C-brand

 

 


 

 

 



 

 

 暴力的なカノジョ。

 

 

2週間経っても、クラウドは男に戻らない。

あと3週間。

クラウドは、半ば諦めモードに入っている。

夜中に身辺整理まで始めて、俺としては焦っていた。

別に、男でも女でもクラウドであることに変わりは無い。

ずっと仲良くしていきたい、というのは本気だ。

だけどきっとクラウドは、神羅をやめたらどこか遠いところに行ってしまう気がした。

プライドの高い彼のことだ、きっと知り合いのいるミッドガルには残らない。

故郷にも、帰れないといっていた。

ではどこに?

ずっと、クラウドの傍に居たいのに。

…トモダチ相手に、ちょっと執着しすぎだろうか。

 

 

 

 

「うわああああああ!」

またクラウドの叫び声が聞こえる。

今日こそゴキブリか?

「クラ、どうした?!入ってもいいのか??」

さすがにいきなりは入れない。なんてったって、叫び声はトイレの中からだ。

「ザックス!助けて、死んじゃう!」

死ぬ?!ちょっと待て、俺を置いていくな!

などとよくわからない動揺をして、思わずトイレのドアを開ける。

そして以前よりもさらに、心臓に悪い映像が飛び込んできた。

 

「ザックス、どうしよう。血が、血が出てきた!俺死ぬの?!」

「……血?」

クラウドは便座に座ったまま硬直している。

ズボンと下着は膝まで下ろされていて、女の子が用を足すときの格好だ。

足を閉じているし、上着が長いため隠れてはいるが…見てはいけない部分が見えてしまいそう。

この見えそうで見えないのがもどかしい。

これがチラリズムの極意?って俺は変態か!

「ザックス、助けて!何とかしてよ!」

必死なクラウドに、なんとか煩悩を振り切ってかがみ込む。

 

「どっから血が?見せて。」

ケガでもしているのかと思って聞くと、彼は顔を真っ赤にして黙る。

「見せろって。」

「でも、その……」

「どうした?」

「……あそこ、なんだけど。」

「え…え?!」

今度は俺が赤面した。女の子のあそこを、俺は見せてくれと頼んだことになるのか?!

完全な痴漢じゃねーか!…だが。

「見てくれる?」

とかクラウドが言い出すもんだから焦った。

あまりの焦りに、つい「うん」とか言った自分を呪う。

 

そしてクラウドが俺の目の前で足を広げる。

見て、しまった……………神様、俺は罪人でしょうか。

 

女の子のあそこなんて、何度も見てきている。

自慢じゃないが女の子にはもてるし、正直なとこ結構遊んできた。

ソルジャーは金もあるし、何よりこの甘いマスクだ。女の子がほうっておかない。

とか言うといつもクラウドに「節操なし」と冷たく一蹴されてきたわけだが。

 

でも今。このとんでもなく可愛い女の子が、俺の前であそこを見せている。

信じられない興奮が襲い、下半身が一気にヒートアップするのがわかる。

ピンクの綺麗なクラウドの……

「ザックス?」

呼ばれて、はっとした。

今俺は、親友のあそこを見て、何を考えていた?!

彼が知ったらもはやアッパーだけではすまない。おそらくトルネードスクリューも追加される。

 

「……これ、たぶん女の子の日じゃね?」

慌てて目をそらし、答える。

「え??」

わからない、と言ったクラウドの表情。

「生理だよ。だから心配しなくて平気。」

そう教えてやると、クラウドは顔を真っ赤にする。

「せ、せいり?!」

その単語に慌てるクラウドが可愛い。初心だ。

 

「…どうしたら、いいの…?」

クラウドの心配そうな声に、頭を撫でて安心させてやる。

「大丈夫。今コンビニ行って生理用品買ってきてやるから。待ってて。」

社内の売店でもあるだろうが、そこで買うのはさすがに不自然すぎるだろう。

レジのおっちゃんも知り合いだし、気まずすぎる。

「……いいの?ごめん、迷惑かけて…」

またツンデレの『デレ』が出てクラっとする。すごい技だ。

 

 

 

 

そのあとすぐにコンビニに走り、目的のものを買う。

ナプキンとタンポン、どっちがいいのかわからなかったが、きっと彼は一人じゃできない。

そうなると、タンポンは危険な気がしてやめた。なぜなら。

「やって。」と彼にお願いされたら、きっと正気じゃいられない。

考えただけでも興奮…いや、恐いのでナプキンにした。ついでにショーツも買ってあげる。

だてに女の子と遊んできたわけじゃない。

女の子に関しては博識な方だ。え、最低?

 

レジに並んでいるとき、悪友のレノに肩を叩かれる。

なんて最高に最悪なタイミングなのか!

言い訳もできずにいると、レノが俺のカゴの中を見てにやける。

「オマエ、女に使いっ走らされてんのかよっと。」

「え?あ、ああそう。これまた女王様みたいな子でさ。手がかかってしょうがないんだわ。」

嘘ではない。どちらかというと女王様と言うより、ワガママ王子様だけど。

 

「ふーん、オマエがそんなのに振り回されるなんて珍しいなっと。やってはポイじゃねえの?」

…人聞きの悪いことを言うな、レノ!

俺は自他ともに認めるフェミニスト、いつだって女の子は大切にしてきた。

何でも言うこと聞いてあげるし、何でも買ってあげる。

エッチしたらサヨナラだけど。

って、それじゃレノに言われたまんまじゃねえか!……そうか、俺って最低なヤツなんだな。

でも、クラウドに関しては違うよな?

彼女じゃないし、エッチできなくても優しくしてやりたいといつも思ってる。

当たり前か、トモダチ≠ネんだから。

 

 

 

 

レノから逃げるようにコンビニから出て、寮に帰宅する。

クラウドはいまだにトイレにいて、俺が戻ると安心した顔で笑う。

また『デレ』だ、可愛い。

恐れていたとおり、やはりクラウドはナプキンの使い方がわからないと俺に聞いてくる。

心から、タンポンにしなくて良かった…。

「ザックスって、何でも知ってるね。」

そう目を輝かせて言われ(半分はたぶん願望)、俺は得意気に言う。

「まあ、さんざん女の子と遊んできたからね。」

 

言ったあとで後悔!思ったとおりクラウドは冷たい視線になる。

待て!そんな目で見るな。もう俺は今までの俺じゃない!

「ちょっと待てクラウド!もう遊んだりしないから!これからは」

「…え?」

クラウドに聞き返され、思わず固まった。なんで俺は、クラウドに必死で弁解してるんだろう。

『これからは』誰を大事にすると、思った?それはたぶん、

 

「――これからは。クラウドだけを大事にする。」

そうちょっと低い声で言ってみると、絶妙なローキックが飛んできた。

 

 

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C-brandMOCOCO (2008.11.16)

 

 

 

 


 

 

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