C-brand

 

 


 

 

 



 

  

 

【ご注意】

@ ザックラ同室設定、相性最悪のルームメイトです。

ザックスがクラウドにメロメロ〜!な、いつものノリはありません。

A とか言って、どーせそのうちデレッデレになるんですよね。ざっくん…

B 露骨な性的描写あり(予定)。18歳以上の方の閲覧推奨です。

 

LIAR6

だって愛してる(キリ)とか

今どき流行(はや)んないし?

 

 

たかが一週間。されど一週間。

青少年…もとい性少年であるお年頃≠フ俺たちとしては、抗えない生理現象というものがある。

つまり―――

 

『あん!あん!』

「……」

『はあん!いや…!』

「……」

『そんな、だめぇっ!それだけはゆるして…っ』

「………」

 

「あのさ、黙ってると、余計恐いんだけど。なんかないの?」

文句でも批難でもいい。この際、野次罵倒でも構わない。

「…ザックスって、こういうのがいいの。」

「こういうのって、」

「巨乳。」

「まあ、男のロマンだよな。」

「監禁。」

「男のロマンだな。」

「無理やりレイプ。」

「ただ無理やりじゃなくって、ヤってるうちに気持ち良くなって自分から強請っちゃうっていうのが、ロマンだな。」

 

「最低。」

 

クラウドは俺の予想どおりの感想と、予想以上の冷たい眼差しで俺を見た。

可燃ゴミを見るような目で見られるは覚悟していたが、生ゴミを見るような目で見られるのは想定外だった。

「いや、だってさぁ…男なら溜まるだろ。自己処理ぐらいしとかないと、体によくないって絶対。」

「だからって、よくこんなアンタの趣味丸出しのもの…」

「じゃあ、オマエの趣味ってどんなんだよ。」

 

 

 

 


 

…今の状況を説明しよう。

俺たち二人は、小さなラブソファに座って、寄り添うように体をくっつけている。

仲良くDVD鑑賞――ではなくて、手錠で繋がれているから離れられないだけだ。

 

そう、セフィロスによって手錠で繋がれて数日間――

俺はほぼ自主トレーニングのみだし、クラウドも上官から一週間の出社停止を言い渡されたらしく

(絶対、セフィロスの命令だな。暇なイカ野郎め!)業務には全く差支えない。

それに、クラウドは無駄に喋ったりしないし、かといって話しかければなかなか面白い発言も多くて

これがけっこう、一緒にいるのが苦じゃなかったりする。

相変わらず生意気だし、言い争いは絶えないけど。

それも王宮のニャンコさまを飼い慣らしていると思えば、たいしたことじゃない。

しょせんはシャム猫。仲直りに好物のココアをいれてやれば、機嫌は直る。ちょろいもんだ。

 

朝から晩までベッタリな生活、ではあるけれど。

あと3日程度だし、このまま何事もなければミッションコンプリートできそうだ。

問題があるとすれば、3つほど。

 

ひとつは便秘になりやすいこと。だってあいつ、俺が便所に入った後、少しの遠慮もなく消臭スプレーまくんだぜ?

CMでやってる「トイレその後に♪」っていうフレーズでおなじみの、ラベンダーの香りがするやつだ。

心臓に毛が生えてるってカンセルに言われる俺でも(たぶん生えてないと思うけど)さすがにちょっと傷つくぞ。

 

二つ目は外出しづらいこと。さすがにこんな爆弾抱えたまま、街中を歩くことはできない。

必要なものは一通り寮の売店に揃ってるけど、寮の中歩くのだって周りの視線が気になる。

手錠で繋がれたところを上着をまるめて隠してみても――

「ようザックス、可愛い子とお手て繋いでデートか?」とか、「その子、氷の女王様じゃね?!どうやって

 射止めたんだよ!」とか、いきなり「爆ぜろリア充がッ!!」とかとか…

何をどう曲解したのか、身に覚えのないことで同僚たちの冷やかし・恨み・嫉みを浴びせられる。

 

三つ目は、男の子の下事情。これが一番深刻だ。

なんといってもヤりたい盛りのお年頃、女の子とよろしく出来なくても、

せめて自己処理ぐらいはしなければいけない。

食う、寝る、と同じように、これは必然的で自然な雄の本能なのだ。

 

そんなわけで、どうせオカズに選ぶなら可愛い子がいい。

AV女優と言えば、最近アイドルからAVデビューを果たしたキャメル・フェンディちゃんが一押し。

演技もうまいし、あそこの毛もブロンドだし、なによりおっぱいがでかい。

少し前にJENOYA(レンタルショップ)で借りたキャメルの新作を解禁しようと、クラウドに声をかけたのだ。

「もう我慢できない。後悔させないから付き合え。」と。

 

言っておくが、男のマスかきを見せ合う趣味なんてない。

…認めてしまえば、クラウドの独りエッチであれば見てみたい気はするが、自分のそれを見せびらかすには

いさささか抵抗はある。それも、背に腹は代えられない。

 

そうして始まった(というか俺が勝手に再生ボタンを押して始めた)エロDVD鑑賞会。

クラウドは「俺は見ない、一人で見ろ」といつまでも抵抗していたが、それは困る。

隣にいてくれないと、腕輪が爆発してしまうんだから。

DVDが始まると、クラウドは最初目を見開いて、そしてすぐに顔を俯かせた。

オープニングでAV女優が大胆な水着姿でポーズをする――それだけでクラウドは直視できないらしい。

まさか、ここまでうぶ≠セったとは。

 

(この新作、けっこうエグかったらどうしよう…)

 

もしかすると、クラウドにとって初めてのAVかもしれない。

そんなわけないと思っていたけど、これだけの堅物ならばありうる可能性だ。

もしそうならば、初めてはソフトなエロがいいだろう。

いきなり無修正とか、乱交とか、凌辱ものとか…刺激が強すぎるはずだ。

俺の不安を煽るように、画面の中のキャメルちゃんは複数の男に取り押さえられ、両手を拘束されている。

あまつ、猿ぐつわに目隠しという――いわゆる監禁レイプで乱交、しかも無修正という、

元アイドルのくせになんでそこまで頑張っちゃうのってぐらいハイスペックな内容だ。

 

最初は俺を「最低」だの「下衆」だの「変態」だのと詰っていたクラウドが、次第に顔色を変えていく。

ピンクに染まった頬が、だんだん血の気を失くしていって…悲壮な表情。

画面の中でめちゃくちゃに犯されるキャメルちゃん、それに興奮する余裕など俺には無くて、

ただ隣で膝を抱えたまま涙を浮かべるそいつが気になって仕方がない。

好みじゃないどころか、おそらく引いている。もしやトラウマになってしまったかもしれない。

互いに黙って画面を見つめているだけのこの空気に、もはや耐えられなくて。

クラウドの前髪をそっと撫でると、彼はついに我慢できなくなったのか、俺の服の袖を握りしめてこう言った。

 

「この人、嫌がってるのに…助けてあげられないの?」と。

 

「はぁ?あ、あの、な。クラウド。これは…」

AVってのは映像作品であって、当然ながらフィクションだ。

いかに演技が迫るものであっても、それらしいカメラワークであっても、本当のレイプじゃない。

そう説明してみても、「でもこんなに痛がってる」とか「泣いてるじゃないか」とか、その瞳に涙をためて

彼女の身の上を案じている。なんだこいつは。フェミニストを地で行くのか、女に夢を見ているのか。

女だってセックスが好きだし、金も好きだ。

このAV女優たちがどんな人生ドラマを経験して今に至っているかは知らないが、自分で選んだ道。

可哀想、という言葉はむしろ彼女達への侮辱になるんじゃないだろうか。まあ興味もないけど。

 

「こういうのは、本当に好きな人とするものだろ。こんな風に女の子を傷つけるなんて、ザックスは最低だ。」

「これはただのオカズだろ!本当にヤるときには、こんなことしねえよ!」

当然、こういうプレイは妄想だから楽しいのであって。実際は、服を破いたりしないし、縄で縛ったりもしない。

セックスは合意でないなら意味がない。女の子を『おとす』のが楽しいんだから。

「じゃあ、どうやるの。」

「どうって…だから高いレストランでご機嫌とって、そのままホテルに連れ込んで一発。

すっきりしたらホテル代おいて帰る。」

どうも、朝まで一緒っていうのは落ち着かない。

行為の前のキスは抵抗ないんだけど、行為の後のキスは避けたい。

出すもん出したら一気にクールダウン、それが男ってもんだろ。

「アンタに聞いた俺が馬鹿だった。」

「いや、待て待て待て。やっぱ違う!本当に好きな子なら――」

ちょっと右脳をフル回転させて、想像してみる。煩わしいので、DVDはテレビごと消した。

 

 

 

たとえば。あくまで、たとえばの話だ。いいか、これはあり得ない仮定に過ぎない。

たとえば、本当に好きな子相手だったら…やっぱり大事にしてやりたい。

体だけが目当てだなんて思われたくないし、いきなりがっついて嫌われるのも嫌だ。

手を繋いで、頭を撫でて、キスをして、そうしても俺の腕から逃げなくなったら、白い肌に触れてみたい。

きっとシャツの中に指を入れただけで、あの子は泣き出しそうになるんだろう。

恐がらせないように、「オマエが嫌がることはしないから」と手の甲に口づけながら誓って、ベッドへ――

女扱いするなって拗ねるかもしれないけど、やっぱりお姫様抱っこで運んでやりたい。

これは俺の夢といってもいい。女扱いじゃなくって、ただ甘やかしてあげたいだけなんだ。

 

きっと初めてだろうから、いきなり最後までっていうのは無理だろう。

別に挿入できなくってもいい。キスをしながら指で擦ってあげて、俺の手の中でイかせてみたい。

イって力が抜けてる時に、指を一本だけそっと射し込んで、中を探ってみる。

俺の指一本だってきっと限界なぐらい、あいつの中は狭い。

だから毎日少しづつ慣らしてあげて、指が3本入るようになったら、そのときこそ――本番だ。

 

ゴムもローションも、ちゃんと準備して。

絶対、痛い思いなんかさせない。本当はいきなり突っこんで、あの細い腹の中をめちゃくちゃに掻き混ぜたいけど、

そんなことをすればあの子に泣かれてしまうだろう。

もう二度としないなんて言われたら生きていけないし、ゆっくり、ゆっくり、あの子の中に入っていく。

ある一点に触れたとき、あの子の体がびくんってなって、ここがいいのかと問えばあいつは恥ずかしそうに

「うん」って頷くから、そこをぐいぐいしてあげながら何度も何度もキスを繰り返すんだ。

 

可愛いとか気持ちいいとか好きだよ、とか。

馬鹿みたいだけどそんな単純な言葉が止まらない。

他にもっとムードのある言葉が出てきたらいいんだけど、何も浮かばない。

きっとそれが、嘘偽りないほんとうのこと、なんだ。

中に出したい、けどそれはあまりに可哀想だから、そんな酷いことはしない。

「イっちゃう」って強請られれば、「イっていいよ」と、優しく頷いてあげる。

俺がイくまでイくな、なんて、そんな意地悪なこと言えるわけがない。

 

行為の後は、いわゆるストロベリータイムだ。

腕枕をしてあげて、あの子の髪に顔を埋めると、向こうも肌を寄せてくる。

「ザックス、慣れてるね」って頬を膨らませてあいつは拗ねてる。

けど本当は、腕枕なんて女にしてあげたことはない。朝まで一緒に寝ることさえ、滅多にない。

右腕の重みが嬉しいなんて、人肌がこんなに気持ちいいなんて、そんなのが全部俺にとっては初めてだなんて

――言えるわけがないけれど。

 

でも、これだけは言っておかなくちゃ。照れくさいけど、さ。

 

 

 

「愛してる、クラウド。」

 

 

 

 

「ってなに言ってんだ俺はあああああああああああ!!!」

「ザックス?」

「えっ?え?俺、今、なに口にした?!」

「何って、だから…本当に好きな相手だったら、腕枕したいとか、そんなかんじ。なんかブツブツ言ってて

よく聞こえなかった。」

「あ、そう、よかった。マジで良かった…。」

妄想という名の小宇宙(コスモ)、これをクラウドに聞かれてしまったら腹を切るしかない。

 

 

 

 

「――もしかして、ザックス。好きな人、できた?」

 

 

 

 

「え、」

「こないだも、もう好きな人としかしないって、言ってたし。」

「ああ、それは」

「それに、ザックス変わった。…なんか、目が優しい。」

「そ、れは――」

 

それは全部、誰のせいだと思ってる。

女とセックスしないのだって、誰かさんが泣くからだし。

ついだらしない顔をしちゃうのだって、そうやって俺の服の裾を無意識に掴んで見上げてくるからだろ。

そんな可愛いことされれば、そりゃ脂下がった顔になるわ。

 

 

 

「オマエのせいだろ?」

 

 

 

それはどういう意味なのかと。

訝しむように首を傾げるクラウドの前髪が少し揺れて、ふわりと花の匂いが香った。

「本当、どうしてくれんだよ。オマエが泣くから、女の子相手にも勃たないし。女の子とメールとか電話してても、

オマエ余所見すんなって顔してすぐ拗ねるし。しょっちゅう俺のこと殴ったり蹴ったりするくせに、シチュー食うときは

美味しいねって素直になるし。寮の廊下歩くだけで、変な誤解されて俺すっかりホモ扱いだし…!」

「なに、なんで急に怒ってんの、」

 

「とにかくオマエが24時間くっついてくるから、嫌でも気になっちまうんだよ!」

 

「好きでくっついているわけじゃない」とか「俺だって迷惑してるんだ」とか。

そんな風に返そうとしたらしいクラウドは、次第には声が震えて言葉にならなかった。

なんだよ、また泣くのかよ。卑怯だ。俺がオマエの涙に弱いってこと、知っているはずなのに。

 

 

 

「…違くって、そうじゃなくって。」

こいつを泣かすまいと、必死な自分があまりに滑稽。言い訳するぐらいなら、なんで素直にならないのか。

「だから、俺は、」

俺、男だろ。ついてるもん、ついてんだろ?

「俺はオマエのことが、」

もう、遠回りなんかするな。

可愛いなら可愛いって言えばいいし――好きならば好きだと、言っちまえ。

男らしく、さあ、

 

 

 

 

「好き…かもしれない。」

 

 

 

 

かもってなんだ!女子高生か。AKB84か。

どこまでも煮え切らない俺に、クラウドの口癖が制裁を与えることだろう。

『興味ないね』と、どこまでも冷ややかに、すっぱりと俺を振るんだ。

ほらな、案の定。クラウドのやつ、顔色一つ変えないで―――あれ、耳まですごい真っ赤だ。

なんで、おまえ、ボロボロ泣いてんの?

「クラウド、どうした?泣くなって、な?」

「ちが、う…ごめん、俺、」

「うん?」

 

 

 

 

「…好きです。明日、ザックスの気が変わっても構わない。」

 

 

 

 

何かが、体内で弾けた。ような気がする――

俺なんかよりも、ずっとずっと男らしく、潔く、そしてあまりにいじらしい告白。

 

わかったぞ、俺の寿命を縮めてやろうっていう魂胆か?悪魔のようなやつめ。

残念だったな、寿命縮まるどころか今すぐ爆死しそうだよ。畜生!

 

 

 

ドカン!って、今何が爆発した?

 

俺の左胸にある

俺より100倍素直なそれがうるさい。

 

好きだ可愛い抱き締めたいって

うるさくってしょうがないんだ。

 

 

 

 

 

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C-brandMOCOCO (20131.2)

萌えましておめでとうございます。

今年も宜しくお願い申し上げます。

 

 

 

 


 

 

 

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