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6月 1日。

memoriessunchildさま より 頂きました

 

 

sunchildさまより、誕生日プレゼントでいただきました!

ACC後ザックラ!デンゼルとマリンと、そして彼らを囲む大人たちの、優しい一日のお話です。

 

「あ、」

 

5月も半ばの、日差しが徐々に強くなってきた頃。

デンゼルが自分たちの部屋のカレンダーを見て、小さく口を開けた。

うっかり出てきた声を飲み込んで、デンゼルに反応したマリンになんでもないと首を振る。

マリンはデンゼルを見て、次に流れるようにカレンダーに目を向けて、ああそうか、と頷いた。

「もうすぐデンゼルの誕生日ね」

今年も盛大にお祝いしなきゃ!と今にもパーティーの準備をしそうな勢いのマリンに、

デンゼルは慌てて手を振った。

「いいよ、去年みたいなのはもう…」

去年は凄かった。いや、酷かったわけではない。

ただ、星を巡る戦いで集った仲間たちに加えてなぜかタークスの面々や、

あの神羅カンパニーの社長からのメッセージなど、たかが自分の誕生日だというのに

盛大にお祝いされたのだ。

嬉しくないわけがない。でも、ああいうのは一生に一度だけでいい、とデンゼルは思った。

 

あれから1年が経ったわけだけど。

 

その1年の間に、デンゼルを取り巻く状況は小さく、大きく変わった。

実はそれまでマリンの正確な誕生日を知らなかったバレットが、

デンゼルの誕生会の一週間後いきなり店に押しかけてきて、

「思い出したんだ!マリンの誕生日!うおおおお!俺としたことが情けねぇぜ!」

とその場で親友の名を叫んで号泣しだしたのだ。

何事かと目を丸くしたマリンとティファと、ダインって誰?と困惑するデンゼルに

クラウドが「バレットの亡くなった親友で、マリンの実の父親だ」と教えてくれた。

「それで、いつなんだ。マリンの誕生日は」

ひとしきり泣いた後、落ち着いてきた頃を見計らってクラウドが尋ねた。

みんなそこがとても気になっていたのだけど、男泣きするバレットに誰も手が出せなかったのだ。

「うっうう…それがよぉ…怒らねぇで聞いてくれるか?いやでも、きっと許しちゃくれねぇ。

そうさ、全部俺がいけねぇんだ。大体…」

「バレット。俺は気が長いほうじゃないんだ」

「さっさと言いなさいよ!勿体ぶらないで!」

マリンとデンゼルが長くなりそうだなぁと目配せし合ったのと同時に、

クラウドとティファはバレットに詰め寄った。

二人よりもでかい筈のバレットの図体が、心なしか小さく見えたのは、気のせいだ…と思いたい。

そうして二人の剣幕に押されながらもバレットが口にしたのは、意外な日付だった。

「同じだったんだ!デンゼルと同じ、61日…

ダインの奴が結婚記念日に産まれてきてくれた天使だってうるさかったのを思い出したんだ」

「えええええ!?

「はぁぁぁ!?

マリンとデンゼルが素っ頓狂な声を上げ、ティファは額に手をやりよろめき、

クラウドはさらに殺気を強めた。

「おいおいおい!怒んなよ!?俺だってほんと今朝思い出したんだよ!

この前のデン坊の誕生会の時からずーっと考えてたんだよ、

61日に何かあったような気がする、ってな。」

「その日の内に思い出してくれ…」

クラウドの力ない声に続いて、ティファも「もう終わっちゃったじゃない…」と

悲しそうに呟いたのが印象に残った。

 

それから811日のクラウドの誕生日に、親友だった(らしい)ザックスという男がいきなり現れて、

しかも二人は恋人同士だったとかカミングアウトしてきて、ティファの勧めで二人は近くに家を借りて

出ていった。デンゼルとしては憧れだった兄貴分を取られた気がして、ザックスの存在をなかなか

認めることができなかった。

マリンはすっかり懐いているが、自分の中でヒーローは一人だけでいい、と思うのだ。

 

そんなこんなで月日は過ぎて、今年の61日が、もうすぐやってくる。

「今年はティファ、すごく張り切ってたよ?」

なんたってダブルバースディだからね!とニコニコしながらマリンが言った。

 

 

 

 

「誕生日おめでとう、マリン、誕生日おめでとう、デンゼル!」

それはささやかな誕生パーティで(パーティ、っていうかはとても微妙なところだけど、

たくさんの花で飾られた室内はとても賑やかで)、マリン、デンゼル、ティファにクラウド、

バレットも来てくれたし、今年からは新顔のザックスも加えて総勢六名の身内だけのお祝いだった。

それでも前日までに届けられたプレゼントは山のように(だって二人分だったから)なって

部屋の一角を占めている。

少し大きめのホールケーキに立てられた9本のろうそくを、二人競いあうようにして吹き消した。

なんで9本なのか聞いたら、ティファは「二人分の年齢を足したら、ケーキが火事になっちゃうからね。

―――これはわたしたち家族の数なの」

デンゼルは指折り数えて(あのいけすかない男もまぁ、しかたないから数に入れて)

それでも3本多いよね?と首を傾げた。

その日の主役なのに一緒に料理を手伝っていたマリンが横から、「デンゼルのお父さんお母さん、

あとはエアリスの分、でしょう?」と得意気に言ってきた。

わたし、ティファの考えてることわかるんだから!と言いたげなその顔に、デンゼルはああそうか、

とやっとで納得した。

「ありがとう、ティファ」

天国から、見ていてくれてるといいな。

そう思いながら言うと、ティファはちょっと泣きそうな顔で笑った。

「本当はね、ユフィもケットシーもシドもリーブも、それからそれから…って思ったんだけど」

それだとやっぱりケーキが大惨事じゃない?

本気で考えたらしいその案が実行されなかったことにすごくほっとした。

 

二人の誕生パーティはとても楽しかった。

この日15歳になったデンゼルは、「少しだけだぞ」とクラウドから許可を貰って、お酒を飲ませてもらった。

度数の軽めなシャンパンだったけど、これがクラウドたちが好んで飲んでるお酒の味か、

と大人の仲間入りできたことを嬉しく思った。

「俺、今日の日のこと、絶対忘れない」

なんだかふわふわした頭で、でもこれだけは伝えなくちゃと思いを口にすると、

クラウドは少し目を大きくして、それから「そうか」と頷いた。

「それはいいことだぜ、デンゼル!おまえのとうちゃんかあちゃんは立派だ!ありがとう、ごめんなさい、

これが素直に言えるたぁ、お前は本当に大切に育てられてきたんだなぁ」

言いながらバレットの目からは大粒の涙が溢れてきた。

「バレットおじさん?」

「それに引きかえ、俺はよう…マリンに大切なことも教えてやれなかった。

俺は、俺は、ダインにあわせる顔もねぇ!」

見れば足元にたくさんの酒瓶。

「バレット…飲み過ぎよ」

額に手を当てて、ティファが呻いた。

マリンが慌ててバレットを後ろから抱きしめた。

「とうちゃん!私、幸せだよ?大事なことは、全部とうちゃんの背中から知ったよ?

とうちゃんは世界で一番のとうちゃんだよ!」

「そ、そうだよ!バレットおじさんはすごくかっこいいよ!俺だって、お父さんと同じくらい、

クラウドのこともバレットおじさんのことも尊敬してるよ!」

ちょいまてオレは!?とすかさずツッコミを入れてきたザックスを見て、

バレットは大きな口を開けて笑った。

「そう簡単にデンゼルの二番を譲ってたまるか!」

「クラウドが、ザックスは見境ないから気をつけろって言ってた!」

「なにそれ酷い!」

両手で頬を挟み驚愕のポーズを取るザックスを、

クラウドが「事実だろ」と酒をちびりちびりしながら一刀両断。

それがツボにハマったのか、マリンは笑いが止まらず泣き出す始末。

「誕生日に楽しい思い出ができるのって、素敵ね!」と笑って言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なぁ、オレってそんな信用ない?」

「え、」

パーティも終わり、宴の後片付けを終わらせて帰路についたザックスとクラウドは、

改めて呑み直していた。

ティファから貰った琥珀色の液体は、二人の体温を程よく上昇させ、

杯を空けるごとに気分も開放的になってくる。

ザックスは次を注ぎながらクラウドに問いかけた。

昼間の、デンゼルが言った「ザックスは見境ない」の言葉がずっと気になっていたようだった。

「オレ、昔にクラウドだけって決めてからは誰にも手を出してないんだけどな」

拗ねた口調になっているのは、演技でなく本心からだ。

「ああ…うん、わかってる」

手の中のグラスを弄び、クラウドはなぜかそわそわ落ち着かない。

視線を右へ、左へ、なんだか頬も赤らんでいる。

おや、と眉を上げたザックスはその顔をのぞき込んだ。

「なぁに、ワケあり?」

急に目の前にアップ顔がきて、クラウドは「うわ」だか「うぇ」だかわからない悲鳴を上げてのけぞった。

「ザックス、近い!」

「イケメンすぎてドキドキしちゃう〜?」

「……バカ!!」

両手で顔を押さえられたザックスは、クラウドの指の隙間から見えてしまったその表情に呼吸を忘れた。

そんな顔をされたら。

―――たまらなくなる。

がっしと掴んだクラウドの両手首を退けて、一気に顔を近づけた。

「クラウドって、すぐ顔に出るんだもんなぁ」

「―――え、」

「好きで好きで好きで、誰にも渡したくない!って、そんな顔」

「なん…」

なんでわかった、と口が滑りそうになり、咄嗟に口を噤むもそれは遅くて。

言葉を見抜いたザックスがそれは嬉しそうに嬉しそうに笑うから、クラウドもつられて口元を綻ばせた。

「デンゼルがオレに惚れると思った?」

「まぁ…少しは」

デンゼルにとってクラウドがヒーローなように、クラウドにとってはザックスが一番のヒーローなのだ。

そう思っているのは自分だけでいい、なんて子どもじみた独占欲。

ザックスを一番に愛しているのはクラウドで、クラウドを一番に愛しているのはザックスで。

そこに誰かを割り込ませる隙さえも作りたくない。

「まぁ、あれはなぁ。どう転んだってクラウドしか見てないから大丈夫だと思うけど。

むしろオレがやきもきする側だろ?」

「…俺は、ザックスしか」

「うん、そこはわかってるって。ただ、もう少しデンゼルが大人んなって、

クラウドを酔い潰してなにかしでかしたりはしないかと心配なる」

「考えすぎだ」

「いやいやいや、そこはちゃんと所有権しっかり主張しとかないと!」

というわけで、と重なった唇。

それはすぐにそらされ、ザックスはクラウドの首元に顔を埋めた。

「んっ…ッ」

離れていったザックスの頭があった場所に目をやるが、鏡でなければ見えないところに跡を残された。

「ザックス!見えるところにつけるなって言っただろ!?

ちょっと気を許すとすぐこれだ。

これはしっかりお灸を据えなくては、と思った矢先にまたザックスがキスをしてきた。

「ザッ、」

今度は深く、そして長く。やがて絡まる舌と舌に、クラウドの意識も霧散していった。

―――くそ、覚えてろよ!

そう心のなかで罵るも、その後に続く激しい行為にクラウドの方がこの事を忘れてしまうのだった。

 

 

 

 

 


 

MOCOCOより感謝の雄叫び!♥

sunchildさん!素敵なお誕生日プレゼントありがとうございます!!

ACC後のお話(もちろんザックス生存設定!)、大大大好きなんですが、

聖域すぎて自分ではなかなか手が出せないでいます…!

なので、こんな幸せいっぱい!な彼らの日々を書いていただき、もうもうもう幸せですッ><

 

マリンとデンゼルの誕生日が(しかもダインの結婚記念日もw)61日という設定に

大興奮してしまいました。すみません、俺得すぎるのですが、めちゃくちゃ嬉しい…っ!

ザックラはもちろんのこと、FF7のキャラみんなが、もっともっと愛しくなりました。

バレットが可愛い!そしてちょっぴりうざい親父!w

ありがとうごめんなさい、これが素直に言えるたぁ大切に育てられてきたんだな

この言葉が、すごく素敵だと思いました。バレット、いいパパですよね!

 

恐縮なのですが、妄想返し、ということで…その後の3年後のお話を書いてみました。

→こちら。「61日。three years later…

 

デンゼルが18才にして、大人の扉を開く瞬間(ただの反抗期か?)そんな話です…

うまくオチずに こういうのなんていうんだっけ…

ハンケツ状態じゃなくて、えっとえっと、そうそう!尻切れトンボっていうんですね。

すみません、大失敗ですみません。むしろ大惨事ですみません。

sunchildさんの素敵なお話とは、全く別のものだと思っていただけたら…(あ、逃げた。)

 

sunchildさん、いつも楽しい妄想をありがとうございます!

改めて、こちらからもお誕生日おめでとうございます!

ひとつ歳を重ねた私たちなので、よりアダルティなザックラ妄想に励んでいきましょうね〜

そんな大人でいいんですかね〜(^q^)

 

 

 

 

ブラウザを閉じてお帰りください。

C-brandMOCOCO (2012.6.17)

sunchildさま より頂戴!

 

 

 

 


 

 

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