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Please Tell Me

365日の恋・月草さま より、頂きもの!

 

 

月草さまから、頂きました。

なんと試験勉強への励まし?で書いてくださったという!号泣です!

 

 

何て言えばいいのだろう。

クラウドは心の中で首を捻りながら、一生懸命自分の気持ちに合っている言葉を生み出そうとする。

そもそも己は自分の気持ちだとか説明だとか、言葉で伝える事が苦手である。

苦手、というかそういうシチュエーションになったことがないので、経験値が皆無なのである。

しかし、どうしてもこれははっきり伝えなければならない。自分の今後のためにも。

(一人になりたい、というものなんか違うし・・・)

目の前でニコニコ笑っている、つい最近トモダチからシフトチェンジした人の良い男を凝視しながらクラウドは、

あーでもないこーでもない、と一人頭の中で言葉を探し出す。

…よし。これだ。

「しばらく、距離を置いて欲しい。」

 

 

あれ、ザックスの顔すごく変。

 

 

 

 

Please tell me!!

 

 

 

 

この世の春を思う存分楽しんでいたヤツが、今朝からこの世の冬を集めたかのようにあからさまに肩を落とし、

激しく落ち込んでいた。

昨日まで、例えジュースを被せられようが昼食のハンバーグを横取りされようが「気にするな!」と、

キモくらい・・・否、寛大な心と輝くばかりの笑顔を大盤振る舞いしていた彼が、こんなに見るだけで

不憫になるくらい落ち込んでいるとは何事か。

「なあ、お前なんとかしろよ。」

「いや無理だって。だって背後見ろよ。ブラックホールができてるぞ。」

ヒソヒソと、ソルジャーの間で空間を捻じ曲げんばかりに負の空気を纏っている彼を(各々己の保身のために)

なんとかしようと談義を交わした結果。

彼の友人である、カンセルに白羽の矢が立った。

面倒見が良いしザックスと仲が良いだろう、と尤もらしい理由を付けられてレストルームの一角で

座り込んでいるザックスの前に引きずり出されたカンセルは、正直逃げ出したくなった。

面倒が良い、のは認めよう。少なからず自覚もある。

(でも、限度ってもんがあるだろう。)

こんなに落ち込んだザックスは見たことないし、関りたくもない。

だから、今日は朝から滅多に人が寄らない開発研究部の手伝いを嫌々していたというのに。

もう一度逃げ出しても良かった。

幸い気を利かすという名目で皆は避難したので、ここにはザックスと自分の二人きりだ。

しかし、ここに来るまでの間に英雄とザックスの先輩とラブレスマニアのファースト達に出くわしてしまい、

「鬱陶しくてかなわん。何とかしろ。」

「すまないな。面倒をかける。」

「多少の事は目を瞑る。」

それぞれに、声をかけられ釘を刺されてしまったのである。

(目を瞑るってなんだ。)

大体向こうのが力強いんだから、そんな事にはならない。

カンセルは、盛大にため息をついて仕方なくザックスの隣に座る。腹は括った。自分はこういう星の巡りなのだ。

「どうした?景気の悪い顔して。」

隣を見ながら、カンセルはワザとらしく能天気な声で聞いてみる。

反応、なし。

「……………………クラウドと何かあった?」

ピクリ。隣の彼の体が大きく揺れる。そのわかりやすすぎる反応でカンセルはビンゴと、乾いた声で呟く。

「どうした?念願叶って一ヶ月くらい前にようやく恋人同士になったんだろ?」

「…………カンセル〜!!」

下げていた頭を首がもげるかというくらいの速度で上げて、カンセルの肩を壊さんばかりに掴む。

「なあ、しばらく距離を置きたいってどういう事だと思う?!付き合ってまだ一ヶ月のラブラブが留まる事を

知らないっていうくらいの熱々期間なのに、距離を置きたいてどういう意味?!!」

吐き出し口をようやく見つけたとばかりに、ザックスは溜め込んでいたものをカンセルにぶつける。

「普通一般的にいうと、距離を置きたいって言い出した時って別れる直前だよな?

……嫌だ!クラウド〜!!!」

「ちょ・・・苦しい・・・ザックス・・・」

肩に置いていたザックスの手がいつのまにか首に移り、首を絞められ窒息死寸前になるカンセル。

ようやく冷静になったザックスは、慌てて手を離し、「悪ぃ。」と、軽く詫びる。

 

 

 

 

死にかけたんだもっと深く謝りやがれ。

 

 

 

*****

 

 

『ちゃんと事情をクラウド本人から聞いて来い。』

 

死の淵から復活したカンセルに、昨晩の出来事を聞いてもらったザックスは、カンセルに説得されて

クラウドに会うために、訓練場へ足を運ぶ。

クラウドの所属する班は、この時間は訓練場にいる。

愛するクラウドのスケジュールをばっちり覚えているザックスだった。

(そうだよな、飛躍しすぎたよな。)

カンセルにもつっこまれた己の短絡さに苦笑しながらも、ザックスはまだ安心していない。

(俺、鬱陶しかったかな?)

トモダチから恋人へ。嬉しくてトモダチだった時以上にクラウドの傍にいた。傍にいたいと思ったからだ。

もしかしたら、それがクラウドにとって負担だったかもしれない。

訓練場に向かう足取りが重く遅くなる。もし負担と思われてたらショックだ。

再び肩を落とすザックスの前方から、声が聞こえてきた。

「いいのか?貰っても。」

「ああ。間違って2冊買ってしまったし。」

「ありがとう。」

反射的に顔をそちらへ向けると、予想したとおりそこには会いたかった彼がいた。

クラウドは、少しはにかんだように笑って隣にいる見知らぬ男と話していた。

同僚だろうか、とても仲が良さそうにザックスには見えた。

(・・・・誰だよ!!)

湧き上がるどす黒い炎が胸を焼く。

俺はこんなに落ち込んでいたのに。それなのにクラウドは・・・。

悲しい。

でもそれ以上に我慢ならない衝動のままザックスは二人の元へ駆け寄り、クラウドを背後から抱き締める。

「うわ!!だ、誰?!!」

突然背後から生えてきた腕に抱き締められたクラウドは大いに戸惑い抜け出そうともがく。

だけど、馴染んだ体温と、先ほどまで話していた同僚が「ソルジャーだ・・・。」と呟いたので、

背後にいるのがザックスだとわかった。

「ザックス?どうしたの?」

声を掛けるが、返る言葉はなし。代わりに腕の力が加えられより強く抱き締められる。

クラウドは大いに焦った。

確かに自分たちは付き合っているがこんな場を他人に見られるのは、とても照れくさい。

「あの、ごめん。先に行っててくれる?」

「わかった。教官には適当に言っとくよ。」

「サンキュ。」

気を使ってくれた同僚に短くお礼を言い、その姿が見えなくなるのを確認してから、クラウドはもう一度

ザックスに呼びかける。

「・・・ザックス?何があったの?」

またもや、無言。

まるで駄々をこねている子どもみたいだな、なんて思いながらもクラウドはなんとかザックスを話しをしようと

試みる。

「ザックス、ちょっと力緩めてもらえる?」

「・・・・。」

「話、あるんだろ?ちゃんと向き合いたい。」

クラウドのお願いが届いたようで、ザックスの腕の力が弱まり、それに合わせてクラウドはゆっくり体を

向きを変えた。

「・・・どうしたの、ザックス?」

ようやく見れたザックスの顔は泣き出さんばかりにくしゃくしゃになっていた。

初めて見るザックスの表情に、クラウドは非常に焦った。だってザックスはいつも笑っていたから。

どうすればいいんだ、と半ば混乱するクラウド。

やがて、ザックスが意を決したように、真剣な目でこちらを向いた。

「・・・・・クラウドは・・・なんで、俺と距離を置きたいって思ったんだ?」

「え?」

「俺、鬱陶しかったか?」

「ええ?」

鬱陶しい??なんで俺がザックスを??

クラウドはますます混乱した。事態が飲み込めない。

助けを求めるために、ザックスを見上げるが、ザックスはひたすらクラウドからの言葉を待っている姿勢だ。

落ち着け、よく考えろ。

クラウドは自分自身に言い聞かせながら、先ほどのザックスの言葉を数学の文章問題を解くように

なんべんも繰り返す。

「・・・・・もしかして、昨日の俺の言った言葉、変だったか?」

ようやく辿りついた答えは、昨晩の出来事。自分がザックスに言った言葉を思い出した。

「変、というか・・・理由を知りたい。」

「理由・・・。」

理由を言うには、ちょっと照れくさくてできれば避けたいんだけど。

(そうも言ってられないな。)

クラウドは、照れくれる自分を振り切ってザックスをまっすぐ見つめる。

「ザックスといると、試験勉強に身がはいらないから。」

 

 

 

勇気をだして白状したのに。

ザックスは、昨晩以上に変な顔をした。

 

 

 

****

 

 

兵士たる者、車の運転くらい軽くこなせないとならない。

そのような風潮が神羅軍にあり、故に新兵時代に受ける普通自動車免許取得の試験は一回だけしか

受けられない。つまり、一発で合格しろという事だ。

試験自体はそんなに難しくないのだが、一回きりのチャンス。

下手すればクビがかかるという試験なので、クラウドは試験までの一ヶ月間を勉強に専念しようと考えたのだ。

「でも、俺ザックスといるとつい・・・その・・・はしゃいじゃう自分がいて・・・・

時間も忘れちゃうからそれじゃあ試験勉強できないって思って・・・。」

視線を彷徨わせて頬を赤くさせながら、理由を教えてくれたクラウドはぶっちゃけ押し倒したいくらい

可愛かったが、ぐっとザックスは本能を押さえた。

ぶっ飛ばしはクラウドに悪い。順々に事は進めていかなければ・・・と、逸れた思考に鼻の下を伸ばしながらも、

ザックスはようやく生きた心地を味わっていた。

「よかった・・・鬱陶しがられてなくて。」

「そんなこと思うわけないだろ!」

耳まで赤くしながら否定してくれるクラウドが、とても嬉しい。

「その手に持ってるのって、もしかして教本?」

クラウドが持っている薄い冊子には、ザックスにも見覚えがあった。

「そうだよ。間違って2冊注文したヤツから貰ったんだ。」と、持ち上げて見せてくれた。

パタパタと、本のページが揺れ軽い音を立てる。その本を眺めながら、ザックスは提案する。

「じゃあ試験まで2人で勉強しようぜ。俺、教えるよ。」

「え、そんな悪いよ。ザックスただでさえ忙しいんだし。」

「いいっていいって、気にすんな。ってか、そのほうが俺も嬉しいし。」

距離置かれるより、一緒に勉強するほうが断然良いに決まっている。

そんなザックスの気持ちを察したのか、「ありがと。」と小さい声でクラウドが笑ってくれた。

ザックスも笑う。そして、片方の手をクラウドの頬に触れ、もう片方の手を腰に回して・・・。

「ストライフ!!」

乱入してきた怒声に、あえなくザックスは手を止める破目になってしまった。

すごすごと手をひっこめてると、「早く!そろそろ狙撃訓練始まるぞ!」と、先ほど見送った同僚が立っていた。

どうやら、クラウドを呼びにきてくれたようだ。

「じゃあ、俺行くよ。」

「ああ。今日は何時に来れそう?」

「今日は・・・17時くらいかな。」

「よし、じゃあ夕飯作って待ってるよ。」

やっぱりちょっと惜しい気持ちが残ってたので、クラウドの同僚から見えない位置に回って

素早くクラウドの唇に触れて、柔らかい金髪を撫でてザックスは来た道を戻った。

不意を突かれたであろうクラウドは、きっとさっきのように顔を真っ赤にしてるだろう。

勉強は正直苦手だけど、きっとクラウドとなら楽しいだろう。

 

 

 

二人の時間が減ることのないことに、ザックスは安堵と小さくガッツポーズをとった。

 

 

 

 

終。

 

 


 

MOCOCOより、感謝の雄たけび

うおおおおん!ありがとうございます月草さま!

二人はさんざんすれ違った後。これでもかってぐらい、いちゃついてればいいと思います!!

ザックス先生!ぜひとも

クラウド君に大人の勉強を教えてあげ…げふんげふん!

UPが遅くなってしまいすみませんでした…!

月草さま、初々しくてキュンキュン!なザックラをありがとうございましたww!!。゜+.(:.;;;;.:)+.

  

 

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365日の恋/月草さまより拝借、転載!(20091128

 

 

 

 


 

 

 

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