ご注意
*神羅時代ザックラ、二人は恋人。
*ザックスの誕生日に喧嘩してしまった二人が、お酒の力を借りて仲直りえっちする…というだけのお話です。
*R35レベルの、露骨、下品、変態チック、隠語連発なEROです。ただのEROです。
 大丈夫ですか?大丈夫ですか?大丈夫ですかー?(しつこい)


【後編】
ごめんね。
きっと、100年後も離してあげない。





繰り返しキスをしてやる。

クラウドの甘い唾液を舌で絡めとっていくと、それに応えるように彼の舌が遠慮がちに追いかけてくる。
キスひとつとってみても、本来はただザックスにされるがままで受け身のクラウド。
そんな恥ずかしがりやなクラウドが大好きだし、性癖ド真ん中といえるけれど、こうして求めてくれるのもたまらなく嬉しい。

濃厚なキスに、気持ち良さそうにうっとりと目を細めるクラウドだが、しかしまだ、下半身は反応していない。
やはり、酒のせいで性欲が鈍っているのかもしれない。

下着に手を入れて、やんわりとさすってやるけれども、クラウドは身じろぐだけで固くはならなかった。
いつもであれば、少し擦ってやっただけであっという間に上り詰めてしまうのに。

「ザックス……」
「なーに、クラウド。」
「なめて?」
「ぐはあっ!!!!」

聞き違いだろうか。
聞き違いだとしても、最高に素晴らしい台詞に聞き間違えた自分の鼓膜を、心から褒めてやりたい。


「ザックスになめてもらうの……きもちいいから、すき。」


どうやら、聞き間違いではないらしい。
いつもザックスが咥えようとすると、恥らって嫌がるのに。
しまいにはイヤイヤ言いながら泣いてしまうものだから、正直自分はフェラが下手なのだろうかと自信がなかったのだ。
でも、本音ではちゃんと感じてくれていた。嬉しい、嬉しすぎる。


「じゃあ…腰を浮かせて?うん、いい子だな。」
下着を全て脱がせてやると、うっすらと汗ばんでいる細い腿を両手で割り開いた。
このアングルでクラウドを眺めることが出来るのは、世界でひとり、恋人である自分だけ。
無防備な体制をとらされたクラウドは、酔っていても恥ずかしいのか少し体をよじった。

けれど、逃がすわけがない。
つるつるで綺麗な性器を口に含むと、数回吸い付くように上下してから、今度は舌で丁寧に舐め上げていく。
シャワーを浴びていないとクラウドは気にしていたけれど、ザックスにとっては少しも抵抗などない。
むしろそのままのクラウドは、いっそう美味しく、愛しく感じてしまうほどだ。さすがに、変態の域だろうか。

「あ…っ、きもち…っ、あ、ん…」
そこらの女よりは控えめで。けれど、クラウドにとってはなかなか積極的な、愛らしい喘ぎ声。
もっと聞きたくて、気持ちよくしてあげたくて、夢中で彼の性器をしゃぶりつくした。
けれど、たしかに感じてくれてはいるのだけれど、彼の可愛い性器はまだ力なく項垂れたままだ。
腰をびくびくとふるわせているし、Tシャツを厭らしく押し上げる乳首は間違いなく反応している。
だが、勃起はしていない。勃たなければ、射精することが出来ない。
もどかしい快楽はいっそ切なくて、クラウドの目尻には涙が滲む。

「ごめんなさい…」
「ん?なーに、どうした?クラウド。」
「どうしよう、おれ……た、たたない……」
「なに謝ってんの。いいんだよ、今夜はゆっくり可愛がってやるから。」

フェラされても下半身が反応しないことに、焦っているらしいクラウド。
酔ってもなお真面目というか、気にしすぎな彼が可愛くて、舌先で性器の先っぽをくりくりと穿ってやる。
「あっ!あっ!あっ!」
ザックスの頭を抱きしめて必死で悶えるクラウドは、勃起こそしていないけれど、
全身はピンク色に美しくに染まりあがっている。あまりに美味しそうで、ごくり、自然に喉が鳴った。



「なあ、クラウド―――ローションないから、ベッド行こうか。」
ペッティングやフェラだけで終わる気は、もはやザックスにはない。
〝最後まで〟するには、ベッドサイドのチェストにあるローションが必要だ。
三週間前にソファでクラウドを抱いたときは、記憶こそおぼろげだけれど… きっと濡れないクラウドの穴に無理やり突っ込んで、痛い思いをさせたのだろう。
同じ轍を踏むわけにはいかない。

「そんなの、いらない。」
「そういうわけにもいかないだろ。ちゃんと濡らさないと、絶対入らねえし、」
およそ三週間も、セックスしていないのだ。
ただでさえ狭いクラウドの肛は、きっと今頃さらに、清らかに閉じてしまっているに違いない。
「女のひと、だったら…そんなのつかわないだろ。」
「え?」
「おれ、絶対、痛いっていわない。だから――――」
まるで、すがるように。クラウドの大きな瞳は、ザックスだけを真っ直ぐに見つめている。




「おれのこと、めんどうだって、つまんないって…………思わないで、」




「思うわけないだろ!このバカ!」
なんて健気で、いじらしいことを言ってくれるのか。
クラウドはどんなに(女の子より)可愛い外見でも、生物学的には(たぶん)男であるのだから、本来男の性器を受け入れる体でない。
それにザックスが初めての恋人で、これまで誰とも性行為をしたことがないのだ(奇跡)。
時間をかけて体を慣らしてやるのは当然であって、それを面倒だとかつまらないだとか思うわけがなかった。

「ほら、つかまって。クラウド。」
クラウドはまだ悩んでいるのか、ザックスを窺うように見上げた。
「ベッドでおまえのこと。とことん、甘やかしたいんだ。…な?お願い、」
頬を撫でてやると、猫が顔をすりつけるような、そんな甘えた仕草をした。
無意識だとしたら、恐ろしい。恐ろしいほどにザックスの〝甘やかしたい〟欲をどんどん刺激していく。





クラウドを抱き上げて廊下を進む途中、何度もキスをして立ち止まる。
寝室まではたいした距離じゃないのに、そのわずかな距離さえ我慢できなくて、また立ち止まって唇を合わせてしまうのだ。
さんざん時間をかけて寝室にたどり着き、ベッドに優しく降ろしてやると、そのまま自分のシャツを脱ぎ捨てた。
ベルトに手をかけたところで、クラウドがそれを制する。

「クラウドが脱がせてくれるの?」
これまでザックスがクラウドを脱がせることは幾らでもあったけれど、彼がザックスの衣服に手をかけたことはほとんどなかった。
珍しくも嬉しい、クラウドの積極的な行動に、ザックスは大人しく身を預ける。
拙い手つきでベルトを外したクラウドは、ゆっくりとした手つきでジッパーを下ろし、そうしてザックスのボトムをずり下げていく。
最後は自分でボトムを脱ぎ捨てると、胸を高鳴らせながら、最後の一枚も脱がしてほしいと強請った。

恥ずかしがりやなクラウドが、ザックスの下着を下ろす―――こんなシチュエーション、この先一生ないかもしれない。
脱がされることに慣れていない分、少しの気恥ずかしさはあるものの。それ以上に興奮していて、クラウドの手元をじっと見守った。

酷くゆっくりと、下着が降ろされていく。
酔っていても、それでも羞恥は拭えないらしいクラウドの手元は、少し震えている。
ずるっと下着が落とされ、つかえていたものが思い切り顔を出した瞬間、クラウドは思わずというように顔を反らした。
「クラウドが脱がせたくせに。目をそらすなよ。」
意地悪くそう言って、クラウドの小さい手に、自分のすでにガチガチに勃起したものを握らせる。
さすがに擦らせるのは可哀想だから、ただちょっと触らせて、彼の恥ずかしそうな顔を堪能しようと思っただけだ。
けれど、愛おしそうにそれを撫でたクラウドは、



「ザックスのおちんちん……おっきくて、かたくて、きもちいいから…………すき。」



クラウドを恥ずかしがらせるつもりが、カッと自分の顔が熱を持っていくのがわかる。
酔っているとはいえ、いや酔っているからこその本音。
普段であれば絶対に、絶対に聞くことは出来ないエッチな告白に、挿入前から達してしまいそうだ。



ベッドサイドチェストからローションボトルを取り出すと、勢いよく中身を掌に出した。
焦って手元が狂い、大量の液体が手を濡らしたけれど、それをいっきに彼の後肛に塗りたくる。
優しくすると、甘やかしてやると決めたのに、早く繋がりたくてたまらない衝動がわき上がってきて、理性がどんどん崩壊していく。

クチュクチュと濡れた音をたてて、小さな尻の穴に指を突きたてると、クラウドの腰は大袈裟なほどにびくびくと跳ねた。
指を二本に増やし、壁をつつくように刺激してやると、「あんっ!」と我慢出来ない愛らしい悲鳴をあげる。
視れば、あれだけ反応が鈍かったクラウドの性器が、立ち上がっている。
つまり彼は、男の弱点である性器を刺激されるよりも―――
これまでザックスによってさんざん弄られて、甘やかされてきた「後ろの穴」で感じてしまうのだ。

その可憐で清らかな穴は、ひくひくと痙攣し、ザックスの指をきつく締めつけてくる。
まるで、はやく指ではないものを挿れてくれと強請っているように。
「クラウドのお尻、すっげえやらしい。ほら、俺の指をぎゅうぎゅうしめつけて、離してくれないの。わかる?」
「だって、だって………!」
「わかってるよ。俺のこと、大好きだから離してくれないんだろ?」
こくこくと頷くクラウドのことが、本当はザックスの方こそ好きで好きでたまらない。
早くこの子と繋がって、この細い腹のなかを思い切り汚してしまいたかった。

だが――まだ早い。もっと慣らしてやらなければ、きっと痛い思いをさせてしまう。
ローションの滑りに助けられながら、彼の中を指の腹で広げていく。

「あ、あ、あ…!やだ、やだ!もう、だめ……っ!」
「挿れてほしい?」
「は、やく……っ、おねがい……っ」
「じゃあ、エッチなオネダリしてみて?出来るだろ?」
「おねだり……?わかんない、ざっくす、」

どうしたいいのかわからず、涙を浮かべるクラウド。さすがに可哀想だろうかと思い、助け舟を出してやる。
「じゃあ、俺の言うとおりに言ってごらん。いい?」
クラウドを辱めたいわけじゃない。
恋人の恥らう姿を視てみたい、という気持ちも確かにあるけれど、それ以上に。
自分しか知らないクラウドを見てみたいのだ。心も、身体も、言葉さえも自分だけのものにしたかった。


いっそ痛みを感じるほどに疼く、このはちきれそうな独占欲―――


「俺のおちんちんを、」
「ザックスの、お、おちんちんを……?」
「クラウドのちっちゃいお尻の穴にぶちこんで、」
「おれの…ちいさい、あなに…い、いれて、」
「ガンガン突きまくってほしいって。」
「……………い、いっぱいついて、ほしい……きゃああんっ!!!」
ズプン!と思いきりなかに付きこむと、下半身を駆け上ってくる本能のままに、ひたすら腰をうちつけた。

「可愛いクラウド!エッチで可愛い!最高に可愛い!」
「や、やああああっ、そんなきゅうに、あっ、あっ、おなかのなか、すれちゃ…っ」
「おまえの腹のなか、きついのに、やーらかい。最高っ、」
スチャズチャ!ズチャズチャ!
ペニスを勢いよく出し入れするたびに、彼の柔い内部が形を変えていくのがわかる。
三週間ぶりに、クラウドの腹のなかを自分のペニスで型どっているのだ。


ここの形を知っているのは、この世界でただ一人、ザックスだけ。他の男たちは、絶対に知り得ない。


「ひゃん、ひっ、おなかのなか、ざっくすのかたちに、なっちゃう………っ、」
「そーだよ。ここの穴は、俺のおちんちん、いれるためにあるんだから。」
「ざっくすの、ため…?」
「そうだよ、クラウドの体は、俺に愛されるためにあるの。」
なんて傲慢な台詞だろうか。自分でも、さすがにひいてしまうほどの独占欲。
「…じゃあ、ざっくすの、体は…?」
答えは分かりきっている。
クラウドにだけ昂ぶる身体、クラウドにだけ荒ぶる本能、クラウドにだけ温まる心、その理由なんて。




「俺は、おまえを愛するために生まれてきたの。」




「あっ!あっ!おっきい……っ?!おなか、こわれちゃう…っ!」
「クラウドは、大きいのでゴリゴリされるのが好きなんだろ?こんな風にさ、」
ゴリゴリ!ゴリゴリ!中をすさまじい体積の肉棒で穿られ、奥の壁を押し上げられて。
「いや!いや!いやぁっ!だめ!ざっくすの、おちんちんで、つきやぶっちゃう…っ」
腹の中を突き破られるのではないかと錯覚したクラウドは、いやだいやだと泣きながら、それでもザックスの腰に自身の美しい脚を絡めてくる。

「なんだよ、突き破ってほしいの?」
「……だって、ざっくす、だから……ざっくすなら、おれ、こわされてもいい、」
「……………っ」

「おれのからだ、ざっくすのだもん…っ!」

「こら!もう!んなこと言われたら、マジで抱き殺しちまうだろ!」
「や、あああああっ!はげし…!!!」
パンパンパンパンパン!!!パンパンパンパンパンパンパンパン!!!!

「ごめん、今日は抜いてやれない…、中に出す…っ」
「ひゃああんっ!!きもち……っ!しんじゃう!!!」

ズン!!!!!
思いきりクラウドの奥底を突き上げて、そのまま全てを叩きつけるように射精した。
薄い腹をがっちりとわし掴んだまま、クラウドの奥底に性器を押し付け、熱い欲望を流し込んでいく。

「…っ、このまま、孕め……っ」
「あ、あ、あ……おなか、とけちゃう…………っ」




気付けば、クラウドも達したらしくザックスの腹を濡らしていた。
とろとろに蕩けた表情で、力なくも精一杯、彼は両手をこちらに伸ばしてくる。
その手を迷わずとってやると、少し強引に彼の体を引き上げて、自分の膝の上に抱いた。

「やぁん…っ!なか、まだはいって…っ」
「今度はもっと、くっついてエッチしよ?ほら、座りながらだと、こうやってぎゅって出来るだろ?」
「でも…どうしたら、いいか、わかんな…きゃあん!!」
「大丈夫、クラは俺に抱きついてくれてればいいから。」
「や!下からついちゃ、だめっ!や!やっ!ほんとに、突きやぶっちゃう…っ?!」

がっちり抱きしめたまま、下から勢いよく突き上げてやると、先ほどなかに吐きだした精液がグチュ!グチュ!と濡れた音をたてた。
自分の精を、まるで彼の体の奥深くへと塗りこめるように。小さな尻をぐいと割り開いて肉棒を付きこむ。
尻の穴を開かれて驚いたのか、あるいは座位は結合が深まってしまうのか、
クラウドはザックスに揺すぶられながら、逞しい恋人の背中に必死でしがみついている。


「ざっくす、ざっくす……っ!!!」
「ほら、もっとくっついて。絶対、俺から離れるな。」
本当は、一生―――離したくない。このままずっと、この子を抱き締めていられたらいいのに。


「ざっくす…っ!すき…っ!」
「………………っ!」
背中に、チリチリと痛みが走った。
あの、ベッドでも遠慮がちなクラウドが、恋人の背に爪をたててくれたのだ。



その鈍い痛みは、まるで…普段見せてはくれない、クラウドの独占欲のような――



それがたまらなく嬉しくて、もっと傷跡を残してほしいと思う。
クラウドの体の、こんな奥深くまでたどり着けるのは。クラウドの心を、こんな奥深くまで見ることが出来るのは。
…この世界において、絶対に、絶対に、自分一人だけなのだから。

いっそ暴力的なほどの独占欲は、自分でも恐ろしいほどだった。
けれど優しくしたい、大切にしたいという気持ちもやっぱり本当で。
クラウドを汚したいのか綺麗なままでいてほしいのか、自分でもわけがわからなかった。



「ざっくす…っ、」
「クラウド、」
「おねがい………ざっくすも、すきって、いって?」



どく、っと心臓が大きく跳ねるのがわかった。
普段クールなクラウドが、これまで愛の言葉を求めてきたことは一度もなかった。
むしろ、好きだ好きだと愛情表現過多なザックスに対して、しつこいと呆れているぐらいなのに。



飲めない酒を飲んで、ザックスの部屋についてきたこと。
身体が反応していないのに、あれほどセックスを強請ったこと。
背中につけた爪痕。涙ながらに請う、愛の言葉。

ぎゅうぎゅうと甘く締め付けてくるのは、彼の腹のなかだけじゃない。
クラウドのこころも、またいじらしいほどにザックスを締め上げてくる。
彼の、これまで隠していただろう真実が――――――クラウドの「独占欲」が締め付けてくるのだ。





「愛してる。………俺には生涯、おまえだけだ。」





クラウドは、何かを口にしようとしたみたいだったけれど。狂いそうなほどの愛しさに、我慢できなくて――
クラウドの言葉も吐息も、彼の全てを奪うように、その唇を貪った。










*************




久しぶりに、泥のように眠った。
セックスの後はいつも眠くなってしまうらしいクラウド(可愛い)の寝顔を、とことん堪能するのが好きなザックスも。
昨夜の激しい営みと、ここ数週間ほとんど眠れていなかったのもあって、彼の体を清めた後すぐにベッドに沈んでしまった。

何時間ぐらい寝ただろう。
今日は二人とも、仕事は休みのはず。もうちょっとぐらい寝坊してもいいだろうか。
心地よい微睡みのなか――腕に抱いている宝物、その頭をそっと撫でてやろうとしたとき、
「え?!クラ?!クラウド!!」
いない。抱きしめて眠っていたはずの恋人が、腕のなかにいない。
慌ててベッドから飛びだすと、彼の名を叫びながらリビングへ走る。





「…おはよう、ザックス。」
「お、おはよう、ございます……。」
ソファに腰かけたクラウドが、振り返って首を傾げた。
金髪がキラキラ煌めきながら揺れ、伏せ目がちな長い睫毛がパチパチと瞬きした。

ひとりベッドに残されたぐらいで取り乱したことが気まずい。
体の調子はどうだとか、昨夜は可愛かったとか、むしろ今朝はもっと可愛いとか、
何より三週間前の謝罪とか――言うべきことは山ほどあるのに、うまく言葉が出てこない。

「どうしたの?ザックス、変な顔してる。」
不思議そうにこちらを窺ってくるクラウドは、白く美しい肌が朝日に透けるようで。
あまりに清廉な雰囲気は、昨夜あれほどベッドで乱れたことが嘘のようだ。
いや、まさか。
「…………あのさ、クラウド。もしかして、昨日のこと、覚えてない?」
かなり酔っていたようだから、その可能性も考えなかったわけでないけれど…まさか本当に、全部忘れてしまったのだろうか。

もしもそうならば、仲直りもやり直しだ。



「………ごめん、クラウド。あのな、俺の誕生日のときのことだけど、」
「その話はもういいってば。…じゃあ俺、もう帰るから。」
「え?なんで?朝飯つくるし、食っていけばいいじゃん、」
「それと、鍵返すね。」
「え、………え?!」

ボクサーパンツ一枚の寝起き姿のザックスと違い、クラウドはすでにしっかり着込んでいた。
その細い首筋にはきっと、ザックスがさんざん散らしたキスマークがついているはずだけれど、シャツのボタンを上までしっかり止めているので全て隠れてしまっている。
昨夜の甘い情事の記憶がない彼からすれば、まだ冷戦中ということだ。


「ちょっと待って!待ってくれ!!話があるんだよ、クラウド!!」


玄関に向かうクラウドの肩を思い切りつかむと、彼はふらりとよろめいて、そのままザックスの胸で受け止めるような体制になった。
「……クラウドどうした?体、どっか痛いのか?」
「誰のせいだと思ってるんだよバカ。」
「あれ?なんかクラウド耳まで真っ赤…」
昨夜さんざん抱きつぶしたせいで、クラウドの足取りが心もとないこと。
そのことを、クラウドがちゃんと覚えていること――その事実にザックスは思い至った。


「クラウド、エッチしたこと覚えてるんじゃん!じゃあ、なんで鍵返すんだよ!」


せっかく、クラウドと仲直りすることが出来たのだ。
離れていた三週間分、今日はクラウドとくっついていたいし。不安な想いをさせたお詫びに、今まで以上に甘やかしてやりたいのだ。
それなのになぜ、クラウドの態度は変わらず冷めているのか。

「だって……………俺、別れたくない。」
「へ?」
「ザックスが合コン行っても怒らないし、合鍵も返すからもう勝手に部屋にあがらない、それにエ、エッチした後……いつまでも部屋に居座ったりしない。だから、」
「え、ちょっとまって、」





「別れるなんて、言わないで……」





お酒の力を借りているわけじゃない。ベッドの中で、雰囲気に流されてのことでもない。
クラウドからの健気すぎる愛の告白に、ザックスは眩暈がした。

「…あのさ、クラウド。別れるなんて言うわけないって、昨夜さんざん言っただろ?」
「でも、ザックス恐い顔して、話があるって、」
「そういう話じゃないって!つまり、俺がおまえに言いたいのは……なんていうか、もう合コンなんか絶対行かないし、合鍵も返さなくていいし、エッチの後はベッドでいつまでもイチャイチャしたいってことで、」

伝えたい言葉、伝えたい想いはたくさんあるのに、何から伝えたらいいのだろう。
〝好き、大好き、愛してる。〟
これまで当たり前みたいに彼に抱いていた感情は、もっともっと色濃く、鮮やかに色づいていって。
もうそんな使い古された言葉だけでは、表現しきれる気がしなかった。それがもどかしい。

「おはようのチューもしたいし、クラウドの彼シャツ姿も見たいし、朝飯にパンケーキ焼いてあげたい。…朝起きたらおまえがいないかもって、焦ったりするのも嫌だ。」
これほど誰かを好きになれることはもうないと思っていたのに、まだなお、この子を好きになる。
「かっこ悪いけど、余裕なんてないんだ。…無理だってわかってるけど、おまえのこと、独り占めしたい。」
きっと、昨夜ベッドのなかで彼を抱いたときよりも、今、彼を愛している。
1秒後はもっと愛している。明日はもっと。100年後はもはや狂気の沙汰だろう。





「だから…俺と、一緒に暮らして。」





愛しているから、彼を鎖で繋ぐことは出来ないし、この小さな部屋に閉じ込めることも出来ないけれど。
せめて今だけは、この胸のなかに閉じ込めてしまいたくて。
「はい」の代わりに背中に爪をたててくる恋人を、ぎゅう、と力強く抱きしめた。














クラウド君は、ザックスに嫌われないように「重くない恋人」に徹していたわけですが。
結局、実はお互いに相手を独占したくてたまらない!という…お似合いカップルなのでした(*´∀`*)

しかし、隣に住んでいる(←MY設定的に)カンセルさん、これから毎晩寝不足ですね…
いいなあカンセル_(:3」∠)_
(2018.05.20 C-brand/ MOCOCO)


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