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クラウド君の恋愛マニュアル。

お仕置き編

 

※ これまでにないほどの、露骨な性的描写あり!背後も要注意です!18歳以上の方の閲覧推奨。

 

 

「愛とは、最高の奉仕である。」

……そう言ったのは、誰だっけ?

 

ザックスの、キスが好きだ。

「ふ…ぁ…ん…っ」

こんな、舌をいれるキス。歯がうくような、ラブストーリーの映画の中だけだと思っていた。

「ん…は、ふ…っ!」

手足に、力が入らない。

思わずその場に倒れこみそうになると、ザックスの力強い腕が、腰に回される。

そうしてまだ、ザックスのキスは続く――息が、できない。

「く、るし…」

ザックスは、いったいどうやって呼吸をしているのだろう。

どうして自分だけが、こんなに息苦しいのだろう。

「…し、ぬ…」

 

いっそこのまま、死んでしまっても、いい。

ザックスに全てを委ねたまま、死んでしまっても。

 

「死ぬなよ。」

「は!はあ…っ!はあ…っ!」

ふいにザックスの唇が放され、空気を自由に吸えるようになる。

ザックスは悪戯っぽく、笑う。それは、いつものからりとした笑顔とは、少しだけ違う気がした。

「俺をおいて、死ぬなよ?」

そう、口元を吊り上げて笑うザックスに、背筋ぞくりと凍った。

恐くて、じゃない。

 

 

夜の顔をする、ザックスに――興奮して。

 

 

もうすっかり、膝は震えていて。とてもじゃないが、立っていられない。

ザックスに全体重を預けるようにして、彼の胸元に顔を埋める。

…ザックスの、心臓の音が聞こえる。

きっとクラウドの心臓の音も、彼に聞こえているはずだ。

(――ドキドキうるさいのは、どっち?)

 

どちらの心が、こんなにうるさいのだろう?

どちらの体が、震えているのだろう?

 

(きっと、二人とも。)

 

きつく抱き締め合っている今でさえも、体の震えが止まらない。

心が、体が、震えている。

愛しくて。

 

 

――欲しくて。

 

 

「俺のこと…嫌いになったり、してない?」

そんなわかりきったこと、聞かないで欲しい。

「そんなわけ…ない、ばかザックス…。」

そう答えると同時に、クラウドの太ももに、ザックスの手が置かれる。

その手が遠慮がちに、肌を撫でて。そのまま、スカートの中に侵入してくる。

「俺が何をしても、嫌いにならないって……。誓って。今、ここで。」

 

耳元でそう囁かれ――ザックスの熱い息が、耳にかかる。

そして、明らかな意図をもって、這い登ってくる手。

ザックスの、自分より熱を持ったその手が、スカートの中でクラウドの下着に触れる。

でも、それ以上は何もしない。

手を止めて、ただクラウドを抱き締めたまま、じっとしている。

クラウドの答えを、待っているのだ。

 

 

 

「――どうやったら、嫌いになれるの?」

 

 

 

「え…?」

ザックスが、クラウドの耳元から口を離して、顔を覗きこんでくる。

彼にしては珍しい、どこか緊張した面持ちだった。

「教えてよ。アンタみたいなやつを、どうやったら嫌いになれるのか。」

彼の匂いを嗅ぐだけで、その声を聞くだけで、そして触れるだけで。

全身が打ち震えるほどに、想いが溢れて仕方が無いのに――

いったいどうやったら、この愛しい人を嫌いになれるというのだろう。

 

「クラウ、」

彼の言葉を遮って、その唇を奪う。

ずっと我慢していたのだ。他の女の人のモノだと思って。

唇をただ合わせるだけでは、もう物足りない。

でも先ほどザックスがしてくれたキスのように、自分の舌を入れるほど…大胆にもなれない。

クラウドにとっては、ザックスとのキスが、人生で初めてなのだ。

(…やり方なんて、わかんない。)

少し戸惑ってから。ザックスの薄い唇を、軽く噛んでみる。

その行為に驚いたのか、ザックスが息を飲むのがわかった。

 

(気持悪いって、思われた…?)

ザックスがキスに応えてくれず、クラウドの心中に不安がよぎる。

数回、甘噛みを繰り返すも…彼からは、何の反応も得られず――

なんだか急に自分が情けなく、恥ずかしくなって。ザックスの体から、慌ててその身を離す。

でも、さっきのキスの余韻か、やっぱり足元はおぼつかなくて。

白い石作りのダイニングキッチンに、両手をついて、体を支える。

 

「俺、何やってんだろ…。図々しくて、ごめん。ごめん、なさい…。」

もはや彼の顔を見るのも恥ずかしくて、彼に背を向けたまま振り向けない。

「別に、ザックスが俺のものなる、とか思ってるわけじゃないし。」

ただ、彼に好かれたかったのだ。ほんの少しだけで、いいから。

「やっぱり、男同士じゃ…できないこと、なんだろ…?」

これ以上の何かは、男である自分には、きっと叶わないものなのだろう。

 

 

 

「……クラウド相手じゃ、きついかもな。」

そう、ザックスの答えが返ってくる。

はっきりとしたその拒絶の言葉は、まるで心を抉るようにすら感じた。

「こんな細い腰。女の子だってありえねえだろ。」

女と比較され、自分の薄い体への批判――

柔らかい胸もお尻も、当然クラウドにはあるわけもない。

 

こんな風に、女の格好をしていたところで。

本当に女になれるわけではない。

(あんなに、女に間違われるの、いやだったのにな…)

ザックスに選ばれるためならば。いっそ、女に生まれたかったとすら思うなんて。

 

 

――いや、違う。

ザックスに望まれないならば、いっそこのまま死んでしまいたいとさえ。

 

 

 

 


 

「――俺、オマエを壊しちまうかも。」

「え?」

 

そう言われた瞬間、後ろから、力強く抱き締められる。

そうしてそのまま、首筋に吸い付くようにキスをされ。そのまま、彼の唇が背中にまで下りてくる。

背中が全開のメイド服を着ているのは、果たして幸か不幸か。

「……っ!ざっく、す!」

ザックスの熱い舌が、背中を這い回る。

そしてそのまま、下におりて――――

 

「え?!ざく…?な、に…?!」

腰を少し後ろに引かれたと思うと、ザックスはクラウドのスカートをめくりあげ、

黒いレースの下着を、下に少しずらす。

当然、クラウドの小さな白い尻が露になり……

「や…やだ!やだやだ!」

 

あろうことか、ザックスがそこ≠――クラウドの尻のピンクの蕾を、舐め始めたのだ。

抵抗しようとしても、腰をがっちりと掴まれて動けない。

ただ、首を横に振るしかなかった。

「やだよ!ザックス!そんな、そんなのやだ…!」

キッチン台に手をついたまま、尻を突き出して、首を横にいやいやと振る姿は。

そんなつもりはないのに、まるでザックスの行為を悦んでいるかのようで。

きっと今なら、恥ずかしくて死ねる気がする。

 

 

 

「ちゃんと慣らさないと。痛くしたくないから。」

執拗に舐め続けていたザックスの舌に、やっと開放されたかと思ったら。

今度は、何かを尻に垂らされる。

「ひぁ…っ?!」

「……クラウドって。もしかして、すっげー感じやすい?」

「何、言って…!」

からかわれた気がして、かっとなる。

一発ぶん殴ってやろうと思って、振り返ろうと試みたものの、相変わらずザックスの左手が

がっちりと腰を掴んでいて、微動だにできない。

「ひぁん…っ!や、ぁ…?!」

そして、なんと言うことか――ザックスの、指が。ぬるりと、尻の中に差し込まれた。

(う、嘘…!)

 

さっき垂らされたのは、オリーブオイルだろうか。

くちゃくちゃと音を立てながら、指が抜き指しされる。

まさかそんなところに、指を入れられるとは思っていなかった。

あまりの驚きに、悲鳴に近い声をあげる。

「やぁぁっ!や!やだ!いやぁ…っ!」

「やっぱ、すっげー敏感だな…。」

ザックスが、こくりと唾を呑む音が、すぐ後ろで聞こえてきた。

 

こんなところに、指を入れられてしまっているのに。

どうしてか、ざわざわと体が騒ぐよう――ザックスの長い指が、狭い腸壁をするたびに、

腹の下辺りが、熱を帯びてくるようで。

 

「はやく、お前の中、入りたい……」

そう、低い声で囁かれ、耳に舌を刺しこまれた瞬間。

「やあん!」

信じられないぐらい、甘い声が出てしまった。

「…なに、それ?」

ザックスが、短くそう言う。

 

女みたいな声を出して、気味悪がられただろうか――また、卑屈な考えが心を支配した。

「なに、その可愛い声?反則だろ。」

音を立てて、耳にキスをされる。

ザックスの尻をいじる指が、大胆な動きになって、彼の長い指が何度も何度も抜き挿しされる。

そしてしつこいぐらい、耳のナカを舐められ――

「あ、あ、や!やめ…!」

「耳、弱いんだな。ここ攻めるとさ…オマエの中、ぎゅうぎゅうする。」

 

言われた意味を理解して、羞恥でおかしくなりそうになる。

女のような声を止めることもできず、ザックスの指を体が勝手にくわえ込む。

体が勝手に、彼を求めて止まないなんて。

 

 

 

「欲しい?」

 

 

 

何が――だろうか。

ザックスが、これから何をするつもりなのか。クラウドには、わからない。

だけど、ザックスがくれるものならば、何だって欲しかった。

どんなことをされたって、受け入れる自信が、ある。

 

「欲し、い…」

 

息も絶え絶えに、そうなんとか答える。

「…わかってないだろ、オマエ。俺が、何をしようとしてるか。」

すぐ後ろで、ザックスが苦笑する。

ザックスの言うとおりだ。何を「欲しい」と問われたのか、思考を巡らせてもわからない。

だけど、これだけは言える。それは、確信。

 

 

 

「ザックスが―――欲しいよ。」

 

 

 

「……ごめんな。嫌いに、なるなよ。頼むから。」

すると、尻から指が抜かれ…代わりに「何か」が、宛がわれる。

熱い、何かが。

それがいったい何なのかを認識する前に、クラウドの体に割り入るように侵入してくるもの――

「いやああああっ?!ひ、あ…っ!な、に?なん、なの…?!」

まるで、メリメリと音を立てるように、何かが体の奥深くまで入ってくる。

信じられないほど、熱くて太いいそれが。

 

「やぁん!おっき、よ…?!」

指なんかではない。

指とは比べ物にならないほど、体積があって、硬いもの。

まるで生き物のようだ。だって、びくびくと脈打っているのだから。

「この…男殺し!あんま可愛いこと、言うな…!」

一度、侵入してくるそれが、ぴたりと止まって。

次の瞬間には、ズン!とそれを最奥まで突き入れられた。

「ひ…!きゃあん!」

 

奥まで達したその衝撃で、クラウドの前が、弾けてしまった。

自分で慰めたこともないクラウドからすれば、それはあまりに衝撃的だった。

だけど自分の出したものは、さっきザックスがクラウドの口の中で出した、あの苦い液体と同じものなのだろう。

初めての射精による、快感と…それ以上の疲労感が、体を襲う。

「挿れただけで、いっちゃったんだ?ほんとオマエ、可愛いな…。」

「可愛いって言うな!」と。いつもなら、怒ってやるところなのに。

今は、そんな気力もない。体に、力が入らない。

 

 

 

「――もっと奥だと、どうなっちゃうの?なあ、」

 

 

 

その言葉の真意を理解したときには、もはや悲鳴をあげるしかなかった。

ザックスが腰を持ちなおし、奥深くまでそれを突き立ててきたのだ。

「いやぁぁぁぁ?!あっ!ぁあ!やめ…て…っ!」

最初控えめだった動きが、すぐに激しくなって。

パンパンパン!と音を立てながら、打ち付けられる。

「や…!恐い、おかしく、なっちゃ…!」

今、自分の体を貫いているのは、まさか―――考えたくないけど、まさか。

 

 

「……クラ、顔、見たい。」

奥深くで、「それ」がぴたりと止まったかと思うと。

ザックスが、クラウドの体を反転させる。

腰を支えられたまま、左足を持ち上げられ、ザックスと向かい合う体制になる。

もちろん、「それ」は入ったまま。

「や…やあぁぁぁぁ!!」

あらゆる壁を、その凶器がすりあげていく。

わずかな摩擦さえ、クラウドにとっては大きな刺激となって。

その未知なる感覚が、恐い。それってもしかして、「快感」と呼ぶのだろうか?

 

そうして、向かい合ったこの体制ならば。

ザックスの「なにが」自分の中に挿れられてしまっているのか、

はっきりとわかった。とても、認めたくはなかったけど――。

 

ザックスの、雄が。

少しの隙間もなく、クラウドに埋め込まれているのだ。

そしてそれを、まるで悦ぶかのように、反応する自分の体。

「ここ、ひくひくしてるよ?そんなに、俺が好き?」

――そんな当たり前のこと。

答える価値もない、馬鹿げた質問だ。

好きでなければ、こんなに全身で彼を求めたりはしないだろう。

彼を放したくないと、心だけでなく、体までもが叫んでいるのだ。

 

 

「大っきらい、」

「クラウド…、」

「大っきらい、じゃない、って…言ってる、だろ!この、ふにゃちん、野郎!」

 

 

自分の気持ちなんか、お見通しのくせに…わかりきった質問をされて、腹がたつ。

こんなに好きなのが、悔しくて、悔しくて。

何でもいいから、なじってやりたかった。

 

これだけの凶器を突き立てられながら、いったい何がふにゃちん≠ネのか。

もはや、クラウドにもわからなかったけれど。

「そーいうこと、まだ言う?気の強い、メイドだな。」

ザックスが、目を細めて笑う。

「お仕置き、必要、かな?」

クラウドの体は、キッチン台に半ば座っているような体性でザックスに抱き締められていたが、

次の瞬間にはふわりと体が浮いて、世界が反転した。

 

「あ、…!」

繋がったまま、フローリングの床に押し倒されて。

上から覆いかぶさるように、ザックスが重なる。

床に押さえ込まれるとき、当然背中に衝撃がくると思っていたのに、クラウドの背にはザックスの

大きな手が回され、少しも痛みはなかった。

 

 

 

「お仕置きの、時間。」

 

そう、優しくないことを言いながら、頬を撫でてくるザックスの手は、とても優しい。

見下ろしてくるその瞳も、少しの攻撃性も感じられない。

目を細めて、愛おしそうにこちらを見つめてくる。

クラウドが恥ずかしくなるほど、ザックスは、いつだって優しいのだ。

 

「…背中、痛くない?」

思ったとおり、クラウドを気遣ってばかりのザックス。

「お仕置きなんだろ。」

「えっと、そう、だけど…痛いのは、可愛そうだろ。」

思わず、噴出してしまう。いったいそれで何が「お仕置き」だというのだろう。

 

「こら!なに笑ってんだ!こっちは余裕ないってのに!」

クラウドの笑いにつられて、ザックスも少し照れくさそうに笑う。

「ザックスって、悪者には、絶対なれないタイプだよね。」

こんなに優しい人だから。

…なんて、そこまでは言ってあげないけれど。

「俺は、オマエの悪者になりたくないだけだよ。」

無意識なのか、クラウドの髪に手を差し込んで、何度も梳く。

これは、ザックスの癖だ。

 

 

「オマエのためなら、世界だって滅ぼせる。でも――世界のために、オマエを失いたくはない。」

 

 

「なにそれ?」

「名言集。」

「誰の?」

「俺の。」

 

 

二人、顔を合わせて笑う。そのまま、どちらからというわけでなく自然に唇が重なり――

「クラウド、」

ザックスが、腰を持ち上げて、さらに奥に入ってこようとする。

「や…もう、入んない、よ…!」

「もっと、奥、入りたい。クラウドの中、全部俺にしたい。」

「なに、ばか言って…ひぁ!あ…っ!」

ザックスの言葉は、まるで予言のようだ。

その言葉どおり、ザックスはクラウドの中で、まさに全て≠ナあって。

 

 

もう、彼しか、わからない――彼しか、いらない。

 

 

世界だって滅ぼせるのは、きっと自分だ。どんな罪だって、厭わないと思うのだから。

(ねえ、アンタのためなら…何だって、できるよ。)

アイシテル≠ウえ言えない自分が、そんなことを伝えられる日は、間違いなくこないと思うけれど。

 

 

 

 

 


 

「や、やぁ…!もう、やめ!死ぬ…死んじゃう、よ…!」

「――な、クラ。お願い、言って?」

「なに、を…」

まさかこの期におよんで、アイシテル≠ニかスキ≠セとか。

愛の言葉を、要求してくるつもりなのだろうか?

そんなわかりきった、ばかばかしいこと―――

 

 

 

「ご主人さまって。」

――は?

 

 

 

「言うか!この、バカ!あ、やぁ…!」

「お願い、言って!一度でいい!その一回で、俺一ヶ月は抜ける!」

「バカバカ!あ、ん、この、変態…!」

悪態ついてみせても、甘い声が、次から次へと漏れてしまう。

 

「お願い、言って!」

言うわけ、ない。言ってと言われて、素直に言う性格じゃない。

絶対、言うわけ、ないのに。

「…ま」

「え?」

 

 

 

 

「ご主人さまぁ…!」

 

 

 

 

ザックスにしがみついて、そう叫ぶ。――もう、やけくそだ。

だって、好きなのだ。変態くさいこの男が。主人の威厳が、欠片もない男が。

世界で一番、情けなくて―――優しい、この「ご主人さま」が。

 

 

「クラ!今ので、俺3ヶ月は抜ける!!」

(…3ヶ月って、増えてるし。)

「なあなあ、次は、にゃんって鳴いて!にゃんにゃん!」

「死ね!このバカザックス!」

「ちょ、猫耳メイドさんが、にゃんって鳴かなくてどうするの?!」

 

 

 

 

 

「恋」と「変」は紙一重。

(その格言も、アンタの名言集に載せとけよ!)

 

 

 

 

 

だけど、だけど、だけど…だけど。

アイシテルの言葉の代わりに、

にゃん≠チて鳴いてあげてもいいかな…?

(キミの喜ぶ顔が、見たいよ。)

 

 

 

ニ ャ ン ニ ャ ン

「愛とは、最高の奉仕である。」

――クラウド君の恋愛マニュアルより、一部抜粋!

 

 

 

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C-brandMOCOCO (2009914

イラストは夜啼鳥・結華さまより頂戴しました!心から愛してます!

 

 

 

 


 

 

 

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