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※ご注意: 無理やりな性的描写・暴力表現有り。18歳以上の方の閲覧推奨。

 

愛していたからこそ。

温かかった気持ちが、全て全て裏返る。

そして、彼を――

                                                                                                 (side Zack)

 

 

 

フリードが去った後、ザックスが部屋の中に入るとそこはあまりに荒れていた。

クラウドは几帳面で、いつも身の回りを綺麗にしていたというのに。

ザックスが服を脱ぎ散らかしては、クラウドが呆れていたものだ。

それなのに今は、強盗でも入ったかと思わせるほどで。

カーテンも窓も閉めっぱなしで、部屋の中は鬱蒼としていた。

 

 

クラウドは、寝室だろうか?

嫌な汗が伝う。

クラウドの寝室はドアが全開で、中には誰もいなかった。

だがひどい荒れようで、何かがここで起きたと思わせる。

破れた衣服、赤黒い染みができたシーツ、転がる酒ビン。

…彼は、どこに?

シャワールームやトイレにも、人の気配はない。

ふと、少しだけ開いている扉が目に入った。

ザックスが、使っていた寝室だ。

(まさか……)

ドアを開ける。

――そこにいたのは、愛しい人だった。

 

薄暗い部屋の中で、白い肢体が浮かぶ。

彼は一糸まとわぬ姿で、手を拘束され、目隠しをされている。

その姿があまりに妖しく淫靡で、彼であることは間違いないのに、別人だと思いたかった。

ザックスはこの異様な光景を目の前にして、下半身に熱を持つのを感じた。

「だ…れ……?」

クラウドのかすれるような声を聞いたとき、ザックスは我に返った。

クラウドは、あの男に乱暴されたのだ。

…手を縛られ、自由を奪われ。無理やりに。

すぐにかけよって抱きしめようとしたとき。

 

「誰だか知らないけど、金持ってきたんならさっさと終わらせてよ。」

――耳を、疑った。

金?さっさと終わらせる?

(だってオマエは、無理やりあいつに――…)

頭が、まわらない。

ただ、フリードやカンセルの言葉がぐるぐると木霊する。

 

あいつは淫乱だよ

おまえの理想と違ってたってそれは

5万ギルで男に足を開く

 

嘘だと、言ってほしい。

きっとまだ、彼が一言違うと言えば、無理にでも信じられる。

信じてみせる。

だって、彼と過ごした日々は、一瞬だったけど真実だった。

自分が見てきた彼は、嘘じゃない。

彼は、美しい。

だから――――

 

ザックスは、ベッドに乗り上げる。

そしてクラウドのピアスを、優しくなぞる。

(あの時の笑顔は、嘘なもんか。そうだろ?クラウド――)

「触るな!!」

突然叫ばれ、ザックスは手をひく。大丈夫、俺だよと言おうとしたとき。

 

「ヤれれば満足なんだろ?抵抗しないからさっさとヤれよ。」

その一言で、ザックスの中で何かが崩れた。

それはクラウドを信じた、最後の想いか。

それとも、これまで汚い欲を抑えてきた、友人としての良心か――

 

「……本当に、淫乱なんだな。」

 

ザックスは、泣いていた。

そのまま彼に覆いかぶさり、噛み付くようにキスをする。

今まで、触れるか触れないかのキスだけで緊張し、舞い上がっていたというのに。

あのときの、彼をひたすら護りたいという想いはどこに行ったのだろう。

今はもう、目の前にある恐ろしく淫らに誘う体を、貪ることしか考えられない。

 

 

 

いきなり深く舌を入れ、クラウドの歯茎をなぞるように、口内を味わう。

――とても甘い。

ずっとずっと、欲しかったものだ。

ザックスは下半身に痺れるほどの欲情を感じる。

クラウドは、まさかキスをされるとは思わなかったのか、顔を背けようとする。

それが拒絶に見え、ザックスを苛つかせた。

わざと音をたて、クラウドの唾液を舐め取るように、深く深く口付ける。

今まで女の子とキスをするときだって、こんな必死なキスをしたことはない。

「は…ん…」

クラウドの漏れる声に、ザックスは眩暈を覚えた。

今まで、自分以外の何人の男が、この声を聞いたのか。

この美しい体を、弄んだのか。

(トモダチだからって、我慢してたのはなんだった?)

そんな言葉で欲を誤魔化していた自分が、馬鹿みたいだと思う。

 

言いようのない怒りと、嫉妬が渦巻き、ザックスはクラウドの体を貪り始める。

体中を愛撫し、舌でなぞり、吸い付く。

そのたびにクラウドが小さく反応するのが、可愛くて仕方がない。

ザックスは、クラウドの下肢に手をのばす。

さんざん男を相手にしてきたという話でも、彼の性器はとても綺麗で、同じ男のそれとは思えない。

…男の性器に欲情する日がこようとは、思いもしなかった。

 

ザックスは何の抵抗もなくクラウド自身を口に含む。

「やっ!!」

それまで必死で我慢していたらしいクラウドが叫んで、それにザックスは興奮する。

性急に音をたててなめ上げ、吸い付く。

クラウドは声を我慢できないのか、可愛らしい声をあげている。

「や、や、やだ…なんで、こんなことまで…」

嫌と言われてやめるわけがない。

「や…イク…やめて…いっちゃう…!」

まさか、彼から『イク』なんて言葉が出てこようとは。

――あの、清廉≠ナうぶ≠ネクラウドから。

夢の中で、また自慰のときの妄想に過ぎないと思っていた。

ザックスの口淫は続き、一際強く吸い上げると、クラウドは果てた。

 

クラウドの出したものを、ザックスは喉を鳴らして飲み込む。

コクリという音が、部屋の中に静かに響いて、クラウドは泣いてるような声で言う。

「なんで、そんなこと、するの…」

クラウドは羞恥で顔が真っ赤だ。顔だけじゃない、体全体がうっすらピンクに染まっている。

クラウドのものなら、唾液も精液も、全て自分のものにしたい。

彼のものならば、苦いはずのものでさえ、とても甘く感じる。

異常なほどの執着が、ザックスの中で生まれていた。

 

ザックスは、指に自分の唾液をからませ、クラウドの後肛に指を這わせる。

男とセックスなどしたことはないが、聞きかじりの知識はある。

女の子とのセックスと、そんなに差があるとは思えない。

そもそも妄想の中で彼を何度も抱いた。それこそ、好き放題に。

だから、少しも難しいことではない。

 

クラウドの秘部は、妖しくぬめり、とても淫靡に見えた。

指を少し入れると、クラウドがビクリと体を揺らす。

ぐちゅ、と厭らしい音をたてながら、ザックスは中指を深く挿しこむ。

「ひあ!」

クラウドの秘部から、他の男の液が流れ出る。

フリードと同じ行為を行っていたのかと思うと、言いようのない憎しみが渦巻いた。

フリードが憎いのか、クラウドが憎いのか、もはやわからない。

(……きっと、両方だ。)

ザックスは、指を乱暴に抜き差しした。

 

ぐちゅぐちゅ…

卑猥な音と一緒に、抑えきれないクラウドの淫声がもれる。

「ふ…ふあ…は…はあっ」

そのクラウドの淫らな声と、指を締め付ける熱に、ザックスは興奮が最高潮に高まる。

もう、下半身は痛いほどに張り詰めている。

 

ザックスは前をくつろげると、乱暴に自身をとりだし、彼の秘部にあてがった。

「あ、や…やだ…」

「…何、今さら嫌なふりしてんだよ。」

その声で、ザックスのことが気付かれるかと思ったが、クラウドはそれどころではないらしい。

腕を縛られていながら、それでも後ろに逃れようとする。

――逃すわけがない。

ザックスは、クラウドの折れそうに細い腰をつかみ、勢い良く自身をねじ込んだ。

 

ズチュゥ!!!!

「ひい!!」

クラウドの悲鳴が上がり、ザックスに言いようのない快楽が流れ込む。

クラウドを、手に入れた。

ずっと欲しかった人――

ずっとひとつになりたかった。

 

「あ…や…やだ…」

クラウドが喉を引きつらせ、震えている。

男を受け入れる側が、はたして快感を得れるのかはしらない。

もともとそういう役割を果たすところではないし、クラウドの反応を見るからには、苦痛なのだろう。

だがザックスはお構いなしに、クラウドの腰を強く引っつかんだまま、律動を始めた。

ズチャズチャズチャ…

 

「や、や、いや!やあ!」

「はあ、は、はあ…」

クラウドの泣き声が興奮を呼び、ザックスは我を忘れるほど気分が高まっていた。

息を乱し、無我夢中で腰を打ち付ける。

パンパンパンパンパン!!

 

――こんなに、気持ちいいとは思っていなかった。

こんなセックス、今まで知らない。

これまで多くの女性と関係を持ってきたが、こんなに興奮したこともないし、

こんなに締め付けられるような快感を感じたこともなかった。

クラウドの体がいいのか。

それとも愛する故に気持ちイイのか。

ザックスにはわからなかったが、ひたすらその快楽に溺れた。

 

「ああああ、や、もうダメ、やめて、もう許して!!」

クラウドの拒絶が、ザックスをなおも煽る。

もはや理性なんて残ってなかった。

奥の、奥の奥まで入りこみたい。

ただ、それだけ。

パンパンパンパンパン!!!!!

 

「はあ、中に、出すからな!」

「や、やだ…いやあ…!!あ…あああっ!!!」

一際深く突き挿し、最奥で欲望を吐き出す。

「…くっ!」

イク瞬間、またクラウドに深く口付けをする。

今度は顔を背けなかった。

 

「あ、あ、あ…」

「…はあ、はっ…は…」

キスをしたまま、全身の力を抜いてクラウドに倒れこむ。

クラウドは力なく呆然としていた。

 

クラウドから自身を引き抜こうとすると、彼が小さく喘ぐのがわかった。

自分の出したおびただしい量の白濁液が、クラウドから流れ出るのを目にして。

再び襲い掛かる欲情。

「…まだ、だ。」

「や、もう、だめ…」

「全部、おまえの中から掻きだしてやるよ。他の男の、全部。」

「や、やあ、やだあ!!」

 

そうして、何度も何度も行為を続けた。

クラウドを何度突き上げても、欲望に際限などなかった。

行為を始めたのがいつだったか思い出せないが、彼を解放したのは翌日の朝だった。

どこまでも続く行為に耐えられなかったのか、彼は4回目あたりで気を失った。

 

気を失う寸前、彼の唇から漏れた言葉。

「………ザックス…」

自分の名前が呼ばれ、ぎくりとした。

別にばれないと思っていたわけではないが、名前を呼ばれることで冷静になる自分がいた。

「クラウ…」

「……約束、どおり……ザックス、には言わないで…。」

 

 

 

心臓が、つぶされたような思いがした。

それは、どういう意味かを考える前に、自分の名を呼ばれたのがあまりに久しぶりで。

クラウドと過ごした、幸せだった日々がフラッシュバックする。

クラウドは完全に気を失って、微動だにしない。

カーテンの隙間から、日の光が差し込む。

いつか挨拶を交わした日を、思わせるような朝。

あの日、ザックスは彼の美しさに見ほれた。

 

そして今、目の前で倒れているのは。

自分がメチャクチャに犯し、泣かし、汚してしまった愛しい人。

日の光の中で彼は、白濁液や血にまみれながらも、変わらず綺麗な彼のままだった。

 

 

ザックスは、クラウドの縄や目隠しをほどいて、かき抱いた。

――自分は、何をしてしまったのか。

嫉妬や憎しみに狂って、彼を犯してしまった。

あんなに、大切に、大切にしようと誓ったのに。

何者からでも護ろうと、誓ったのに。

 

 

 

もう、彼を取り戻せない。

 

永遠に。

 

彼を永遠に、失った。

 

 

 

――なあ、クラウド。

ガキの頃、新品のスニーカーをすぐ泥で汚しちまったように。

大事にしたいものほど、簡単に汚してきた自分に嫌気がするよ。

 

もうオマエに触れる資格なんて微塵もないのに。

それでも、なんとか取り戻せないかと思ってる自分がいた。

……救いようのない、大馬鹿野郎だな。

 

 

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C-brandMOCOCO (2008.11.24)

 

 

 

 


 

 

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