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★「ドン・ザックスの館〜結婚初夜?〜」の続きです。エアリス視点。

腐女子で下品なエアリス(ありえんだろ)が許せる方のみ、どうぞ!

 

ドン・ザックスの館

〜腐女子の呟き〜

 

…ミッドガル、お花でいっぱい!萌えでいっぱい!

 

 

「んん…!やめ、はなし……」

「嫌だね。一生、離さねえよ。」

 

扉の鍵穴から覗けば、そこは未知の世界だった。

室内は、絶え間なく荒い息遣いと、舌が絡む音が聞こえてくる…

まるで映画の中みたいにロマンチックで、でもよりリアルで生々しい。

 

―――濃厚なラブシーン。

 

クラウドは酸欠状態にあるのか、キスに酔ってしまったのか。

目がとろんとしていて、頬を綺麗な桃色に染め上げている。

いつも強くて、クールで、女の子相手にはダンディズムさえ気取るようなクラウドが…

こんな顔、するなんて。なんていうか、壮絶に妖艶で色っぽい表情。

 

「ちょ…私のクラウドが!助けにいかなきゃ!!」

ティファは二人のキスシーンを目のあたりにして、真っ青になっている。

ティファには悪いと思うけど…お願い、もうちょっとだけ、ね?

二人っきりにさせてあげようよ。

 

「落ち着いて、ティファ。これもクラウドの作戦なのよ。

ドンザックスに、神羅の情報を吐かせるための…」

「作戦?!でも…べろちゅーまでしてるわよ?!

あいつ、クラウドの尻をまさぐってるわよ?!」

 

あらら。

たしかに、これじゃ作戦の域を超えてるよね。

 

「クラウド、覚悟しろよ?」

男の低い声――ぞくりと、私の背筋にも何かが這い上がる。

間違いない、この男は、ドンザックスは…私が探していた人。

 

…私、貴方を探してた。

クラウドの運命の相手を、探してた。彼こそが、そう、最高の攻めキャラ――

 

ハアハアハアハアハアハアハア

やっちゃいなさい!ほら早く!

FF718禁ゲームじゃないとか、そんな大人の都合はどうでもいいのよ!

 

「俺の――ラブ、注入!!」

ちゅ、と。男はクラウドの頬に軽快な音をたててキスをした。

 

「アホかぁ!!!」

ティファが叫んで、ドアをぶち壊して乱入する。

そうね。アホね。

女を沢山囲っているって噂のドンザックスが、

ここぞというときに相手を押し倒すこともできないなんて。

 

このフニャチンめ!

 

 

 

 

 

 


 

私たちの旅は、世界の命運をかけた戦い。

みんな、それぞれの想いを胸に、命をかけて旅をしている――

この旅に、当然のように付いてきたドン・ザックスは。

あれからずっと、始終クラウドのお尻を追い掛け回している。

 

彼、悪い人じゃないの。それはわかってる。

女の子の荷物を積極的に持ってくれるし、

モンスターが襲い掛かってくれば真っ先に飛び出して戦ってくれる。

「かばう」のマテリアをつけているのかって思うほど、女の子やクラウドを守ってくれる。

それに、いつも笑顔を絶やさない。…まるで、晴天の太陽みたいな、人。

 

優しくて、真っ直ぐで、力強くて、あったかい。

 

きっとどこにいても、ムードメイカーになってしまう存在。

そりゃ、いつもクラウドと同じパーティーじゃないと嫌だって、駄々をこねられるのは…

いい加減面倒ではあるけれど。

ザックスが旅のメンバーに加わってくれて、正直なところすごく心強いよ。

少なくとも、私はそう思ってる。

 

でも…パーティーのみんなは、まだ彼を受け入れてないみたい。

ティファは「クラウドの貞操が危ない!すりつぶしてやる!」と

いつもザックスに食ってかかっているし、

アバランチのリーダーであるバレットも…そう、彼とあまり良好な関係ではない。

と、いうより…ザックスの方が、一方的にバレットを敵視しているみたい。

バレットは鈍いから、あまり気付いていないみたいだけど。

 

フェミニストであるザックスは、ティファや私に小突かれようと詰られようと、

いつもニコニコ笑っているばかり。

ただの女好きってだけじゃなくて、元来の「お人よし」なんだと思う。

そんなザックスが、バレットとうまくいかないのは――些細な誤解、故だった。

 

 

 

 

 


 

あれは、ザックスが旅のメンバーに加わった、一日目の夜。

スラムの安宿で、一晩過ごしていた時のこと。

夜中、0時もまわるという頃、隣の部屋から聞こえてきた二人の話声…

え?盗み聞きじゃないわよ。勝手に聞こえてきただけ。

そう、コップを壁に当てていたら、勝手に聞こえてきたんだもの。

 

「クラ〜やっと二人きり…さあ子猫ちゃん、俺の胸にかも〜ん!」

「ちょ…何考えてんだよ!ばか、こっちくんな!」

「照れなくても大丈夫…二人きりじゃん。何度見ても可愛いな〜」

「俺は男だ!可愛いわけあるか…!」

「可愛いわけあるって!なあなあ、オマエも俺のこと好き??ねえ大好き?」

「え〜っと…」

 

部屋を二つとって、当然、男組と女組で分かれたわけだけど。

宿屋の受付でザックスがガッツポーズをしていたのは、やっぱり気のせいじゃなかったみたい。

 

これって今夜こそ初夜の予感…?

 

「そりゃ…嫌い、じゃない、けど」

「嬉しいこと言ってくれるじゃん!そんなら、ねえねえナニがしたい?」

「べつに…」

「え?!俺が嫌いなの…?ま、まさか他にスキな男でも??」

「え〜っと、えっと…」

しばらくクラウドは思いあぐねた後、あ、と思い出したように言った。

 

「バ、バレット…っていうんだ。」

 

 

 

 

 

――口は災いの下。

その場凌ぎの逃げ道で、考えなしに発した『バレット』の名前。

それが、ザックスの何かに火をつけた。

メラメラ、メラメラ…不穏な赤いオーラが見える。それは、俗にいう嫉妬――

 

「そいつと寝たのか?!」

「はあ?そんなわけ…っていうか、想像するだけで胸糞わるい!」

「キスはした?手は繋いだ?」

「だから、んなわけあるか!あいつは妻子持ちだし、そもそも今のは嘘…」

「妻子持ちだと?!それなのに、俺のクラウドに手を出したのか?」

「お、落ち着けって…」

「クラウド!いいか?オマエは、絶対騙されてる。オマエを幸せにできる男は、そいつじゃない!」

「っていうか、騙されてるのはアンタだし…

 

恋のハリケーン巻き込み型。

人の都合も話も知ったこっちゃない、この『瞬間湯沸かし器』みたいな男。

エンジンかかった彼を止めることなど、出来るわけがない。

 

「いいよ、オマエがそいつと寝たことあったって。過去なんて他の男にくれてやる。でも…」

「ザックス…?」

 

「未来は、全部俺のもんだ。」

 

その言葉は、あまりに真っ直ぐに、クラウドの中心を貫く――

胸を抉るほどの、鋭くて、熱い、一途なそれ。

 

「ン…ッんんん…!」

何度も何度も、繰り返される口づけ。

それはまるで、身体を重ねているかのように。深く深く交わる、想い。

 

「………本当は、焦るつもりはなかったけど。駄目だ。俺…」

オマエが欲しい、と。そう耳元で呟かれたクラウドは、ひどく戸惑いがちに。

 

「俺、なんかと…したら、ザックス、後悔する、よ…」

「どうして?」

「男、だし……」

「知ってるよ。」

 

そうくすりと笑って、ザックスはクラウドの下半身へと手を伸ばす。

 

「こんな可愛いのついてるの、男の子だけでショ。」

「や…だめ、だめだってば…!」

「感じちゃった?エロイ顔しちゃって。」

「ざ、ザックスだって…」

「そりゃ、すっげえ好きな子に触ってんだから。勃つだろ。」

「だ、だからって…なにこれ?!こんなの、見たこと、ない…っ」

「バレットってやつより、おっきい?――ねえ、教えてよ。」

 

ハアハアハアハアハアハアハアハア!

ついに、ついに、ついに、クラウドのロストバージンキターーーーーー

 と、思わずツイッターの更新をしようかと思ったそのとき。

 

「させるかぁ!!!!!!」

 

宿のドアをドルフィンブロウでぶち壊して突入したのは、もちろん。

クラウドのナイト――こと、ティファ。

 

「クラウドは私の嫁なの!わかった?このエロ親父!」

「ティファちゃん…親父って、俺まだ23なんだけ…」

「黙れこの成金タヌキ親父!!」

「はい、すみません…」

 

ザックスって、女の子には本当頭が上がらないみたい。

それが可笑しくてしょうがないんだけど、私としては不完全燃焼、かな。

もうちょっとで、濃厚なラブシーンが見れたのに…もう、ティファのばか!

 

 

 

 

 


 

結局、それからというもの。

ザックスに押し倒されている現場を、ティファに見られてしまったクラウドがひどく恥ずかしがって、

機嫌を損ねてしまい…毎晩ザックスは床で寝るはめになったのだとか。

それでも、ザックスは幸せそう。

クラウドの傍にいられるだけで、これ以上ないってぐらいの笑顔。

いつも青空みたいな眼差しで、太陽みたいに笑ってる。

 

「おう、クラウド!今回の報酬だけどよ…」

「ああ、そうだな、」

「おいそこのおっさん!!クラウドに触るんじゃねえ!見んじゃねえ!呼ぶんじゃねえ!」

…太陽みたいな笑顔?が、一瞬で凶悪犯罪人みたいな表情に豹変。

 

クラウドを廻る男たちの熱い戦い、その火ぶたが落とされた――

って呟いてこようっと!

 

 

7番街なう。ザックラはすはす!」

1時間前 ついっぷるんtwipplenから、エアリスさんの呟き。

 

 

 

  

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C-brandMOCOCO いただいた拍手に、心からの感謝をこめて。(2012.2.27 初出)

やりすぎだっての!ごめんなさい。

 

 

 

 


 

 

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