セフィロスはザックスにとっての英雄だった。彼の舞うような殺陣が

好きだった。真剣を扱っての演舞を見たときはこの世のものとは思えないほど美しかった。そのセフィロスを

落としたのはこの目の前の天使だ。

 ふと湧き上がる獣性、ましてたった今十数人の不良を叩きのめした後でアドレナリンが体に満ちている。

 魔女と男は言った。天使のように清純で穢れを知らぬように見えるこの女は実は自分の憧れの人を

貶めたのだ。いつか肩を並べることを夢見ていた憧れの人を。

 ドンとマットにクラウディアを押し付ける。

「何を・・・・・・・。」

 言いかけたクラウディアはザックスの目を見て黙り込む。半分開いた唇はキスを誘っているようだ。

「・・・・・・・そんな顔をしてセフィロスを誘ったのか?この魔女め・・・・・・・。」

「・・・・・・・違う・・・・・・・。そんなことしてない。」

「うるさい!黙れ・・・・・・・。」

 真っ赤に熟れた唇に噛み付くようにキスをする。悲鳴とも吐息ともいえぬ声が漏れる。

ずたずたに引き裂かれたセーラー服は簡単にちぎれ下着があらわになる。フロントホックのブラはおそらく

Aカップ、ふくらみの足りない胸を触ると猛烈に抵抗される。ならばとばたつかせる足を押さえつけスキャンティ

の間から指を入れると・・・・・・・。

「お前・・・・・・・。」

 信じられないものが指に触れた。

 半ば呆然と一気に下穿きを下ろすとそこには、自分とはまるで違う幼い、けれど明らかに女性には付いて

いない男性性器が芯を持ち始めていた。

 驚きのあまり固まったザックスの一瞬の隙を付いて下腹部を蹴り上げクラウドは走って逃げようとした。

が、くじいた足ではそれもままならない。2,3歩歩いただけで転んだ。何も付けていない下半身があちこち

破れたスカートから覗く。
 
 そしてその奥に立ち上がりかけた幼い茎・・・・・・・。

 プチンとザックスの中の何かが切れた。

 女性経験すらほとんどないザックスだが本能のままにクラウディアを蹂躙する。

 動けないように後ろ向きに押さえつけ、両足を大きく広げる。もうクラウディアは恐怖のあまり声もでない。

ただ震えている。

 自分の唾液で湿らせた指を中心に突っ込む。硬く閉じたそこは指を硬く拒む。そこを無理やり押し広げる。

 1本、2本、狭く硬い。

 「いたぁい、止めろ!どうしてこんなことするんだ。」

 指を何度も拒まれ、拉致があかないとザックスは内腿からなめ上げ舌で硬いそこを突く。

 「止めろ!汚いよ。そんなことするな。ああっ!この変態。」

 自分の下で泣き叫ぶクラウドを見てますますザックスは興奮する。

 ・・・・・・・そうだ、どうせこんな清純な顔をしてここでセフィロスを何度もくわえ込んだんだ。

「ひっ!」

 3本目の指を無理に突っ込まれたとき、少し裂けたのか血のにおいがする。それがますますザックスの

獣性に火をつける。

狭く熱く指を締め付けるそこ、股間に血が集まってくる。どうしようもなく興奮している。

一方、クラウドは、必死に抵抗する。

指を増やされ痛みに身をよじれば太ももに熱く硬いものが触れた。

 それがザックスのペニスだと気付いてクラウドは身震いした。

 大きな掌で口をふさがれる。

 そして後ろから硬く熱く指の何倍も質量のあるものが突き入れられる。

 ・・・・・・・痛い!

 叫びは掌で封じられ、涙が頬を伝う。

 信じられないほどの痛みと熱に吐き気がこみ上げる。
 
 結合部からはぽたぽたと血が落ちる。

「ん・・・・・・・、くっ・・・・・・・うんっ・・・・・・・んっ・・・・・・・。」

 誰にも触れられたことのない狭い通路を切り広げるようにペニスが前後に動き出す。

・・・・・・・痛い、痛い・・・・・・・止めて・・・・・・・。

 外に出せない悲鳴、涙に濡れた瞳で振り返ると視線が絡む。

 漸くザックスは口を覆った手を離しそのまま幼い茎に手を滑らせる。

 初めて男を受け入れた痛みにすっかり萎縮している自慰すら知らないようなピンクの幼い茎を上下に扱い

痛烈な快感を覚えさせる。

「ザックス、離せ。嫌だ・・・・・・・いやぁ・・・・・・・。」

もう本能の赴くままに快楽をむさぼるザックスにはクラウドの悲鳴は聞こえない。

 首筋に噛み付き舐めあげる。

 狭いそこが吸い付くように締め付ける。ものすごい快感だ。

 ザックスの大きな熱い手であおられるクラウドも初めての強烈な快感にザックスの手を濡らし始める。

「いやぁ・・・・・・・助けて・・・・・・・ひっ・・・・・・・。」

 前からの快感、後ろからの痛み・・・・・・・痛みがだんだん快感に変化していく・・・・・・・。

 クラウドはザックスの掌に射精した。

 覆いかぶさって腰を激しく前後に振っていたザックスもその締め付けに低くうめいてほとばしった。

 体の中にたっぷりと熱いものを注ぎ込まれた感覚・・・・・・・。体が小刻みに震えている。

 そして自分の中で暴れまわっていたそれが徐々に存在感を失い小さくなって引き抜かれた。

 ごぼりっと大きな音を立ててそれは引き抜かれ太ももを生暖かいとろりとしたものが伝う。

 血と精液のにおいが鼻に突く。

 後ろからどんどん生暖かいものがあふれ、内ももを伝う。

 「・・・・・・・ごめん・・・・・・・。」

そんな声を遠くで聞きながらクラウディアは意識を失った。

                               ◆◇◆◇◆◇◆◇

クラウディアは気がつくと保健室で寝かされていた。

目の前を銀の糸が通り過ぎる。

なんだかひどい夢を見ていたような気がする。本当にひどい夢を・・・・・・・なんだかひどく眠い。

疲れている・・・・・・・眠い。

「気がついたか・・・・・・・?」

 頬をなでるのは、見事な銀髪、ぼんやりとした視界が焦点を結ぶ。

……セフィロス……先生……。」

……治療した。傷は塞がったし、痛みもないはずだ。ただ、それに伴う体の消耗はどうしても消せない。

2,3日辛いだろうが……あとは休養だけだ。」

……ありがとうございます……。」

 セフィロスは、衝立の向こうに目を向ける。

「出て来い。バカ者……。」

衝立の向こうには真っ青な顔をして身を縮めたザックスがいた。

 クラウディアのベッドに近づくなり土下座し、床に頭を擦り付けた。

「済まない……。どんな罰でも受ける……。俺、どうかしてた……。」

 セフィロスが後ろから冷たい声で告げる。

……ザックス、お前もう、18歳だったな……。ミッドガルの青少年育成条例は知ってるな?」

……はい……。」

「強姦は最も重い。禁固刑がつくぞ……。」

……覚悟してます。」

「試合はどうする?」

……すみません……。部員のみんなにも言い訳のしようがないけど……したことに対する罰は受けます……。」

 ザックスは顔をあげてベッドのクラウディアを見る。

「ごめんな、怖かったろ?どうしてこんなことしたのか俺もわからない。どんな罰でも受ける。許してくれとも

言わない。ただ、早く元気になってくれ……。」

 いつもより血の気がなく、さらに白くなった顔は人形のように表情がない。それがまた近寄りがたいほどの

美しさだ。

 とても男だなんて思えない・・・・・・・。

……もう、いいよ。あんたは俺を2度も助けてくれた。だからもういい。」

「えっ?」

「さっき体育館裏で、そしてもう覚えてないだろうけど・・・・・・・ずいぶん昔に・・・・・・・。」

・・・・・・・そういえばこいつ、俺を見てはっきりザックスって名前を読んだ。

「・・・・・・・あんたに逢いたくて田舎から出てきた。願いは叶ったし・・・・・・・もういいよ。見てのとおり男だから

強姦されても妊娠するわけじゃないし・・・・・・・。」

・・・・・・・願いが叶ったって?そんな奴に俺は何をした?・・・・・・・最悪だ。

クラウディアは今度はセフィロスのほうを向いて告げる。

「先生、強姦って、親告罪だったよな。俺が口を噤めば何もかもなかったことにできる……そうだよね?」

 セフィロスは黙ってうなずく。

「もういいよ……。俺、覚悟してた。遅かれ早かれ誰かにこういう目に合うって……。だからもういい。」

 セフィロスは身を起こしたクラウディアの背中に手を回しベッドに寝かせる。ぎこちない体の動きにザックスは

今更ながら自分のしたことを思い唇を噛む。

……もう、休め……。わかった、悪いようにはしない……。」

 ザックスは、ベッドの下で正座したままクラウドをまっすぐ見る。

……クラウディア……。」

……おれの名前、クラウド……だ。悪いけどもう、出て行ってくれないか?あんたの顔見たくない。」

……クラウド……。」

 クラウドと名乗ったその少年は頭から布団をかぶってしまった。

 まだ何か言いたそうなザックスをセフィロスは目で出て行けと合図した。

 ザックスはもう一度クラウドのほうを向き何か言いたそうに唇を動かしたが、止めてもう一度頭を下げて

出て行った。

                                   *******

……いいのか?」

 セフィロスがベッドのクラウドに話しかける。

……いいんです……。俺っ……。」

 クラウドは肩を震わせて泣き始めた。

……あの馬鹿に会いたい一心でここまで来たのだろう?」

……いいんです……。」

 やがて静かな部屋に嗚咽が響いた。

                                  ******* 

 クラウドは、私生児だった。ニブルヘルムという田舎から出てきた母は、持前の美貌で神羅グループ幹部の

秘書に抜擢されたが都会で生き抜くにはあまりにも世間知らずだった。上司に愛され、半ば強引に愛人という

立場に座らされ、やがてその妻の知るところとなり、わずかな手切れ金とともに故郷に帰ってきた。

 妊娠したことが判ったのは、故郷に帰ってきてからだった。

 養育費を要求するということすら思いつかない世間知らずの母は、私生児を生んだ女として蔑まれながら

排他的な田舎でそれでも明るく暮らしていた。だが、生まれた子供はそうは行かなかった。

 なまじ容姿に恵まれたため余計にいじめの対象となった。体格的にも恵まれなかった。

 ただ、日頃からいじめられ、暴力の対象となり続けたせいか、喧嘩のやり方だけはうまかった。


 10歳の時にミッドガルに出てきたのは一目父に会いたかったのと都会を見てみたかったからだ。

 けれど、人はいいが養子で妻に頭の上がらない気の弱い父は、クラウドに援助どころか会うことさえ叶わず、

部下に帰りの運賃をことづけてクラウドを追い出した。

 途方に暮れたクラウドは、都会の洗礼にあった。

 ……所持金を奪われ、放り出されたのだ。

  夕暮れが近づき、今度はもっとたちの良くない連中が現れた。
 
 家出少年と目されたクラウドを捕まえて売り飛ばそうという輩だ。

 クラウドは必死で逃げた。けれど子供、露地で追い詰められ、万事窮すというタイミングで助けてくれたのが

ザックスだったのだ。

 そのころ中学生チャンピオンとして数多くの大会ですでに名をあげていたザックスは、持っていた竹刀で

暴漢を撃退し、クラウドの事情を聞いて憤慨し、一緒にいた仲間からカンパを募り帰りの旅費を工面してくれた。

……いいんですか?」

「いいって、どうせ、優勝記念の打ち上げでもやろうって、先生やらコーチやらから巻き上げた金だし……

夜行で早く帰れ。」

 そう言って暴漢を撃退した竹刀を渡す。

「まぁ、少しは身を守る足しにはなるかな……、持ってけよ。なぁお前……都会は怖いか?」

……うん。……でも、見たいものもいっぱいある……。」

「そうか、またいつか出て来いよ。そんときは案内してやるよ。お前根性あるよ。なんなら神羅学園に来いよ。

一緒に剣道やろう。」

 その時渡された竹刀はクラウドの宝物だった。

                                   *********

 神羅学園のザックス、これだけの情報でもザックスはすぐにどんな人物か調べることはできた。

それくらいの有名人だった。

 無敗を誇ったセフィロスのご秘蔵っ子、向かうところ敵なしの中学生、セフィロスの剣技を静とするなら

こちらは動、剣道界の期待の星であった。 

 自分の家の経済状態を考えるならミッドガルに、私立に進学なんてとんでもない、まして神羅学園はセレブの

集まる学校だ。けれど特待生制度がある。

 クラウドは必死に勉強した。

 成績は優秀だった。運動能力も遜色ない。そんなクラウドが特待生を落ちたのは単に体格だった。

 剣道部に固執したのがいけなかったのかもしれない。

 ……入学金免除、学費半分……

 学費半分……が出せないのがクラウドの事情だ。

 息子の気持ちを知った母は必死で働いた。

 「学費半分にしてくれたんだもの、がんばれるわ……。」

 そんな母が過労で倒れた、あの例の、特待生の話が耳に入ったのはそんな時だった。

 授業料、寮費完全免除以外に広報活動の見返りとして給料が出る。まさに破格の条件だった。

 ……ただし、女。

 何度も女の子と間違えられる貧弱な体型、何度も鏡で自分の体を映してみる。

……
中学生の間なら何とかなるかもしれない。そして3年の間にお金を貯めてなんとか高等部に入れれば……

 子供の浅知恵と言われても仕方ないかもしれない。がこうしてクラウディアは誕生した。

                                    **********

 注目されるものには有名税が付いてくる。ましてそれが容姿で、世間一般から美少女とのレッテルを張った

ことになれば余計である。クラウドは本当にひどいいやがらせを受けた。

 思えば小さい頃から何度も何度もいろんないじめにあったことでそれなりの覚悟もあったし対処法もわかって

いた。
 けれど、いじめは生易しいものではなかった。いい加減心が折れそうになった頃、ある出来事をきっかけに

セフィロスにかくまってもらえるようになった。

 しばらくは久しぶりに平穏な日々を過ごすことができた。がその結果ひどい噂が流れ、セフィロスを

辞めさせる事になったのは想定外だった。

……お前のせいではない。いずれ軍に勤務することは決まっていたのだ……。」

 セフィロスは言う。そうかもしれない。でもザックスが噂を信じて憤慨していると聞いて心が痛かった。

 体の傷はセフィロスが治してくれた。けれど魔法では心の傷はいやしてはくれない。いくらフルケアを

かけてくれたところでクラウドの心の傷は深く残っている。

……
ニブルヘルムへ帰ろう……

  涙に濡れた瞳をぼんやりと北のほうに向けて、クラウドは思った。

                                 ◇◆◇◆◇◆

 「ザックス、何考えてるの?」
 
 保健室から追い出されたものの、家に帰ることもできず校内をうろうろしていたザックスに声を掛けたのは憧れ

のマドンナのはずのエアリス。

 だが、今のザックスはエアリスの顔さえまともに見れない。

「えっ?ああ……なんでもない……。」

「ふぅん?なら良いけど……

 エアリスは、中庭の階段に腰掛けたザックスの隣に座る。

 本当なら願ってもないシュチュエーション、けれどもザックスの気持ちは晴れない。

「ザックス、私ね、誰にも言ってないけど進学しないの……。」

「えっ?」

「うん、だから大学行かないの……。ちょっと事情が出来て……。」

 どういうことだろう?いやそんなことよりどうしてエアリスは俺に言うんだろう?それって……俺に何か……

例えば引き止めてほしいのか?それとも……

 ザックスは、ゴンガガという田舎出身である。が実家はクラウドと違って事業に成功していてかなり裕福で

ある。

……
つまりは、嫁に貰ってほしいのか?それとも援助してほしいのか?

 ザックスはエアリスの顔を見ながらため息をつく。

 これが昨日なら小躍りして相談に乗って……セフィロスのところに行こうとか、クラウドに問い詰めようとか

いうのもすっ飛んでいたかもしれない。

「失礼ね、人の顔見てため息なんて……。」

 エアリスは笑う。

……エアリス、俺な、好きな人が出来たみたいだ。」

「へぇ……。誰だか当ててみましょうか?」

 エアリスの緑の目がいたずらっぽく輝く。

……
自分だ、なんて言われたら最悪だ……。どうしよう?

 おどおどと俯くザックスの肩に手を置いてエアリスは言う。

「うそ、うそ……。でもザックス本当にその人好きなんだね。だって今のようなザックス初めて見たよ。」

「うん……。ごめんエアリス。」

「?何で?」

「なんてって……まぁいいや。でもダメなんだ。そいつにひどいことしちまった。もう逢いたくないって言われた。」

「ふぅん……。」

「本当にひどいことした。謝ってすむようなことじゃないんだ。でも……。」

「でも、好きなのね……。じゃあ誠心誠意謝ってみたら?」

「そんなんじゃ済まないようなひどいことを……。」

……じゃあ、どうするの?ザックスらしくないわね、誠心誠意謝ってみなさいよ。それでだめならその時

考えればいいのよ。」

……そうかなぁ……。」

「そうよ、当たって砕けろよ。」

「いや……砕けたくないんですけど……。」

 エアリスはふふっと笑う。

「なーんか、私が相談したかったんだけど……いつの間にかザックスの相談受けちゃった。」

「あっごめん、ごめん、どうして大学行かないの?」

……それはね、あ、もう時間切れ……。また今度話をするわ。とにかく頑張れ、人の心を動かすのは誠意しか

ないわよ!」

 エアリスは笑うとザックスのツンツンした髪を触る。

……今日は、体育館の裏から寮に帰るといいことありそうよ。」

 エアリスは不思議な子でいつもおまじないのような言葉を発する。試合前みないつも勇気つけられたものだ。

そして不思議とそれは当たるのだ。

 手を振る笑顔のエアリスと別れて言われたとおり体育館裏に行く。すると体育用のジャージに着替えた

クラウドがふらふら歩くのが見える。こうして見るとどう見てもクラウドは男の子だ。

どうして気がつかなかったのか。

 しばらく逡巡したが、クラウドがよろけるのを見て駆け寄った。

……クラウド。」

 その時のクラウドの表情、一瞬嬉しそうな顔をしてそしてすぐさま無表情になる。

……やっと名前呼んでくれたな……。」

  よろけたクラウドを抱きかかえるようにする。一瞬体がこわばるのをザックスは感じた。

……ごめん、謝って済むことじゃないけど……。」

 クラウドはさみしそうな顔をする。

……もういいよ。最初っから無理だったんだ。」

 クラウドは、そっとけれどきっぱりとザックスの腕を外す。

「ザックス、俺、ニブルヘルムに帰るよ。」

「クラウド……せっかく入学したのに……。」

「不正入学だよ。罰が当たったんだ。いろんなつらい思いをした。セフィロス先生にも迷惑掛けた。

やっぱり事実を捻じ曲げればひずみは出る。これくらいで済んでよしとするよ。」

「クラウド……。」

 再びよろけたクラウドをもう一度支えようとしたザックスの腕をクラウドは軽く払った。

……さよなら……。」

 スミレ色の瞳に涙が盛り上がる。その目を見たときザックスははっと思いだした。

……お前、あの時の……。」

 クラウドの目が大きく見開かれてやがて涙が零れ落ちた。

……思い出してくれた……のか……。」

「クラウド……って言うのか、名前もお前言わなかったから……。覚えてるよ、どうして忘れてたんだろう……

一緒に剣道しようって……そうだよな……やろう……一緒にやろうよ。今度こそ間違わないから……。」

 クラウドはさみしそうに笑う。

「もう、無理だよ……ザックス、俺、今まで必死で頑張ってきたけど、心が折れちゃった。もう頑張れない。

だから……。」

 スミレ色の瞳から涙がぽろぽろ零れる。

……尻尾を巻いて故郷に帰るよ。」

「クラウド……。」

 クラウドはおぼつかない足で精いっぱい走る。

 ザックスはそんなクラウドを追いかけようとしたが、足がこわばって動かない。

……
クラウドの心を折った、張本人の俺が……なんて言えばいいんだ……

 ぼんやりと体育館裏に立ち尽くすザックスの頭を大きな手がバシッと叩く。

「ってぇ、誰だ。」  

「俺だ、馬鹿。」

 後ろから思いっきりはたかれたザックスは涙眼で振り返る。

「こんなことするのはあんただろうと思ったがな。」

「荷づくりが終わった。運び出すのを手伝え。」

 ブツブツと文句を言いながらザックスはセフィロスの後ろに続いた。

                                   ********

「本当に信じられん、信用して頼んだのに……お前というやつは。だいたい、お前は冷静さが足らんと

口を酸っぱくするほど言ったはずだ。」

 荷物を運ぶのを手伝えと言われたにも関わらず、保健室に入ったザックスは椅子に座らされ、缶コーヒーを

片手にセフィロスの前に座らされている。

 「反省はしてる。でもあんたがちゃんと事情を説明してくれたら、俺だって……。」

 セフィロスが、ようやく説明してくれた事情によるとクラウドはクラウディアと名乗ってこの学園に

入学したのは、ザックスに逢いたいが一心だったらしい。

 入学に際し、女として学園生活を過ごすのを条件に特待生として認められたらしい。

「なんだ、先生方は知ってるのか?」

「当たり前だ、先生にばれずに性別を隠すなんてできるわけなかろう……。」

呆れたようにセフィロスはザックスを見る。

「とにかくだ、俺はここを離れる。あとはアンジールと、後任の保険医に頼んである。お前には学園での生活の

フォローを頼もうと思っていたのだが……いずれにせよ、すぐに帰すわけにはいかない。お前もしばらく目を

離さないでいてくれ。」

「うん、でもあいつ、俺にサヨナラって……。」

「ぐずぐず言うな、とりあえず、ニブルヘルムに帰るまで面倒を見てやれと言っている。お前にはその義務が

ある」

「義務がなくってもやるよ・・・・・・・今わかった、俺あいつに惚れてるみたいだ・・・・・・・。」

                                ◇◆◇◆◇◆

 しかし、面度を見てやれと言われても相手にさよならと言われてどうすればいいんだろう。

 溜息をつきながらザックスが寮に帰ろうと校門をくぐろうとしたときだった。

「ザックス・フェア……だな。」

 本当に何のひねりもなく出てくる、お決まりのパターン、いつか叩きのめした不良だ。(ごめんなさい作者の

力不足です)

「そうだけど……。」

「いい気になるなよ?ちょっと付き合ってもらう。」

「いや、もう寮に帰るところだから、今日はいろいろあって疲れたからまたにしてくれる?」

 のんびりと気のない答えに伝言を頼まれたらしい不良はいきりたつ。

「そんなこと言っていいのか?人質を取ってあるんだぜ……?」

……
クラウド……ひとりで帰すんじゃなかった。

 ザックスは顔色を変えた。

……付いてくるよな?」

 男がいやな笑いを浮かべた。

                                *********

 指定された倉庫に行ってみるとなんとエアリスとクラウドが縛られている。

「どっちかわからなかったんで……。」
 
 これはさらってきたらしい男の言い分。

 そして奥に嫌な殺気をもった男がいた。

……あんたは……?」

「ほぉ……覚えているか……。」

  確か、数年前、剣道界の希望の星と言われていた男だ。

 男が持っているのは……真剣……

「お前の、尊敬する先輩、神羅の英雄様のお陰で俺はいつまでたっても2だ。本来ならもっと優遇されて

いいはずなのに……。忌々しいとずっと思っていたら今度は後輩たちが同じ目に逢ってるっていうじゃないか?」

……
後輩?そうかあの時あとから来た助っ人は、少しは腕に覚えがありそうだったが、大会で出会った

剣道部員だったのか……

「そんな風に剣を使うからあんたたちの剣は荒れるんだ。いつまでたってもセフィロスにも神羅学園にも

勝てんさ……。」

「なんだと!?」

 周りの人間がいきり立つ。

 その後ろですらりと真剣が抜かれた。

「そうでもないさ……お前をつぶしておけばな……。」

 そうしてクラウドの前に立つ。

……俺は、もう行き着くところまでいってるんだ。今更一つ二つ罪状が増えてもどうってことないさ……

さあ選べ、こいつかお前の利き腕1本もらう。」

「何だって……。」

 さっきまで殴られたのかぐったりしていたクラウドが飛び起きる。ひもで柱に縛られているのを懸命に解こうと

足掻く。けれどびくともしない。

 仮にも剣道界で名を馳せた男だ。真剣を使わせたら腕の1本くらい切れるだろう。

……下衆が……。でも……。」

 ふっと寂しげな顔をしてクラウドを見る。

「俺も人のこと言えないしな……。いいよ、腕の1本くらいやる。その代り2人を離せ……。」

「ザックス……そんなことしたら……。」

……いいんだ。クラウド……。」

 そしてザックスは腕を差し出す。

「いい度胸だ。」

 男は大きく刀を振りかぶる。

「ここで普通なら、男気を褒めて止めるんだろうけどあいにく俺はそんな甘ちゃんじゃない。残念だったな……。」

「ザックス!」

クラウドの悲鳴が響き、ザックスの腕が肘の上あたりからざっくりと切り落とされた。

 辺りに血が飛び散る。

……これでいいな……。」

 切り取られた傷から血をが迸る。

 真っ青な顔をしたザックスがクラウドに近寄る。鬼気迫るものを感じていやそれよりも腕を切り落とされても

顔色一つ変えないザックスに恐れをなして男たちが後ずさる。

「ごめんな……怖かったろ……。」

「ザックス!ザックス、なんてことするんだ。いくら罪滅ぼしっていいっても、あんた、利き腕なんだぞ……。」

 切られたザックスよりクラウドのほうがガチガチ震えだした。

「あんたの剣舞好きだったのに……いや、俺、あんたが好きだ。どうして俺なんかのためにこんなこと……。」

 ザックスは残った左手で器用にクラウドのロープを外すと抱きしめた。

「罪滅ぼし……?違う、俺お前が好きなんだ……自分の命を投げ出してもいいくらいお前が好きなんだ……。」

……
失ったはずの腕が痛い。出血がひどい。だんだん気が遠くなる。目の前が暗くなる……

……俺死ぬのかな?

 目の前の前の大きなスミレ色の瞳からぽろぽろ涙がこぼれる。ザックスは左手でクラウドの頬をなでる。

……泣くなよ……。」

・・・・・・・クラウドの顔がかすんできた。その時・・・・・・・。

「お前たち……、やりすぎたな……。」

 感情を抑えた凍りつくような声……

……絶望を贈ろうか……。」

 ザックスが最後に聞いたのはその言葉だった。

                          ◆◇◆◇◆◇◆◇

 クラウドは夢か幻を見ているようだった。

「もう、2人して私を無視して。だいたいそこで血まみれで寝転がってる男もどうしてまっすぐクラウドの方に

行っちゃうのよ。私なんか男の子より魅力ないって言われたみたいじゃん。」

 ぷうっとかわいらしく頬をふくらましたエアリスはクラウドにウィンクする。

「今から見ること誰にも言わないでね……。」

 エアリスはセフィロスから切り取られた腕を受取り倒れたザックスの傷口に当てる。 

 セフィロスがフルケアを唱え腕を固定させたあと……

 エアリスの碧の瞳が煌めきどこからともなく風に髪が靡く。

 ザックスの体が緑の光に包まれ中に浮いてやがてゆっくりと地面に降りる。

……
大いなる福音…… 

 クラウドは聞いたことがあった。神羅ミッドガル学園には、魔女がいると……

「魔女なんて失礼よね……。」

「えっ?」

……ごめんなさい、私微かにだけど人の心が読めるの……。」

「じゃあ……。」

 何が起こるかわかってて防がなかったのかとクラウドが言いかけた時エアリスは続けた。

「だって……あなたたち好き合ってるのにどっちも不器用だから……なにかドラマティックな出来事でもあればと

思って……。どうせ腕ぐらいくっつけられるし、完全に死んでなかったらどうにでもなるし……。」

……
やっぱ魔女だ……

 クラウドは思った。

「それに……ザックスだもん、セフィだったらちょっとでも傷をつけたら許せないけど……。」

「えっ???」

 セフィロスがザックスの腕を見る。

「大丈夫そうだ……くっついたところが赤い筋になっているが……。」

「うーん、傷が残ったか……やっぱ本調子じゃないのかなぁ……。」

 セフィロスがエアリスを抱き寄せる。

「あまり無理をするな……。お前ひとりの体じゃないんだから……。」

「ううん、大丈夫よ……もう、つわりもないし……。」

……。」

 ……それって????
  
 クラウドは周りに転がる完膚なまでに叩きのめされた男たちを見る。

「お前を柱に縛ったりしたんだ。命があっただけ儲けものだと思え……。」

 クラウドは気を失っているザックスの頭を抱えたままただただ呆然と目の前の2人を見つめていた。

                               ◇◆◇◆◇◆

 すべてのごたごたが片付いた3日後の朝、セフィロスはジュノンに旅立った。エアリスは3月の卒業を待って

後を追うらしい。只今妊娠4カ月だそうだ……

 一度は故郷に帰ろうと決心したクラウドだったが、ザックスをはじめとする周囲の言葉もあってミッドガルに

残ることになった。

 憧れが高じて好きになってしまっていたザックスに「命を投げ出しても守りたい。」と熱烈に告白され、

言葉どおりに腕を1本差し出されたのだから、クラウドもそれに応えなければならないと思う。

 ザックスの腕の具合は問題なく、2ヶ月後の大会に向けて練習を再開した。

 クラウドのために大立ち回りをしたザックスは当然話題にはなったが、セフィロスに捨てられた傷心の

クラウディアを慰め、ハートを射止めた良い奴として周囲から受け入れられた。

 今や2人は学校中公認のカップルである。

 目下、クラウドはいつクラウディアからクラウドに戻るのか思案中である。
 
 ザックスはクラウドに将来のパートナーになってくれとプロポーズし、住むところと経済的な援助を申し出た。

 悩んだクラウドだったが、いつまでも女として学校生活を送るわけにもいかないので申し出を受けることに

した。

 不埒な輩からクラウドを守るという名目で今はザックスの親が所有するミッドガルのマンションの1室に

住んでいる。

 ザックスは相変わらず寮に住んでいるが、当然合鍵を持っているのだからほとんど寮には帰らない。

                                       *******

「何で最初に否定しないんだ!だからこんなに話がややこしくなるんだ。」

……噂は、『セフィロスが、学園の女の子に手を出して妊娠させてミッドガルを離れる』だっただろう。

あながち嘘とは言い切れない。それをクラウドと勝手に結びつけたのはお前のおめでたい頭だ。」

「おめでたいって……。」

 ジュノン行きの船で、セフィロスは旅立っていった。

 エアリスは寂しそうにいつまでも船を見送っていた。その姿にザックスも少しズキンと胸が痛む。

……
好きだった……はずだよな……

 突然耳を引っ張られた。

「エアリスに見とれてただろ?好きだったんだってな。」

「あっまぁその……今は、クラウドにどっぷり浸かってるよ。」

「人を麻薬みたいに言うな……。」

 クラウドはプイっと横を向いて言う。

「浮気は許さないからな……セフィロス先生が、診断書と告発書くれたんだ。浮気されたら使えって。

これでミッドガル追放どころかコレルプリズンに送れるから顔も見たくなくなったら使えってさ。」

「えっ……大丈夫だよ。浮気なんかするわけないじゃん。お前に夢中なんだから……。」

 ザックスは、クラウドの首筋にやさしくキスをする。

 くすぐったくてクラウドは笑う。

「こらー!そこ、恋人とわかれたばかりの私の前でいちゃつくなぁ。ザックス、何かおごってよ。」

 エアリスは、2人の前に元気に走ってくる。

「わっ!エアリス走るな。転んだりしたら俺、セフィロスに殺される……。」

                               ******

 港に面するカフェでパフェをぱくつくエアリスとクラウドを甘いもの苦手のザックスはため息とともに言う。

「よく食うなぁ……。」

「だってすっごくおなか空くのよ……。甘いものって幸せな気分になるわよね……。」

「ザックスは甘いもの食べないから、突然キレたりするんだ……。」

「ずいぶんな言い方だなぁ……。」

今日は暖かな日で穏やかな海辺の風が吹いている。

                                 *********

 結局のところ、セフィロスに匿われただけで、クラウドは最初っからザックスをひたすら追っていた。

 ザックスは時折自分の視界に金髪が入るのを知っていた。

 カンセルが話題に持ち出すまでもなく、その金髪がクラウディア、つまりクラウドであることも知っていたし、

だから余計あのセフィロスとのうわさが許せなかったのかもしれない。

 知らず知らずのうちにあの金髪のかわいい子猫に魅かれていたのだ……

……ザックスの弱み握ってるし、今度はプリンアラモード食べよ。」

「おい……。」

……
この子猫は可愛いだけでなく鋭い爪も持っているようである。

「ザックス、あなたは寮に帰るのよ……青少年育成条例知ってるでしょ?ばれたらただで済まないわよ……。」

……わかってます……。」

 ザックスが前で身を縮こませる。180cmを超える大男なのになんだか可愛らしい。

 プリンアラモードを取りにザックスが席をたった隙にエアリスはこっそりクラウドに耳打ちする。

……要は見つからなきゃいいわよ。私だって気持ちわかるし……。好きなんだもん、抱かれたいわよね。」

 エアリスの言葉にクラウドはみるみる真っ赤になる。

「じゃ、お邪魔虫は消えるわね……。」

エアリスは手を振り帰っていった。

 つい一週間前までエアリスのことが好きだったなんて信じられないとザックスは思う。

 エアリスへの好きは、どうも唯の好意だったようだ。

「なぁ……。」

 ザックスはクラウドを抱き寄せ聞く。

「どうしてセフィロスに匿われることになったんだ?」

 クラウドは熟れたトマトの様に真っ赤になった。

「あんた、くっつきすぎ……離れろよ……大した話じゃない。どうでもいいだろ?」

「ふーん。クラウドは隠すんだ……なんか怪しいな。人に浮気の何のって言っといて、隠し事なんだ。」

 クラウドは真っ赤になって俯く。よっぽど恥ずかしいらしい。

 問い詰めるのが可哀そうになって来たが同時にむくむくと湧いてくるのは嫉妬の感情。抑えられない。

「どうしても言いたくないんだ。なんかセフィロスとあったのか?」

 キッとクラウドはザックスをにらむ。がどことなく媚を含んで色っぽく見える。

「わかったよ……。隠し事はしない……。本当に恥ずかしいから一度しか言わない。」

 そしてさらに赤くなってうつむいたまま蚊の鳴くような声で言った。

「漏らしたんだ……。」

「え?」

「おしっこ……。」

……。」

 クラウドのぽつりぽつりの話を要約するとこうだった。

 入学してどうしても女子トイレに行けないクラウドは、みんなの隙を見つけて保健室の奥の検尿などを

採取するためのトイレに入っていた。

 ところが皆から注目され始め、また頻繁にいじめにも合い……

「その日は朝から暑くって結構スポーツドリンクとか飲んだたんだ。汗をかいたりで大丈夫と思ってたんだけど……。」

 終業の頃にはかなり切羽詰まっていたのにいつもの女ボスと取り巻きがねちねちやりだした。

半ば強引に振り切って保健室に駆け込んだのだが……

「誰だ……。」

とあの冷たいバリトンで呼び止められドキッとしたとたんに下着が温かくなって……

「止めようとしてももう止まらなかった。床に湯気の立つ水たまりができて……あんな恥ずかしかったことない。」

 いつもと時間帯が違ったのかその日に限っていたのかいつも無人のはずの放課後の保健室にセフィロスが

いた。

 とんでもない粗相にパニックになったクラウドは大声で泣き出して、困ったセフィロスがとりあえず自分の

替えのシャツと保健室備え付けの下着を着せてベッドに座らせた。

「かなり我慢してたから、靴も靴下もスカートもとにかくびしょびしょでついでにセーラー服の上にまで

浸みてたから……とにかく全部脱ぐしかなかったんだ。」

 結局セフィロスが着替え一式を買って戻るまでクラウドはセフィロスのブカブカのシャツとパンツだけという

姿でベッドに座っていたというわけだ。

「事情を聞いてセフィロスさんが助けてくれるようになってからトイレの心配はなくなったけど……。」

 うつむいて首筋まで真っ赤にしているクラウドがキスしたくなるほどかわいらしい

「だから保健室行ってたのはトイレのため……。まったくどんなことが噂になるんだか……。」

 ザックスは思う。セフィロスってそんなに人助けを申し出る奴ではない。結局エアリスに目が行かないよう

クラウドはあて馬にされただけだと……

でもセフィロスに本当に助けてもらったと感謝するクラウドにそれを言うつもりはない。目をキラキラさせて

セフィロスのことを語るのはちょっと癪には障るのだが……

……ところでクラウド……これからどうする……。」

「どうするって……家に帰るんだろ……?」

「で、俺はどこに……?」

「どこにって……。」

「できればこの間のリベンジをやさしくやりたいんですが……?」

 ボンとクラウドの顔がさらに赤くなる。

 それがかわいくてザックスは額にキスをして耳元で囁く……

「帰れと言うなら寮に帰る……。」

……。」

 真っ赤になったクラウドは何度か何かを言いかけたがやがてザックスに噛みつくようなキスをした。

 不意打ちに今度はザックスが赤くなる。

……これ以上外でくっついてると通報されそうだから……。」

……通報されそうだから?」

「だから……とりあえず、俺の部屋へ……。」

……それから?」

……それからは……行ってから考える……。」

「了解……。」

 そう言うとザックスはすっぽりとクラウドを抱きしめた。

…………。だから……続きは部屋に戻ってからだって……んっもう馬鹿!」

 クラウドのかわいい悪態はザックスの唇で塞がれた。

 2人の生活はこうして波乱万丈に始まった。

 
ザックラ高校生パラレル、体育館倉庫プレイ、むりやり鬼畜、でも最後は超ハッピーエンドになるのでしょうか???と苦労致しましたが何とか書き上げました。でも書いているうちにとっても楽しくなってきて、シリーズにしようかなぁなどと・・・・。とりあえず第1時間目ということで・・・需要がありそうならシリーズ化します。パロ楽しかったです。素敵なリクエストありがとうございました。
 この頃得ろ書くのに何の抵抗もなくなってまいりました。MOCOCOちゃんのおかげです。

 

 


 

MOCOCOより感謝の叫び。

えへへmyaさま!相互リンク記念にリクエストを受けてくださり、ありがとうございました!

高校生パラレル・体育館倉庫プレイ・鬼畜・

でも最後は超ハッピーエンド!

そんな『無茶言うな!!』ってかんじの変態リクエストでしたのに…

なんて爽やかで可愛いエロス!若い二人は、カワイすぎて罪ですっ!!

マンションでのえっちシーン、もし書けたらMOCOCOが加筆させていただきますね。(でも自信ない…)

アブノーマルなリクエストを強要して、本当すみませんでした!!

そうそう、なんでもこれ、シリーズ化させるとか?次はどこでプレイするんだか気になる…

ブラウザを閉じてお帰りください。

Black Lapismya様より拝借、転載(2009412

 

 

 

 


 

 

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