※ 露骨な性的描写あり。というかそれしかありません!18歳以上の方の閲覧推奨。
フニャチン野郎、なんてもう言わせない。
「こんなに欲しいのに、なんでくれないんだよ!」
そう、クラウドに泣かれた瞬間。
ザックスは胸のあたりにある「何か」を、強く刺されるような衝撃を感じた。
それはたぶん、いわゆる心(ハート)というやつで。刺さったのは、天使の矢なのだろう。
幼い子供がオモチャをねだるような、不器用な言葉。
そのあまりに真っ直ぐな想いが、どうしようもなく、愛しいと思った。
当の本人はというと――鼻歌まじりに、ザックスの食べ終わった食器をキッチンで洗っている。
やっぱりというか、お決まりというか。
どうやらクラウドは、「ご奉仕」の意味を完全に履き違えているようで。
炊事や掃除、洗濯などの家事のことだと思いこんでいる。
……まあ、それこそが本来の「ご奉仕」なのかもしれないが。
だが、ザックスとしては、もちろんそんなことは望んでいない。
他でもない自分のために、クラウドが食事を作ってくれたり、皿洗いをしてくれるのはもちろん嬉しい。
ハンバーグふうふう≠されたときは、心から生きてて良かったと思った。
まるで甲斐甲斐しい新妻のようで、今も顔が自然とにやけてしまう。
だけど、普段からクラウドの世話を焼くのが趣味と言っていい、そんな甘やかしぶりなザックスとしては、
もっと彼を甘やかしてやりたいのだ。
(皿洗いなんて、俺がやるのに。そんなことより…)
嬉しいことに――はたまた、下半身的な意味では辛いことに。
クラウドはなんとまた、一度脱ぎ捨てたメイド服を着てくれている。
「ご奉仕」とは、メイド服を着てやるのが当たり前だと、思い込んでいるらしい。
もしくはレノあたりが、そんないい加減な情報を与えたのかもしれない。
(レノも…見たんだよな?このカッコ……。)
正直、面白くない。クラウドのこの犯罪レベルに可愛い格好を、他の男に見られたということが。
このクラウドを見て、レノはどう思っただろう。
真珠みたいな白い肌が輝く、綺麗な背中。細くてすらっと伸びる、脚。
男のくせに信じられないほど、きゅっとくびれたウエスト。
レノが、興奮しないわけがない。いや、男なら誰だって目を奪われるはずだ。
「クラウド、」
「わ!なに、びっくりするだろ…」
クラウドが食器を洗っている後ろから、ぎゅっと抱き締める。
彼のふわふわの金髪に、顔をうずめると。甘い匂いに、酔いそうになる。
クラウドは、もうウイッグはつけていない。
(やっぱり、本物の金髪の方が綺麗だな…。)
まるで一本一本がキラキラ光るように、あまりに眩い。
ミッドガルで金髪は珍しい。
ブロンドに憧れて染めている女の子はたくさんいるけど、こんな綺麗な色にはならないだろう。
いや、何人かいる北方出身のガールフレンドだって、こんなに混じりけのないブロンドはなかったはずだ。
…それに、クラウドの綺麗なうなじ。
(女の子だって、こんなに細首じゃないぞ。)
白くて細い首筋は、今にも折れてしまいそうで、庇護欲を掻き立てられる。
「ばかみたいだな、ほんと。」
「…え?」
ザックスの言葉に、クラウドは何かマイナスの意味を想像したらしく、その瞳が揺れる。
しまった、と自分のデリカシーのない発言に、内心舌打ちする。
「違う違う!俺が、さ。ずっとトモダチだからって、気持ちごまかしてたのが。
さんざん遠回りして、ばかみたいだなって思ったわけ。」
そう、柔らかい耳たぶにキスをしながら伝えると。
クラウドの貝殻みたいな白い耳が、一気にピンクに染まる。
「…ザックス、お皿、まだ残ってるから。向こうで、テレビ見てて。」
恥ずかしいのか、こちらを振り向こうとはしない。
「ご主人さま、だろ?今日だけはさ。」
そう悪戯っぽく笑って、クラウドのうなじにもキスをする。
2.3回、繰り返した後で、どうしてもその滑らかな心地よい感触に我慢できず。
思わず、舐めあげる。
「ちょ、なにすんだよ!」
「何って、さっきの…続き?」
もしも、携帯電話さえ鳴らなければ。
きっとあのとき、ソファであんなことやこんなこと≠、彼にしていたはずで。
女好きで節操なしの自分に原因があることなのだけど、やっぱり邪魔をした携帯がうらめしい。
…そうはいっても。
本当は、最後までする勇気なぞ、ザックスにはない。
一度は勢いで押し倒してしまったけれど、お互いの気持ちを知った今。
とてもじゃないが、クラウドに嫌われるかもしれないようなコト――できるわけがない。
クラウドは、きっと。いや…間違いなく、何も知らない。
もしかしたら、赤ちゃんはコウノトリが運んでくるとか、キャベツ畑でできるとか。
そんなファンタジーを信じているかもしれない。それほどの、純粋無垢っぷりだ。
…何も知らないくせに、こんな「今すぐ食ってください」と言わんばかりの格好をして。
まるで、自分のガラスなみに脆い理性を、試されるような拷問だ。
「続き、してくれるの…?」
「え」
クラウドが顔だけ振り返り、至近距離で彼と目が合う。
零れ落ちそうな大きな瞳に、長い金のまつげ。思わず、見惚れてしまう。
――このまま、キスしたい。いや、食いついてしまいたい。
だけど、だけど―――いったいクラウドは、どこまで理解しているのだろうか。
「あのさ……クラウド。オマエ、その、どこまでわかってんの?俺がしようとしたこと。」
「ごめん…なさい。俺、たぶん、あんまりわかってない、と思う。」
責められていると勘違いしたのか、少し怯えた表情でそう答える。
「だろうなぁ。」
「だから、教えて?」
「え…?」
「口でするご奉仕って、なに?どうやるの?」
「げ!」
どうやらクラウドはまだ、マチルダのことが気になっているらしい。
だが教えて≠ニ言われても。まさかクラウドに、そんなこと――
自分のグロイものをしゃぶらせるなんて鬼畜なこと。できるわけがない、無理だ。
クラウドが、水道の蛇口を捻って止める。
タオルで手をふくと、ゆっくり振り返る。そしてそのまま、ザックスの胸に顔をうずめてくる。
そういえば、自分は遠征から帰って、シャワーを浴びていない。
…こんなに密着して、汗臭くないだろうか?
「ごめん、俺、汗くさいだろ。」
「うん。」
そうクラウドにあっさり返され、なんだか申し訳ない気分になる。
何しろ彼からは、いつだって甘い香りがする分、なおさらだ。
「ザックスの匂い。すごく嫌いってわけじゃ、ない…けど。」
ザックスの胸に顔をうずめたまま、そう小さな声でクラウドが言う。
――彼の嫌いじゃない≠ヘ、いわゆる好き≠ナ。
「他の、女の人になんか……渡すもんか。ばかザックス。」
――ばかザックス≠ヘ大好きザックス≠ナ。
だから、と。
ザックスの背中のシャツを握る、その小さなクラウドの手に力が入る。
「えっと、クラウド。」
「お願い、教えて。俺、何だってする。何だって、できるよ。」
まるで、しがみつくかのようなその必死さが、どうしようもなくいじらしい。
「嫌いになったり、しない?」
「しない!…しない、もん。」
男がもん≠ネんて。その凶悪な可愛さに、思わず苦笑する。
この誘い方も、レノに教わったのだろうか。
それとも、天然で?
「じゃあさ、」
ぎゅ、とクラウドを抱き締める腕に、力をこめる。
そうすることで、自然と下半身もクラウドに押し付けることになって。
「これ、クラウドにご奉仕してもらおうかな。」
なんて、冗談めかして言ってみるけれど。
こんな浅ましい自分を、どうか嫌ってくれるなと…内心、切に祈りながら。
クラウドの体を少し離すと、彼の瞳が不安に揺れる。
大丈夫、突き放したわけじゃないよ、と。そう無言で訴えるように、優しく唇を重ねながら、
その場で自分のベルトを引き抜き、ボトムの前をくつろげる。
そうして取り出したものは、自分でも引いてしまうほど、すでに張り詰めていて。
いきなり見せられたザックスの下半身に、当然のことながら、クラウドは驚愕している。
おそらく、ザックスの意図がわからないだろう。
「…口でするご奉仕、って。」
「そう。これ、舐めてくれる?」
何も知らない無垢な彼に、こんなことをさせようとするなんて。
さすがに、引かれただろうか。
「…嫌だったら、いい。俺、オマエに嫌われたくないし。」
そう言って、その浅ましい欲望を隠すように、ボトムのジッパーを引き上げようとすると。
「できるもん!」
そう、またもザックスの好きなもん≠ニいう可愛い一言を放って、クラウドがザックスの前にしゃがみこむ。
そうして、『それ』をザックスから奪う。
いや、『それ』はザックスに繋がっているのだから、完全に奪うことはできず、ただ引っ張るカタチになるのだが。
「いて!ちょ…クラウド?!引っ張るなって…」
まるでこのオモチャは自分のものだと、そう主張する子どものように。
ザックスの雄を、両手で握りしめている。
少し、痛い。だけど、それ以上に――興奮する。
クラウドが上目遣いで、ザックスの方を窺う。
そうして目を合わせたまま、彼の赤い舌がちらりと見え――ザックスの雄に、触れた。
「……っ!」
きっと、どう舌を動かしたらいいのか、わからないのだろう。
明らかに戸惑った表情をしながら、遠慮がちにぺろぺろと舐め始める。
そのもどかしさに、異様な興奮を感じて。
拙い口淫に、思わず情けない声をあげそうになるのを、ザックスは何とか耐えた。
「気持ち悪く、ないか…?」
そう、クラウドに聞いた後で。無粋な質問だなと思う。
気持ち悪くないわけが、ないのだ。
なんの予備知識もないまま、いきなり男のモノを舐めさせられて。
「ごめん、な……、」
愛しい彼に、こんな最低なことをさせているのが申し訳なく感じて、思わず謝罪の言葉を口にする。
まったく、今さらだけれど。
瞬間、クラウドの目つきが変わる。
まるでザックスを責めるように、するどく睨みあげ。
今まで遠慮がちに舐めていたそれを、一気に口に含む。
「うわ!」
思わず、情けない声が上がってしまい――恥ずかしくなる。
でもクラウドは気にするようでもなく、まるでしゃぶりつくような必死さだ。
クラウドの小さな口では、ザックスのそれは明らかに収まりきらないけれど。
それでも必死で頬張って、口を前後に動かす。
初めてのくせに。
すごく、いい。
いや、その動きは相変わらず拙くて、ときどき歯が当たって色気がない。
握る手の力も強すぎて、少し痛みも感じる。
だけど―――
あのツンツンしたクラウドが、あのストイックなクラウドが。
他でもない自分のために、必死でご奉仕≠オてくれている。
自分を好きだと、全身で訴えている。
それが、嬉しくて、嬉しくて。―――愛しい。
「クラ、もう、いいから……」
情けないことに、声がかすれてしまう。
今まで、どんなプロのお姉さんにしてもらっても、こんなに興奮したことなどない。
どんなにザックスを好きだという子にしてもらっても、こんなに懸命に愛してもらったことはない。
こんなに可愛い顔で、男のものを口に含める子は、絶対にいない。
沸き上ってくる射精感を、なんとか耐えて、クラウドの顎を外そうとする。
するとそれを、拒絶される。
「やら!俺の!」
「ちょ、待って。待てって!」
口に入れたまま、それを放そうとしない。
『俺の』って――それは明らかにザックスのものなのだけど。
クラウドがそう言うなら、それはきっとクラウドのものになるのだろう。
なんて。信じがたい快感の波の中で、ぼんやりとそう思っっていた。
ワガママな彼が、あまりに愛しい。
快感と愛情に翻弄されながら、たまらなくなって、クラウドの柔らかい髪を優しく撫でる。
「好きだよ。クラウド…」
思わず、安っぽい愛の言葉を口にして。
でもそれは、不思議なほど自然に出てくる言葉なのだから、仕方がないのだ。
するとその瞬間。
まるでそれに答えるかのように――クラウドが、強く吸い上げる。
俺の方が≠ニ訴えるような、そんな可愛い舌使い。
だから、つい――
「うっ…わ?!」
「ふぁ…!ふ、う…っ!」
しまった、と思ったときには遅かった。
あの、可愛いクラウドの口の中に――自分の濃いものを、思い切り出してしまって。
「ごめ、ほんとごめん…!」
慌てるザックスをよそに、彼はちゅうちゅうとそれをさらに吸い出す。
まるで一滴残らず、吸い取るかのように。
(――やばい、いい。)
キッチン台を背に寄りかかりながら、砕けそうになる腰を、何とか奮い立たせる。
クラウドにイかされて、腰くだけなんて…そんな醜態は見せられない。
クラウドは、苦しそうに顔を歪めながら、それでもそれを飲み込もうとしているのだろう。
「ん…んん、んく…!」
どうやらうまく飲めこめないでいる、必死な彼を立たせてあげて。
そして、そのまま後ろのキッチンで、クラウドに吐かせる。
「ほら、そんなの飲まないでいいから!吐きだして。」
いやいやと首を振る。…その、ワガママは可愛いのだけれど。
「いい子だから、な?」
クラウドの唇に、そっと指を入れて、口の中に残った白濁液を出すように促す。
観念したのか、クラウドはそのままザックスの精液を吐き出した。
そのクラウドの口を、水道の蛇口を捻ってゆすいでやる。
「……苦い。最低な味。」
「そっか。大人の味だもんな。」
頬をふくらませて、すねた顔を作る彼に、苦笑する。
最低、と罵りながらも、懸命に飲み込もうとしてくれていたのだから、愛を感じざるをえないのだけど。
「次は、何する?――ご主人さま。」
そう言って、唇を寄せてくるメイドに、自分の唇を重ねようとすると、逃げられてしまう。
だから、夢中で唇を追いかける。
(この小悪魔!男殺し!)
クラウドは、なかなかキスを許してくれない。
やっと柔らかい唇を捕まえたとき、思わず貪るようにキスをする。
何度も、何度も。何度だって。
いったいどちらが主人なのか。どちらが所有物なのか。
イニシアティブは誰のものか。
考えるのは苦手だから、考えない。
どうせ惚れたら最後、彼の思うがままなのだから。
彼の前では、ただの男。恋の、奴隷―――
小さなご主人様に囚われているのは、きっと俺。
皿洗いだって、洗濯だって、ベッドの中だって。
我が君のために、この身を捧げると誓います。
(でもあと一回だけ、ご主人さまって呼んでくれたら嬉しいなあ……)
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