*ご注意*
@ブログで連載していた、頭の悪い小話です。
Aザックスが、あらゆる意味で最低です。
Bコメディだったりシリアスだったり…意味不。
Cかなり露骨、無理やりな18禁描写につき、ご注意ください。
―症状その6―
唯一の処方箋、それはキミ。
…男を抱いたことなんかない。
やり方なんかわからないし、本当にできるのかも知らない。
でも、繋がりたかった。
本能のままに、クラウドの中を貫いて、擦りあげて、押しあげてみたかった。
「ざっく、や、やだ…っ」
衣服を強引に脱がせ、裸にむく――
露わになったその綺麗な白い肌に、無我夢中でむしゃぶりついた。
どこもかしこもあまりに滑らかで、体中を舐めまわしてしまいたくなる。
シルクのような、マシュマロのような触り心地。そこらの女の子なんて、比じゃない。
「や…っやめろ、よ!」
本気の力で抵抗するクラウドの手が、俺の目尻のあたりに勢いよく当たった。
「…いって、」
「…あ、ごめんなさ…。」
謝る必要なんてないはずなのに、クラウドが眉を下げる。
こんなことをしているのだから、俺は殴られて当然、彼が謝ることじゃない。
むしろ、もっと俺を責めたてて、なじってくれないと、これから先のことがし辛くなる。
…だって、もっと酷いことを、これから彼にしてしまうんだから。
「え…?!ちょ、ま…っ!」
白くて小さな尻――少し力をこめて揉みしだき、そのまろやかな感触を味わう。
「や!どこ触って…っ」
「ずっと、こうしてみたかった。」
女の子の胸より、女の子のお尻より、本当はずっとクラウドに触ってみたかった。
そしてそれは、想像以上に魅惑的な――…
「ザックス…?まさか…」
クラウドをうつ伏せにしてベッドに押さえつけ、後ろから細い腰をつかんで、
「うそ…うそ、でしょ…ねえ?」
「大丈夫。ゆっくり、挿れるから。」
「や…やーーーーーっ!!」
俺自身の先端を少し挿れてみただけで、クラウドは嫌だと泣く。
出来るなら、痛みはないようにしてあげたい。
だけど、男同士である以上やっぱりそれは無理で。
俺自身を飲み込んだ小さな蕾は、限界まで押し広げられて、今にも裂けてしまいそうだった。
そういえば、指で慣らすこともしていない――。
男同士のセックスのかってがわかっていないのも事実だけれど、少し考えれば前戯ぐらい思いつくはずだ。
どこまでも余裕のない自分に、舌打ちした。
「あああっ?!ひ…っ、」
「ごめん、痛い…?痛い、よな。」
めりめりと、まるで肉を割裂くような音をたてながら、かろうじて奥まで到達する。
根本まで挿入したそれを、もっともっと貪欲に埋め込んでしまいたくて。ぐ、と奥深くへと押し付けた。
もうこれ以上は入らないと思うほど、ぎちぎちに締まったそこが、
それでもまだ俺自身をずくずくと飲み込んでいく。
…こんなにキツイんじゃ、いつ切れてしまってもおかしくない。
それは大切なものを傷つけてしまいそうな恐怖と、
そうするのは他でない自分自身だという狂気と。
そうして糸のようにギリギリのもので繋がっている、儚い均衡の上に存在するスリルがあった。
「いた、い…、いたっ、」
「ごめん。」
ごめん―――と、心の底から謝罪した。
こんなにクラウドが痛がっているのに、俺は死ぬほど気持ちいい。
クラウドの中は、柔らかい肉が絶妙に波打つように収縮して。
その未知なる感覚は、一種の感動さえ覚えた。
今までのセックスは、何だったんだろう。
今まで抱いてきた体は、いったい何だったんだろう。
味わったことのない快感。
あまりにたまらなくて、奥深くから湧きあがる本能のままに、
残酷にもクラウドの小さな尻に自分のそれを打ち付けた。
肉と肉とがぶつかる音は、あまりにリアルで、まるで暴力だと思った。
いや、他でもない暴力に違いないんだろう。
クラウドを殴りつけているのと、叩いているのと、少しも変わらない。
その証拠に、クラウドの体は痛みに強張り、ガクガクと震えていた。
どうして、こんな拙いセックスしかできないんだろう。
本当は、気持ちよくしてあげたいのに。…こんな風に、泣かせたいわけじゃないのに。
それは、今までしてきたどんなセックスよりも稚拙で、ただ前後に出し挿れするしか能がない。
それだけなのに、一度突くたびに、クラウドの中はぎゅうぎゅうと卑猥に蠢いて。
俺を、溺れさせる。
「は、すげえ、締まる…っ」
思わず、感嘆のため息が出てしまうほどに。
もう永遠に、他の女なんて抱けないと思うほどに。
もう永遠に、クラウド以外を愛せるわけがない―――
「う、あ…っ!やめて、やめ、て…っ」
挿入されるまで、必死で抵抗していたクラウドは。
体力をかなり消耗していて、もはや嫌だと首を横に振るしかないようだった。
男に、尻を突き上げられるなんて…今クラウドは、どんな気持ちなんだろう。
それはどんな衝撃で、どんな怒りで、どんな屈辱なんだろう。
それを想像して泣きたい気持ちになったけど、どうあっても止められない。
「抵抗しない」のではなく、ただ抵抗する力が残っていないだけなのに、
それがまるで、少しだけ彼に受け入れられたように倒錯した。
まるで恋人にするように――後ろから抱きすくめて、クラウドの耳にそっとキスをした。
それは、無理やり犯している事実以上に、罪悪感を覚える行為だった。
欲望をぶつけることよりも、愛をぶつけることの方が、よりリアルで真実のような気がしたから。
「ごめん、ごめん……」
いったい、何度ばかみたいに謝罪を続けるつもりなのか。
謝るぐらいなら、この人でなしの行為をやめるべきなのだ。
「ひど、い…こんなの、ひどい、」
だから、クラウドの言葉は正しい。
「そうだな、ごめん…っ」
クラウドの言葉どおり、こんな酷いことを彼にしているなんて。
クラウドの小さな尻をわしづかんで、その小さな…小さすぎる蕾に、
自分の醜い欲望をそのまま形にしたみたいな、グロテスクに怒張した塊を突っ込んで。
あまりに、酷い―――
こんな強引に愛しい子を傷つけていることも、
痛くするしか知らない独りよがりなセックスしか出来ないことも、
こんなにクラウドが泣いているのに、まだ突き上げてやりたいと思っていることも。
…こんなことをしておきながら、どうあっても止められない、その言葉も。
なんて、陳腐な言葉。
「クラ、あい…してる…、」
「…え?」
「あいしてる…っ!」
その言葉に、何の意味があるんだろう。
こんな乱暴なことをしておきながら、口にしていい言葉じゃない。
わかっているのに、零れるように止まらなかった。
――だって、本当に、死んでしまいそうだったから。
好きだと伝えなければ、おかしくなりそうだった。
愛していると知ってもらえないならば、心臓が潰されてしまいそうだった。
クラウドをこの手に抱けないならば、息さえも、もう、
「愛してる!!」
クラウドの肩をつかんで、向きを強引に変えさせ、その小さな体を離さないようにと全身でかき抱く。
好きだ、愛してると。
ばかの一つ覚えみたいに喚きながら、強引に唇を奪うと――
クラウドの中がぎゅう、と音をたてるほどに締まった。
「あ…っ!あんっ!」
すごい勢いで、クラウドの中は収縮を繰り返す。
ひくひくと小刻みに入口も震えさせ、中はまるで俺自身を搾り取ろうとするかのように、
ぎゅ、ぎゅ、と締め付けてくる。
「クラ、気持ちいいの…?」
後ろから挿入されるのとは、違うところに入りこんでしまうようで、
クラウドは背を艶めかしく反り返して悶えている。
「あ…ど、して…っ」
「勃っちゃった?」
クラウドが信じられないという風に、真っ赤に染めたその顔を両手で隠した。
さっきまで力なく萎えていたクラウドの白くて綺麗な性器が、反応している。
それは、ぴたりと、俺の腹に当たって。
その可愛い性器が、彼の華奢な体を揺らすたびにふるふると揺れる。
男の体だというのに、その様はあまりに愛らしくて、我慢できずにそこに手をのばした。
「やぁっ!そこ、触らないで…っ」
「すっげえ可愛いのな。クラウドのここ。」
触るなと言われても、可愛がらずにはいられない。
初めて見たクラウドの裸は、俺の脳内妄想でさえ追いつけないほどに魅力的だった。
可愛い。とにかく、可愛い。
…他になんと表現すればいいのか。
一度も使ったことがないのだろう汚れを知らない性器も、
思わず撫でつけたくなる金色の薄い恥毛も、
綺麗なピンク色で可愛らしく尖った乳首も、ずっと食いつきたいと思っていた真っ白で小さな尻も、
その中心で俺を飲み込んでくれている、花のような蕾も。
涙を流して、頬を紅潮させて、甘い喘ぎ声をあげるクラウドが、とにかく可愛い。
「あっ、ふ、あ…!」
「はぁ、はっ、は…っ」
「あ…っ!はぁん…っ!やっ!」
無我夢中で、クラウドの性器を擦り上げながら、可憐な小さな蕾に自身を突き挿す。
クラウドは、中が馴染んできたのか、それとも前からする方がイイところに当たってしまうのか。
必死で首をいやいやと振りながら、可愛い喘ぎ声を漏らしていた。
口からこぼれる涎がたまらなく美味しそうで、何度も舐め上げた。
「クラウド、ここ、いい?」
「ざっく、そんな…っ、だめ…ッ!」
「…いいんだな。」
クラウドが、感じてくれている。
前を擦られるのがいいのか、後ろの奥まったところを突かれるのがいいのか、
判断は難しいけれど、どっちもいい反応が返ってくるから、両方快感なのだろう。
「い、や…っ!ざっくすっ!こんなの、壊れちゃ…」
名前を呼ばれるたびに、まるで気持ちいいと言われている気がした。
そこを擦ってほしいと、そこを突き上げほしいと強請られているような。
「ほんとに、壊れ…っ!壊れちゃうよ…!んぁあっ!ざっくす…っ!!」
名前を呼ばれるたびに、まるで好きだと言われている気さえ――
それはまるで、体を、心を、縛られているよう、
セックスのときに、あれほど名前を呼ばれるのが嫌だったのは。
その相手の子に、自分を本当の意味であげたくなかったんだろう。
そして、その子を本当の意味で欲しくもなかったのだ。
だけど、今は。
「クラウド!クラウド!」
「ザックス…っ!」
名前を呼んで、呼ばれて、縛り合いたいと思っている。
一生自分のものにして、一生自分を捧げて、他の誰も入り込めないぐらいに。
食ってしまいたい。食われてしまいたい。
(…病んでる、な)
クラウドがいないと、もう、生きていけないなんて――
この病の名は、恋だ。
それは俺にとって、間違いなく…人生において初めてで、そして最後の。
たった一度きりの、大きな病に侵されている。
そうしてそれが、決して治らないことを、俺の理性は知っている。
この後、二人はどうなるのか――
それを想像するのはいとも容易いことだ。
俺はクラウドと二人、絶頂にたどり着いて、彼の中を思い切り汚して。
…クラウドに軽蔑されて、アンタなんかもういらないと言われて。
そうして、本当に、死んでしまうのだろう。
「ひい…っ!!いやぁぁぁあんっ!!!」
クラウドが、まるで泣き叫ぶかのように悲鳴を上げながら達した。
その信じられないほどの可愛らしい声を耳元で聞いただけで、俺も我慢できなくて。
「うぁ…っ!」
情けない声を思わず漏らしながら、クラウドの奥深くへと放つ。
「あ、あ、あ」
びくん、びくん、と。クラウドの全身が痙攣する。
中に出すなんて、あまりに鬼畜なことをしている。
可哀想だ、と確かに思うのに。
その白濁液をクラウドの内部に塗り込めるかのように、精を吐きながらそれを中に押し付ける。
ぐちゃ、と濡れた音がした。
それは、狭い部屋の中で思いのほか大きく響いて、クラウドを汚したことをまざまざと証明するかのようだった。
「ひ…っ、」
ずるりとそれを抜き取ると、クラウドの足を伝って、白い筋を作る。
クラウドの秘部は、さんざん犯されたせいで捲りあがって、赤く腫れていた。
そこから、ごぽりと白い液体が溢れ出している。
あまりに、卑猥。…そして、あまりに痛々しい光景だった。
「う…っ、うっ、うっ、」
クラウドが、声を殺してすすり泣いている。
「…おれ、」
それは、予想していたことだったけれど、クラウドの泣き声があまりに幼くて。
胸を串刺しにされるかのように、痛い、と思った。
…俺は、何てことをしてしまったんろう。
「うっ、う、ひっく、」
泣き声は治まることなく、嗚咽までも伴って。
俺の胸のあたりを、容赦なく突き刺していく。
「おれ、ごめ…っ」
「ザックス、なんか…」
「ごめん、ほんとに、クラウド、」
「ザックスなんか、大嫌い…っ!」
そういって、涙目で俺を振り返ったクラウドの悲壮な顔――
その彼と目があった瞬間、目の前が真っ暗になって、胸が潰れたように苦しくて、
息さえも、うまくできなくなった。
「う…ぐ、」
「……?ざ、」
まずい、これは、
「…おえっ!!」
突然、腹の底から湧き上がる嘔吐感に、咄嗟に手で口を覆ったけれどやはり抑えきれず。
ベッドから床に転げ落ちて、胃の中のものを吐き出してしまった。
俺とともに床に落ちたシーツで、それを拭くけれど、止まらなくて続けざまに2.3回戻した。
「はあ、は…っ!はぁ…っ!」
「え…ザックス、どうし、たの?」
「う、」
視界が歪む。バランス感覚が保てなくて、そのまま床につっぷした。
額ににじむ汗。全身に襲う悪寒。異常な脈数。
「ザックス…。」
それは、今朝の症状と同じ。
治りかけていた風邪を、再び悪化させたのだ。
あんな無茶苦茶な行為をして。
俺は、なんて馬鹿なんだろう。
…なんて考えなしで、自分勝手で、ワガママで。
「ごめん、クラ…、あんなの、暴力、だよな。」
――今にして思えば。
これまで、女の子達にしてきた行為だって、暴力だったかもしれない。
相手の気持ちも、相手の快楽も考えることなく、独りよがりのセックスをしてきたこと。
相手の想いを、少しも顧みずに、踏み躙ってきたこと。
セックスをするときに、相手の心が手に入らないことが、
こんなにも苦しくて、悲しくて、虚しいんだってこと――俺は、全く知らなかった。
今まで幾人もの子と付き合ってきて、それなりにモテているつもりだった。
自分に自惚れて、女の子を満足させているつもりだった。
…だけど。
俺ほどのろくでなしで、女心がわかってなくて、下手くそな大馬鹿野郎がいるわけがない。
「ごめん…泣かせて、ごめん…!」
馬鹿は風邪をひかない、なんて。誰が言ったんだろう。
そんなのは、嘘だ。
だって、クラウドを泣かせる、どうしようもなく大馬鹿野郎な俺が…こうやって、ぶっ倒れているじゃないか。
「………。」
クラウドは、返事をしてはくれなかった。
いっそ怒り散らしてくれたなら、何度だって謝ることが出来るのに。
そのチャンスさえも、きっともう俺に与えるつもりはないのだろう。
床に顔を押し付けたまま、鉛のように重い体を、一ミリだって動かすことは叶わない。
意識が、遠のいていく。このまま、俺は死んでしまうかもしれない。
そうだとしたら、それはたぶん風邪のせいではなくて…クラウドを、失ったからなんだろう。
この子がいないなら、もう生きてなんかいけない――
言葉どおり、このまま死んでしまうというのなら、それもしょうがないと思った。
ぺた、ぺた、と。
ベッドから覚束ない足取りで降りたクラウドが、裸足で歩く音が聞こえる。
視界に、クラウドの細い足首が見えた。
顔を動かすことも、言葉すら発することもできないまま。
その足が遠ざかっているのを、ただ見送るしかなかった。
ふらふらと、少し歩行をぶらしながら、クラウドは寝室のドアへ向かう。
そうして、扉を開けて――
クラウドは、いなくなった。
「………。」
もはや、呼び止めることも、今の俺には出来やしない。
体が自由ならば、死ぬほど土下座をして、追いすがって、想いを訴えて。
そうしたかもしれないけれど、そんな力すら残っていない。
…たとえそんなことをしても、クラウドに許されるわけがないと、わかっているけれど。
「……っ、」
くしゃくしゃになったシーツに、涙のシミができる。
半裸のまま、床につっぷしながら泣いて、体を動かすことすら出来なくて。
今の俺は、なんて滑稽で、無様で。…なんて、お似合いなんだろう。
クラウドを泣かせた報いだ。
あいつを泣かすような奴は、こうやって床に這いつくばって、泣き死んでしまえばいい。
―――ビチャッ!
「わっ?!え――…」
突如、冷たい水気を含んだタオルのようなものが、額に落ちてきた。
これは、水タオル―――。
「泣きたいのは、こっちだっての!」
「クラ…、クラウド?!」
クラウドが。部屋を出ていったはずのクラウドが、俺の前で膝をついている。
「病人のくせに、大人しくしないで、あんなことしてきて…っ!」
いまだに涙声なのに、強がっているのがわかる。
「死ぬほど痛かったし、恥ずかしかったから、ぶん殴ってやろうと思ったのに。
…また熱ぶりかえして、倒れるし。」
俺のタオルに手を置くクラウドの手が、小さく震えている。
「死んじゃいそうな顔で、泣いてるし…。」
どうしてクラウドは、戻ってきてくれた…?
「お願いだから、」
「お願いだから、無茶しないでよ。」
クラウドは、とても優しい子だ。
体の中に、温かい何かが、ゆっくりと染み渡っていって、
自分の中の醜い色をしたもの――たとえば、絶望とか、嫉妬とか、後悔だとか、
…自分自身への嫌悪だとか、そういう拙劣な色をしたものが全部。
クラウドの淡い色をした優しさで、包まれていくような気がした。
どうしようもない俺を、救ってくれる。
どうしようもない病から、救ってくれるんだ。
その優しさが、あまりに切なくて、苦しくて、でもやっぱり嬉しくて、
タオルを目にずらして隠れながら、また泣いた。
「ひざぐらい、貸してあげるから…」
だから、泣かないで、と。
きっと、自分だって大声で泣いてしまいたいだろうに、俺を慰めてくれる。
「よしよし」
そう言って、俺の頭を撫でるクラウドの手は、やっぱり震えていて。
無理をさせていることがとても悲しいけれど、それ以上に、そのやせ我慢が愛おしかった。
「クラウド、ごめん。俺、たぶん、ずっと前から…」
「こら!無理すんなって言ってるだろ!大人しく寝ろ!」
口より先に手が出るような、そんな粗暴なはずのクラウドが。
少しも力を籠めずに、俺の頭を優しく叩く。
本当は、今この場で、全身全霊をかけてクラウドに謝りたかったけど。
これ以上無理をすれば、この優しい子をまた泣かせてしまうから、今は彼に従って、
「ひざ枕、してください。」
「……ほんとう、甘えんぼ。」
今は、クラウドの優しさにつけこんで、膝を貸してもらおう――
次に目を覚ましたときには、俺が汚したシーツも洗って、床も掃除して。
破いてしまったクラウドのシャツを繕って、彼の好きな蜂蜜たっぷりのワッフルを焼いて。
そうして、クラウドの気がすむまでぶん殴ってもらって。
本当はずっと大好きだったこと、クラウドにちゃんと伝えて。
そうして、許してもらえたなら、そっとこの子にキスをする。
許してもらえなかったなら、床が割れるぐらいの勢いで、何度も何度も土下座する。
こんなどうしようもない俺を、それでも君は許してしまうこと。
君なしではもう生きていけない俺を、優しい君は助けてくれること。
…ごめんね、本当は知っている。
よりいっそう愛することを除いて、
恋に対する治療法はない。
…らしい。
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