C-brand

 

 


 

 

 



 

 

、はじめました。

 

 

【 ご 注 意 】

*ザックスが年上リーマン、クラウドが大学生かつコンビニのアルバイト店員という現代パラレルです。

*同棲→すれ違い→仲直りエチ(今ここw!)最終話になります。

R30ぐらいの(おいいいいい)、露骨すぎるエロです。長すぎるエロです。ごめんなさい。

 

 

 

キミがいないと呼吸さえもできない、

駄目男でごめんね。

 

 

epilogue 4

 

 

「…まって、ザックス…っ、おちつい、て…」

「待てない。」

「ザックス、目が恐いってば、」

「抱きたい。抱いて、いい…?」

「いきなり、なんで…、」

「もう絶対逃げられないように、俺のものにしたい。――今すぐ。」

一度この華奢な体を捕まえてしまえば、どうしてこれまで我慢できていたのかと。

まったく理解できないほどに、今すぐ欲しくてたまらない。

 

 

 

 

 

結局、二人とも泣いていた。

嬉しいのか苦しいのかもわからないまま、ただ互いを放してたまるかという想いで、

きつく抱きしめあっていた。そうしてどれだけ時間が過ぎたのか…いったい何事かと

近所の主婦たちが集まりかけてきた頃、最初に冷静になったのはクラウドの方だった。

泣き止まぬザックスの手を引いて、周囲の目から逃げるように二人住んでいたマンションへと逃げ帰る。

 

そうして、玄関の扉を閉めたところで。

まるで獣のように、ザックスはクラウドの唇に噛みついた。

 

突然襲われたクラウドは戸惑いながらも、健気にもザックスのスーツにしがみ付いてくる。

しかしザックスの唇が首筋に降りてきて、右手が彼の衣服の中に入り込んだ時、

さすがに小さく抵抗を始めた。

彼が怖がるのも当然。

これまで、どれだけ抱き締め合っても、同じベッドで眠ろうとも、薬を塗るため尻を見せようとも。

いっさいザックスは手を出そうとはしなかったのだ。

安全な男であったはずの恋人に、突然求められれば――覚悟も情緒もあったものではないだろう。

 

「…やっ、いきなりそんな……恥ずかし、よ…」

「これからもっと、恥ずかしいことするんだよ。」

「もっと、って…なに?」

「たとえば――自分でも見たことないような場所、俺に見られちゃうとか。」

「それってどこ、」

おそるおそるといったふうに、クラウドが訪ねてくるのに、ザックスは耳元で囁いてやる。

その答えにクラウドは耳をさっと赤らめて、次第に首筋まで桃色に染まっていった。

 

「そんなとこ、見られたら……俺、たぶん死ぬ。」

「見るだけじゃなくって、撫でたり、舐めたりもするんだけど。」

「……………即死する、かも。」

「おい、なんで俺をおいて死ぬんだよ。」

クラウドの着ていたコートを脱がせて、そのままカーディガンも肩から落とす。

薄いカットソーを捲りあげて、頭をつっこむとクラウドが面白いぐらいに慌てた。

 

「ちょっと、ほんとに、ストップ、待って!」

「だから、もう待てねえって。」

「……あっ、だ、め…っ、」

「想像してたより、ずっと可愛いな。クラのおっぱい。」

「あ、あ…っ」

 

クラウドのシャツに潜り込みながら、その胸の小さな飾りに食いつけば、

まるで瑞瑞しい果実のようにふっくらと色づいて硬さを帯びていく。

クラウドは小さく震えながら、もう立ってはいられないのか、ついには膝が折れてしまう。

その瞬間――

「わ……っわあ!!」

「うあっ?!」

 

二人、床に派手に転がった。

クラウドが頭をうたないようにと、とっさに両腕でかばったザックスは、

ノーガードのままおもいきり左肩を床に打ち付けた。

「いって…!クラ、大丈夫か?」

「ごめん、俺つまづいちゃって。なにか踏んだかもしれな……い…?」

「―――あ。」

 

 

 

 

 

 

だだっ広いリビングの床には、衣類や新聞、それに書類と思しきものが散乱している。

テーブルの上には煙草の吸殻やアルコールの空き缶・空き瓶、使用したグラスが置き去りになっているし。

クリーニングから持って帰ってきたものだろうか、

ビニールに包まれたままのYシャツが10人がけソファの上に無造作に積まれていた。

 

「…………なにこれ、空き巣?」

「わあ!ごめん!待って、今すぐ片付けるから!」

「え?ザックスが散らかしたの?」

 

先ほどまで興奮状態だったザックスの思考回路が、急激に冷静になっていく。

脱ぎ散らかした衣類をひとつにまとめ、洗濯機に放り投げて。

空き缶や空き瓶、灰皿も撤収。散乱していた書類はさっとファイリングして収納する。

 

ひととおり簡単に片付け終わると、ぼんやりそれを眺めていたクラウドが呟いた。

「……何があったの。」

「えーっと、その、なんだ。何かあったっていうか。何もなかったというか。」

2週間で、こんなに汚れる?

っていうかザックス、休みの日はいつも早起きして掃除とかやってるじゃん。

なんかしょっちゅう、床にコロコロかけてるし。掃除してくれるロボットみたいなの、転がしてるし。」

「えっと、うん。そうなんだけど……。みっともないとこ見せて、ごめん…。」

 

もともとも無趣味のザックスが暮らす部屋は、基本ものが少ない。

同年代の男性に比べ、それなりに衣装持ちではあるけれど、

クローゼットスペースが広く作られている間取りだから、まず収納に困ることもない。

決して神経質な方ではないけれど、独り暮らし歴が長いザックスにとって、

ゴミ捨てや掃除は定期的に行う生活習慣のひとつでもある。

そうであるのだから、これまで部屋の中はいつも片付いていた。……その、はずだった。

 

「そういえば、ザックス、」

「うん?」

「そこ、無精髭はえてるよ。左の顎のとこ、」

「え!」

 

慌てて顎に片手をあてると、たしかに嫌な感触。剃り残しが微かに生えているのがわかる。

もともと髭は濃くないから、夕方だって気になったことなどないのに。

「…そ、剃ってくる!」

「いいよ、別に。それより、」

クラウドのまるで子猫のように円らな瞳にじっと見つめられ、普段であれば嬉しいことであるのに、

今は見つめ返すことが出来ない。視線が情けないほどに泳いでしまう。

「ザックス、目の下クマすごいよ。ちょっと、唇も荒れてる。…それに、少し痩せた?」

「……かも。」

「どうして、」

もう隠しようがない。ので、降参とばかりに弱々しく白状する。

 

 

 

 

「俺、クラウドがいないと―――駄目男になっちゃうみたい。」

 

 

 

 

クラウドがいない毎日には張り合いが持てず、料理も掃除も手につかない。

テレビや音楽もいっさい関心がわかず、身だしなみさえもほとんど気にしていなかった。

今、クラウドに指摘されて初めて気づいたことだけれど…そういえば、まともな食事をとっていない。

コンビニ弁当や簡易食は口にしたけれど、どれもぼそぼそとしていて飲み込むのも億劫で、

ただ生きるために腹にいれていただけ、という感覚に近かった。

 

「髭とか、かっこ悪いよな。本当ごめん、」

「そんなのどうでもいいよ。それより…ちゃんと食べてないの?」

「うーん、どうだろ。本当言うと、何食ったとか、あんまり覚えてない。」

ここ2週間、ただひたすらクラウドのことだけを考えていた。

声が聴きたい、肌に触りたい、髪に顔を埋めたい、名前を呼びたい、――あいたい。

そんなことばかり考えて、ただ惰性に毎日を過ごしていたように思う。

 

「…ザックスって、もっと大人で、一人で何でもできて。かっこいい男だと思ってた。」

 

クラウドの言葉が、がつんと頭を殴っていく。

彼の前では、もっといい男でいたかったのに――幻滅されたに違いない。

顔をあげることもできずに、ローテーブルの下に転がる、回収し忘れたビールの空き缶を見ていた。

 

「ちょっと家出しただけで泣くし、いきなり盛ってくるし、部屋散らかすし、お酒に逃げるし。

それに、ご飯もまともに食べられないって……本当ザックスって、駄目男だね。かっこう悪いの。」

厳しいクラウドの言葉は、けれどその声はとても優しくて。そして、どこか幸せそうだった。

 

「クラウドさん…?」

「俺がいないと駄目男になっちゃうなら…もう絶対、離れられないね。」

「―――クラウド!!」

 

無我夢中でかき抱くと、クラウドの柔らかな髪からかぎ慣れないシャンプーの匂いがする。

当然のことだけれど、その香りがこの家にあるものとは違うことにもやもやしてしまう。

「……バイトの先輩って、どんなやつ?」

「どんなって、普通の。普通の……不良?」

「えっ?!」

「赤い髪で、ニートで、小学生の頃から煙草とお酒やってたって言ってた。

いつもけだるそうな感じにしてて…お腹すくと商品のから揚げつまみ食いして、店長に怒られてる。」

それに美人なOLをレジでよく口説いている、それでまた店長に怒られている、と。

「そ、そいつの部屋に泊まって、何もされなかったのか?!」

「何もしてこないよ。…ザックスじゃあるまいし。」

そう言って見上げてくる視線は、どこか熱を持っていて。

ザックスの腹の奥底にある「男の本能」を刺激してくるかのようだ。

 

「…俺になら、されてもいい?」

とりあえず、その先輩の家とやらには明日クラウドと一緒に挨拶に行くとしよう。

荷物を回収するついでに菓子折りのひとつでも持っていってやるが、しっかり牽制しておくのも大切だ。

「…………俺、準備してないよ。」

「コンドームもローションも買ってある。やり方も調べた。絶対痛くしない。」

「…もっと必要なものがあると思うんだけど。」

「あ、ムード?BGMかける?ワインも閉まってあるし、土産でもらったアロマキャンドルもあった気が…」

「違う!だから……」

「クラウド?」

「俺、ちゃんと言ってない、から。」

何をだろう。そう首を傾げていると、クラウドは視線を右にやったり左にやったりを繰り返してから、

覚悟を決めたように真っ直ぐにザックスを見やった。

そうしてその、意思の強そうな眉と、曇りない正直な瞳に見惚れてしまう。

 

 

 

 

「……………好きです。ザックスのことが、大好きです。」

 

 

 

 

海で告白をして抱きしめた時も。

クラウドがストーカーに襲われた夜、電話で好きだと伝えたそのときも。

あいしてる、そう言って雪の中抱き上げた時だって。

一度もクラウドから返事が返されることはなかった。

その瞳で、表情で、必死にしがみついてくれるその仕草で、想われていることは十分わかっている。

だからクラウドから、愛の言葉を求めたりはしなかった。でも。

 

潔いほどに想いを告白してきた恋人に、これは現実なのかと。

文字通り、天にも昇る気持ちだ。

 

 

 

 

 


 

 

「クラウド…、クラ、」

「待って…!何か、食べたほうがいいよ。それに風呂も入ってないし、パンツも変なのだし、」

「飯よりクラウドが食いたい。風呂もいい、クラの匂いってすげえ興奮する。あとパンツだっけ?

どうせすぐ脱がすから何はいててもいいよ。」

「……でも、お尻、傷治ったかわかんないし。」

「まだ薬塗ってるの?」

「塗ってない。自分じゃ見えないから恐いし、レノに頼もうとしたけど触りたくないだろうし、」

「ば、ばか野郎!!そのバイトの先輩に頼んだのかよ!」

「だから、頼んでないって。男のケツなんか見たくないって断られるに決まってるし。」

「あ、あのな〜!クラの尻は特別なの!男なら見たいに決まってるし!」

「……ザックスも、見たいの?」

「見たい。」

 

はっきりと頷くと、クラウドは頬をピンクに染め上げていく。

それを隠すつもりなのか、ザックスの胸に顔を埋めてくる可愛い恋人に、

どうしようもないほど胸が高鳴ってしまう。

「なあ、クラウド――。傷、ちゃんと治ってるか俺がみてやるから、お尻見せて?」

「でも…治ってなかったら、ぐろいし…」

「痛々しくて可哀想だったけど、ぐろいとかないから。ね?」

「き、嫌いにならないなら…………いい……けど、」

いったいどこをどう間違えたらこの子を嫌いになれるのか。

答えは決まっているから、勢いよく彼のボトムをボクサーパンツと一緒に下げる。

 

「わあっ!ちょ、いきなり、」

「すっげースベスベ。クラのお尻、手触り最高。」

彼を抱きしめながら、尻を揉みしだくこの状況。

体制のせいで抵抗できないクラウドは、ザックスのYシャツに顔を押し付けてその羞恥に耐えている。

「……触るよ?」

そっと尻の中心に指の腹を当てると、クラウドの体は大袈裟なぐらいに跳ねて反応する。

「うん、傷跡ないみたいだし、綺麗に治ってるよ。」

傷跡特有のざらりとした感触はない。視覚的に尻の穴までは見えないけれど、感触でわかる。

 

「…よか、あっ!ざ、っくす?!」

つぷり、指を一本だけ忍ばせ始めたザックスの行動に、クラウドは悲鳴を上げた。

「…中も、ちゃんと確認しねえと。な?」

「そんな、いい、お尻の中まで、いいから…っ」

「すっげーあったかい。柔らかいのに、締め付けやばいし。…俺、自分の指になりたいかも。」

「変態、ばか…っ!」

「痛いとこない?ここグイグイされても痛くないなら、治ったと思うんだけど。」

「……ひ!」

「ごめん、痛いか?」

「い、たく、ない。と思う。でも、」

「でも?」

「そうやって、奥、おされると…へん、」

「………………なんつーエロイ顔してんだよ、オマエ。」

 

涙目で見上げてくるその表情は、まるでザックスに縋るかのようで。

たまらなくなって唇を貪ると、彼の後肛は食らいつくような力で、ザックスの指を締め付けてくれる。

 

 

 

 

 


 

 

「クラ、俺の首に腕まわして。」

「……うん?」

クラウドの身長に合わせて上体をかがませて、彼の華奢すぎる腰骨あたりを抱えて抱き上げる。

そうしてそのまま、寝室のベッドまで運んでいく。

お姫様抱っこは彼が怒るだろうし、かといって荷物のように片手で運ぶのも違う。

ザックスの髪に顔を寄せたクラウドは、すんすんと香りをかいで「煙草臭い」と可愛い文句を言った。

 

クラウドがいない2週間、ほとんどベッドは使わずにソファで寝ていたから、

他と比べてベッドルームは綺麗な状態だった。

隣に彼がいない事実、それを実感してしまい苦しくて眠れない――

というのがベッドを使えなかった理由なのだが、そんなザックスの女々しいまでの想いを、

彼は気付いていないだろう。

ベッドに優しく体を下ろすと、濃紺のシーツに美しい金髪が散らばった。

 

「恐い?」

「…わか、んない」

「恐がらないで。言っただろ。初めては、絶対優しくするって。」

 

優しく抱く、それが具体的にどうすることなのか――正直わからなかった。

体力も筋力も人並み以上に自信のあるザックスにとって、相手のタイプによって多少の差はあるものの、

基本激しいセックスばかりしてきた。

情熱的な行為は愛を錯覚させるから、女はみんな喜んだし。

またザックスにアプローチしてくる女はみな、自分に自信のある経験豊富な美人ばかりだったから、

ベッドの中でも積極的で淫乱な子が多かった、と思う。

こんな風に、ボタンをひとつ外してやっただけで震えてしまううぶな子に、どうやって触れればいいのか。

そんな戸惑いと、また未知の領域へ踏み込むことへの興奮が高まっていく。

 

「それ、なに?」

ザックスが取り出した箱を指差すクラウドの質問に、「ゴム」と答えたあとで、

もしやわからないかと思い、「コンドーム」と言い直した。

「コンドーム……なんだっけ、それ。」

まさかのまさか、もうすぐ成人しようという大学生の男の子が、コンドームを知らないという――

クラウドでなければ「カマトトぶってる」演技と思ってしまうが、だがしかし。相手はクラウドなのである。

「そうか、やっぱり天使だったのか」と単純に納得してしまう。

 

「コンドームってのは、避妊具のことだよ。それに、セーフティなセックスするために…

とくに男同士だと、病気になったり、腹を壊したりするかもしれないだろ?だからこれ着けんの。」

「ふうん…どこに?」

「ど、どこって。あのな、そういう天然でエッチな質問するの、やめてくれる。」

「は?」

ザックスの言っている意味が全く理解できていないのだろう。

避妊と言っているのに、どこに着けるかもわからないとは…奥手というレベルじゃない。

純粋培養に天界で育った天使以外、ありえない。

 

「………教えてあげるから、つけてくれる?」

 

こくん、とすんなり頷くクラウドに、ごくりと喉が鳴る。

この天使の羽をこれからもぎとってしまう――

その背徳感に、これほど高ぶっている自分はなんて駄目な大人だろうか。

 

 

 

 

  


 

 

「………サイズ、あってないよ。たぶん。」

「んー多少のびるし、大丈夫。そのまま被せてごらん。」

「さ、さわっていいの?」

「俺はさわってほしいけど。気持ち悪かったら、無理しないでいいよ。」

互いに裸になって、対面で座り合い。

ゴムをつけてくれると了承したクラウドに対して、胡坐をかいてそれを待つ。

けれど、もともと彼は同性愛者ではないはずだし、男の体にはやはり恐怖があるだろうし…

無理強いは絶対に出来ないのだ。

 

「気持ち悪くなんか、ないもん…。」

「でも、オマエの手すっげー震えてるし。」

「……びっくり、しただけだもん。ザックスの、大きいから…。」

「ばかっ!んなこと言われたら、もっと育っちまうっつーの!」

 

まだろくにキスも愛撫もしていない、ただ裸を見せ合っているだけだというのに、

はち切れそうなほどに育ってしまった。クラウドの方は、多少反応してはいるけれど大人しいままだ。

ひとりで高ぶってしまってはいけない。

もどかしい手つきでゴムを被せられて、達成感からか可愛い笑顔を見せてくれたクラウドを、

膝の上へと抱き上げた。

そうしてそのまま幾度となくキスをして、彼の息が上がってきた頃に唇を下へとおろしていく。

先ほど少し味見をした綺麗な乳首にまで辿り着くと、優しく舌で転がした。

 

「や…ん、は、はぁ…っ」

「おっぱい、すげえ感じやすいんだ。」

もともと巨乳が好きであったはずのザックスだが、今は一体何が良かったのかも思い出せない。

この控えめで、ぷくりと小さく熟れた綺麗な桃色をした乳首。

ザックスの舌使いひとつで大袈裟なほど感じてくれる、クラウドの胸より魅力的なものなどあるわけがない。

 

「そこ、ばっかり…なめないで…」

「じゃあ、どこ舐めて欲しい?」

じっと彼の瞳を覗き込むと、クラウドはこの距離が恥ずかしいのか、またザックスの胸に顔を埋めてしまう。

それが恋人に甘えられているようでたまらなく嬉しくて、すべすべな背中を優しく撫でてやる。

 

「……なあ、ここ、舐めたいんだけど。」

優しく背を撫でていたはずの手が、今度はクラウドの小ぶりなペニスをするりと撫で上げる。

「で、でも………やっぱり、きたない、し、」

「クラウドが汚いわけねえし。」

ザックスとて、まかり間違ってもゲイではない。むしろ女好きと名を馳せていたぐらいである。

だからクラウドの「男の印」を見た時に、どんな気持ちになるのか―――想像もつかなかった。

こんなに愛しているのだから、萎えるなんてことはないと思っていたけれど、でも。

 

(…ここまで興奮するとは思わなかったな。)

クラウドの性器は、尻の穴同様に色素が薄く、くすみのない綺麗な色――

全身の肌が白か薄ピンクだけで色づいているのではないか、と思う。

それに何よりも、これは体質なのか、

「クラって、毛が生えてないんだ。可愛い。」

アンダーヘアが生えていないこと――それが可愛いと褒めたつもりであったのに、

クラウドは信じられないと言う風にザックスを睨み上げた。

どうやら、本人はコンプレックスに感じていたらしい。失敗だ。

 

「どうせ、馬鹿にしてるんだろ。子供みたいだって。」

「してねえよ。子供相手に、こんなこと出来ねえだろ?」

「ひゃあ!」

少し強引にベッドへと押し倒し、無防備に広げられた足をさらに割り開いて、

ぱくりと彼のつるつるな性器を銜え込んでやる。

 

――どんなに好きでもフェラは出来ない、と。

かつて付き合った女に言われたことを、ふと思い出していた。

実を言うとザックス自身も、女性の性器を舐めると言うのがどうも苦手で意図的に避けていたから、

女性に強要することもない。

入れて出せればよかったし、それほど努力をしなくても息子の大きさには自信があったから、

女性を満足させてきたはず。そう思っていた。

 

それはなんて――――なんて、虚しい、独りよがりのセックスだったことか。

そう今ならわかる。

 

クラウドの体、その全てが愛しくて。手で、唇で、舌で、触りたいと思う。

気持ちよくしてあげたい。その髪を撫でてやりたい。キスをしたい。

両手を広げて求めるその体を思い切り抱きとめて、そして愛していると言ってやりたい。

 

「や……、こんな、の、だめっ、おちんちん、へんになっちゃ…」

「いいよ、出して。」

「わか、んない…よ、どうしたらいいの…っ、くるし、」

苦しいといって泣き出したクラウドに、もしや射精さえも経験がないのかと戸惑ってしまう。

「……えっと、それ、そのまま力いれないで出すっていうか、」

「でも…おしっこ、漏れちゃう……っ」

「あー、それ。小便じゃないから。大丈夫、出したらすげえ気持ちいいよ。な?」

クラウドが射精しやすいように、先端を中心に甘噛みして舌でほじくってやる。

と同時に少し力を入れて右手で擦ってやると、クラウドの細腰がガクガクと痙攣して、

あっという間に上り詰めた。

 

「やぁ――っ!」

愛らしい悲鳴を聞きながら、少しの抵抗もなく、口の中に出されたそれを飲み込む。

ちゅうちゅうと吸い取ってやれば、彼はその刺激に何度も体をのけぞってイった。

 

 

 

 

 


 

 

「……………きもち、いい……」

目の焦点が合わず、とろんと融けきった視線で宙を眺めるクラウドは、独り言のようにそう言う。

その力なく横たわるクラウドの無防備さが、異様なほどにエロティックで。

思わずそのまま、

「ひ…!?」

彼の無防備なほどに男を誘う尻の穴に、中指を一本突き立てる。

今まで何度となく、薬を塗ると言う動機があったからではあるが――ここに侵入していたのだ。

すごい締め付け感は相変わらずであるけれど、一本受け入れるぐらいなら痛みはないようだ。

「ん、ん…っ」

声を殺して、衝撃に耐えようとするクラウドに、キスの嵐で慰めながら、指の数を増やしていく。

ローションをたっぷり使えば滑りはよく、おそらくは切れるような心配もなさそうだった。

 

「挿れて、いいか…」

本当は、了承を得ることすらもどかしい。

今すぐに思い切り突き入れて、存分に突きまくってしまいたい。

けれど、彼に駄目だと言われれば、たとえ自分のイチモツを殴りつけてでもやめてやりたい――

そう、馬鹿なことを考えてしまうぐらいには、彼の心と体を大事にしたいのだ。

 

クラウドが控えめに頷くのを合図に、自分のそそり立つ男根を、彼の可憐な蕾に押し当てた。

まさに、そのときだった。

 

 

 

 

「…ちょ…なにしてんだよ!」

「え?」

「それ…まさか、いれるつもり、なの…?!」

「……うん?今、オマエ挿れていいって、」

「し、尻にチンコが入るわけないだろ?!何考えてるんだよ!ばか野郎!!」

先ほどまでの色づいた雰囲気はどこにいったのか。

あれだけ蕩けきっていたクラウドが、何を思ったのか全力で拒絶してくる。

 

 

「………あのさ、クラウド。オマエ、何をここに挿れると思ってたの?」

「え?浣腸したいんじゃないの?あいつみたいに。」

 

 

がつん、と鈍器で殴られたような衝撃。

「なんで、カンチョー?」

「浣腸して泣く子を見るのが好きだって、あいつが言ってた。だからザックスもそういう変態趣味で、」

「ちげえよ!バカクラウド!!」

もはや泣きたい。

マニアックなプレイとして好む者もいるだろうが、ザックスはただクラウドとひとつになりたいだけ。

愛する人と最高のセックスをしたいのだ。それなのに。

 

 

 

 

「クラウド。あのな。俺はオマエとセックスしたいの。つまり――この尻の穴に俺のを挿れて、

オマエの腹ん中をめちゃくちゃ突きまくりたいの。わかる?」

「そ、そんなの………急に言われても…考えたこともなかった、し。」

「オマエ、もしかして………なあ、聞いてもいいか?」

「なに?」

「デリカシーないこと言って、傷つけたらごめん。」

「なんだよ。」

「オマエ……アパートであいつに、レイプされたわけじゃ、ない?」

 

 

 

 

「でっかいカンチョー、されそうになっただけだけど。」

あっけらかんと答えたクラウドに、全身の力が抜けて思わずベッドから落ちた。

 

 

 

 

 


 

 

 

「あ…ぁ…っ、そんなの、いれちゃ…だめ、だよ…っ!」

「マジで、初めてだったんだな。きつすぎてやばい、俺感動してる。」

肉を割りさく感覚は、どう考えても彼が雄を受け入れた経験がないことを証明している。

苦しいぐらいの締め付けがたまらなく甘美で、思わず腰を上下に揺らすと、

クラウドはイヤイヤと首を左右に振り乱した。可愛い。

 

別に処女好きなわけではないし、たとえクラウドが汚されてしまったとしても、この愛が醒めるわけがない。

けれど誰の欲望も埋め込まれたことのない場所へ、

ただひとり彼に許されたザックスだけが犯せると言う事実は、やはり幸福なことだ。

何よりも、クラウドがあんな男に犯されて、痛く苦しい思いをしていなかったことが嬉しい。

むろん、尻を傷つけられナイフで脅された恐怖は、きっと彼の心を酷く傷つけたに違いないけれど。

…とても、怖かったことだろう。

 

「あ、ざっくすの…っ!ごりごりして、る」

「誰かさんが可愛いせいで、こんなんなってんだよ。」

あまりに細いクラウドの腹は、突き入れたザックス自身の体積で少し膨らんだ気がする。

その様があまりにエロくて、夢中になって腹の中を掻き混ぜた。

もちろん、痛く無いように。気遣いながら、ゆっくりと動かしてやる。

 

たっぷり塗ったローションが泡立ち、結合部からはグプグプと水温が聞こえる。

もっと恥ずかしい音をたててみたいと、勢いよく巨大化したペニスを突き入れてみると、

ズチュッ!と卑猥な音が響いた。

それに羞恥を感じているのか、両腕で顔を隠してしまうクラウドに、そっと囁く。

 

「こら、隠れんなって。」

「や…、おねがい、みないで、」

「見ないわけないだろ。こんなに可愛いのに。」

「かわい、わけ、ない…いや、かお、ちかい…」

「クラウド。キスしよう。」

 

そう提案すれば、ゆるゆると腕をほどいて顔を見せてくれる。

目の前にある愛らしい唇に、吸い付くように食らいつけば、彼はザックスの首に腕をまわして受け入れる。

「いいな、それ。」

「なにが…?」

「抱いてるって、かんじがする。もっとくっついて。」

そう請えば、素直にクラウドは従う。

腕だけでなく、彼の細く長い、美しい足までも腰に絡み付いて来て、

その全身で求められている事実に狂喜した。

 

「あっ、ん、はぁ…っ」

声を出すまいとして、でも突かれるたびに思わず零れてしまう愛らしい喘声。

セックスを盛り上げるためか、羞恥心が薄いのか…甲高い声で喘ぐ女ばかりを相手にしてきたから、

クラウドの恥らう姿はあまりに新鮮でたまらない。

「ほっせえ腰…、壊しちまいそう、」

男はみな、くびれた腰に魅力を感じるものだろう。

スタイルのよろしくない女とやるときは、服かバスローブを着せたままことに及んだこともあるぐらいには、

ザックスも例外ではなかった。

けれどここまで危うい、華奢な腰つきの子は、間違いなくいなかったはず。正直言って、かなりくる。

 

「あ、あ、おしり、こわれちゃう…」

「ごめん、なんか止まんない。もっと、突きたい…」

「ひぃっ、ら、め……!おく、あたって…」

「このへん、気持ちいい?」

「ひい!だめ、だめぇっ!」

「なんだよそれ。もっと突いてって言ってんの?ベッドでもツンデレかよ、可愛いな。」

「いやぁぁあ!」

ぎゅうと、まるでザックス自身を絞り上げるように締め付けながら、クラウドは達する。

その刺激に耐えきれず、ザックスも思わず射精した。

 

 

 

「……あ、ぁ、あ…っ」

「……なあ、クラウド。」

「…ん、あ、…んんっ」

「ゴム、外してもいいか。」

「…は、ずす…?」

「やっぱオマエの腹の中、直接突きまくって…生で出したい。」

「あ!?あっ、ああんっ!」

ごめん、そう謝るのと同時に、ゴム一枚被せていない赤黒い肉棒を、彼のピンク色の蕾へと押し込んだ。

 

安全なセックスは男の義務。

互いに面倒なことにならぬよう、女性相手であれば避妊だけは確実にしてきた。

でも、クラウドを相手にすると、そんな理性さえも簡単に崩壊してしまう。

数ミリの厚さだって疎ましく感じるほどに、彼とひとつになりたい。

そして自分の欲望を、彼の細い腹に注ぎ込んで、自分だけの色に染めてしまいたい。

不可能なことだけれど――いっそ孕ませてしまいたいぐらいだ。

 

それほどの、独占欲。

 

「あぁっ、あ、あっ、」

「なんだよ、これ…」

その、直接柔い肉で包まれる感触といったら。

一瞬で持って行かれそうになるのを、歯を食いしばって耐えぬく。

 

「う、そ…そのまま、いれちゃった、の…?」

「うん。生で入ってる。」

「き、汚いよ…!」

「言っただろ。クラウドの体で汚いところなんかない。」

「そんなわけっ…、ひいん!!」

ズク、と一度大きく突き入れてみて、滑りがよいのを確認すると、再度リズミカルに突き上げ始める。

 

「あん、あっ、んあ!」

「あーやばい。マジで気持ちいい…」

「ふ、んん!ん、」

「オマエの腹ん中、俺ので抉ってるってかんじがする。」

「……ば、かっ!おれ、だって…」

「クラ?」

「おれ、だって…ざっくすの、あつくて…きもち、いい、もん…」

「クラウド!!」

 

優しく突き上げてあげたいのに、腰の動きは激しさを増していく。

止まらなかった。

早くこの子の腹の中を、ドロドロに汚してしまいたくて――無我夢中で腰を叩きつける。

「あん、あん!だめ…、こんな、突かれたら……へんになっちゃう、よ…!」

涙や涎で顔をぐちゃぐちゃに汚しながらも、それさえも厭らしく愛らしいと思ってしまう自分は、

そうとうクラウドに腰砕けのようだ。

「クラのおちんちん、俺に突かれるたびに揺れてるよ?可愛いな。」

クラウドはセックスの経験がなく、そもそも貞淑でうぶな性格だ。当然動くことを知らない。

けれどザックスに体を揺すられれば、その可愛い性器だけはプルンプルンと上下に揺れて、

その光景はあまりに涎ものだった。

 

それを指摘されたクラウドは、慌てて自身の小ぶりなペニスを手で隠そうとするが、

その「見ないで」という生娘のような動作は、男の好物以外のなにものでもない。

「隠すなって。…ほら、俺がそこも可愛がってやるからさ。」

「やだ、さわらないで、いい…いいから!」

「こんなに濡らしてんのに?俺に触ってほしいって、おまえのそれぐちゃぐちゃになってんじゃん。」

「ちが…っ!ひ、ひい!やめて!」

「可愛いクラウド。マジで食っちまいたい。」

 

男であれば、簡単に快楽へと堕ちてしまう性器と。

間違いなく愛する人とひとつになっているのだという、その実感そのもののような後肛。

同時に攻められれば、クラウドは呼吸さえもままならぬほど、全身をよがらせる。

そうして、彼が快楽を感じてくれるそのたびに――ザックスの肉棒を咥えたままの腸壁は、

これでもかというほどにぎゅうぎゅうと締め付け、躍動するのだ。

 

「もう、だめ…っで、ちゃう…!」

「俺も……おまえの腹ん中に出したい。出していいか?」

「…おなか、にだすの…?だすと、どうなるの、」

彷彿とした表情で、どこかあどけない口調でそう問うクラウドは、

はたしてどこまで思考が働いているのだろう。

「女だったら、妊娠する。男だったら、腹を下しちゃうかもしれない。クラウドだったら…」

彼の薄い腹を、慈しむように撫でた。

 

 

 

 

「クラウドだったら―――… 一生、俺の傍から離してやれない。」

 

 

 

 

それでもいい?祈るような気持ちで彼を窺えば。

彼は優しすぎる表情で、そのあまりに自分本位なザックスの独占欲を受け止めてくれる。

肯定の意味なのだろう、触れるだけのキスでそっと応えてみせたクラウドは、

足を開いて男の欲望を銜え込んでいると言うのに、あまりに神聖で慈愛に満ちていた。

 

天使か、女神か、聖母か――汚れなど知らないようなその存在が、

慣れないながらも、腰をわずかに揺らめかせる。

その欲望を、早くこの腹の中に出せと。そう求められている気がした。

 

「ん、あ…っ、あん、はぁん!」

「クラ…!」

「ざ、っくす…!」

「クラウド!!」

 

ズンッ!

これでもかというほど彼の柔い腸壁を押し上げて、雄の本能のままに、思うがまま噴流を叩きつける。

薄いゴム越しでは、当然与えられなかった「出される」感覚に、

クラウド自身可愛いペニスを弾けさせて、全身で身悶えた。

まるで、腹の中に注ぐその音が聞こえてくるような――

それほど勢いよく、かつまだ出るのかと呆れてしまうほどの長い射精に、ザックス自身苦笑してしまう。

 

「まだ、でてる、の…?」

「うん。ごめんな。」

「あ、あやまって、ほしくなんか…ない。」

「うん、ごめん。」

だけど、謝ることしかできなかった。

 

――きっともう本当に、一生涯この子を放してはやれない。それがわかっているから。

  

 

 

 

「あのなクラウド。こんな時にいうの、卑怯かもしれないけど…今、聞いてほしいんだ。」

「…ん、なに?」

至福の余韻に浸りながら、クラウドの髪を撫でてやる。

そうすれば彼は今にも眠りに堕ちてしまいそうで、目をこするその幼い仕草が愛おしい。

 

「クラウドの母ちゃんに、会わせて欲しい。俺の実家にも、オマエのこと紹介したい。」

「……うん、いいよ。」

「それと、もし喧嘩するようなことあってもさ、絶対この家を出ていかないで。」

「…でも、ここはザックスの、」

「ここはクラウドの家だ。俺たちの家だから、喧嘩したら俺を追い出せばいい。」

「…なにそれ、」

「そんで、俺が仲直りに花を買ってきたら、しょうがないなって許してやって。」

「ふふ、」

「こら、俺マジだから。笑うなって。」

優しく小突くと、子猫のようにその手に頬ずりされてしまう。

これはもう、半分夢の世界に突入しているかもしれない…。

彼が完全に寝いってしまう前に、言っておかなくては。

 

 

「明日会う約束なんて必要ない――ずっと一緒にいるのが当たり前な、そういう関係になりたいんだ。」

「それって、なんていう関係、なの?」

「恋人じゃ足りない。…オマエと家族≠ノなりたいよ。」

「……うん、」

「男同士だし、認めてもらえないこともあるかもしれない。

親を泣かせることも、人に嘘をつくこともあるかもしれない。

オマエのためだったら何でもでするけど、でも、やっぱり悲しかったり寂しい想いさせるかもしれない。

守ってやるって言いながら、俺の方が先に死んじまうかもしれない。でも、」

 

「――それでも一緒にいる。それが家族になるってことだろ。」

ザックスの言葉を遮って、クラウドは当然のように言い切った。真っ直ぐな瞳は、いつだって潔い。

 

どれだけ傍にいても、全部を分かり合えることはないかもしれない。

どれだけ愛していたって、心のどこかで痛みを抱えて生きるのかもしれない。

それでも二人で生きていく。

 

…二人でならば、生きていける。

 

 

 

痛み、悲しみ、孤独、不幸せ、

――幸せ。

 

それらに寄り添って生きることを、

家族と呼ぶのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「――クラウドを、愛しています。」

 

いつもあれだけ美しく伸びた背筋を、これでもかというほど丸めて、

床に頭を擦りつけたまま微動だにしない恋人の背中を、クラウドはただ茫然と見ていた。

まるでクラウドを背に庇うようにして座っているザックスは、その声はとても力強かったけれど、

しかしその床についた両の腕は少し震えている。

 

クラウドの母ちゃんに会わせてほしい。俺の実家にも、オマエのこと紹介したい。

 

そう提案してきたのはザックスの方で、その時の彼はひどく真面目な顔をしていたけれど、

クラウドはその真意を正確には理解せぬまま頷いてしまった。

ただ、互いの実家に遊びにいくだけ――その程度の認識だった。けれど、ザックスは違っていた。

 

 

「それは……この子を、お嫁さんに貰いたいってことかしら?」

 

 

クラウド同様に金の髪に白い肌をもち、儚い雰囲気の母は、けれど凛とした声でそう返した。

「男同士だから、籍は入れられない…子供も産めないから、家族を増やしてやることも出来ない。

でも、クラウドのためだけに、生きていく――それだけは、誓えます。」

 

独りでは何も出来なくなってしまう、駄目な男であるくせに。

…クラウドを背に庇う時は、誰よりも頼もしいひとになる。

 

彼の向こう側に座る母と目が合ったとき、彼女は優しく、眉を下げて笑った。

「……クラウドを、よろしくお願いします。」

ザックスと同じように頭を深く下げた母に続いて、クラウドも夢中で床に頭をつける。

 

 

 

 

この、互いを慈しみ合い、許し合い、幸せを祈り合った瞬間のことを、きっと生涯クラウドは忘れない。

 

 

 

 

「う、う、うっく…、」

その幸福で、厳粛な時間の中。

情けなく泣き出してしまったのは、やっぱりザックスで、クラウドと母は思わずまた見つめ合う。

笑い声と泣き声の響くリビング――こうしてまた、愛する家族≠ェ増えていく。  

 

 

 

 

 

 

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C-brandMOCOCO (2014.08.11

Happy birthday CLOUD!!

クラウドとザックスとザックラを、永遠に愛しています!

 

 

 

 


 

 

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