C-brand

 

 


 

 

 



 

 

 

 

ご注意

@     かなりシリアスなエロ童話、完全パラレルです。

A     原作童話(ヘンゼ○とグレーテ○)とは、まったく設定が異なります。もはやかすってもないです。

B     クラウドが、ザックス以外の男に汚されるシーンがあります。

C     BLはもちろん、近親相姦等、非道徳な要素が多いのでご注意ください。

 

 

 

 

 

お菓子の家で暮らそうか。

<中編>       

 

 

最初は、捨てられた事実にさえ、気付かなかった。

 

 

 

まだ夜も明けない頃、継母の寝室へ呼ばれた。

ソファに座るよう促し、カシスジュースをグラスにいれて、クラウドに勧める継母。

たぶん、初めてだったと思う。

継母に、笑いかけてもらえたのも、優しくしてもらえたのも。

「クラウド」と名前を呼んでもらえたのも。

 

一緒に暮らすようになって、1年と少し。

今まで、自分など見えていないかのように無視をされてきたこと…それはとても悲しかった。

あの明るくて優しい兄の実の母なのだから、本当は少しでも好かれたいと思っていた。

いったい自分の何が、この人に愛されない原因なのだろうかと。

いつも考えていたものだ。

 

だけど、今。その継母が、自分に話しかけてくれる。

「今まで、ごめんなさいね。今さら母親になりたいなんて、いえないけれど、でも。…お友達になりたいの。」

彼女の目は、兄―ザックスと同じ、深い深いブルーの瞳だ。

それだけで、少しの警戒心も感じることなく、そのジュースを受け取った。

「ねえ、許してちょうだい?クラウド。」

「許すなんて…すごく、美味しい。ありがとう、お義母さん。」

カシスの味のほかに、何か違う酸味を感じた。――喉の奥が、熱くなるような。

だけど、浮かれていて、それをさして気にしなかった。

「俺、お義母さんに、嫌われてると思ってた…ばかみたいだ。」

 

ずっと、嫌われていると思っていた。

いつも、自分が兄の部屋で寝ていると、すごい剣幕で入ってきて。

…どうしてか自分だけを、部屋から追い出す。

そうして、閉じられた扉の向こうからは、規則的なベッドのきしむ音と、女の声が聞こえた。

 

いったいどんな行為が行われているのか。まだ12歳のクラウドには、わからない。

わからないけれど、それはひどく、痛かった。

心に、突き刺さるよう。

 

まるで、最愛の兄に、捨てられたような――そんな錯覚がしたから。

 

 

 

「…嫌ってなんか、ないわ。」

(あれ…?なんだろう、急に…)

頭が、ぐらつく。視界が霞む。

継母の声が、だんだんと遠ざかる。

「これ以上ないほど、」

 

歪んでいく視界の向こうで、継母の顔も歪む――

とても、恐ろしく冷たい表情で。

 

 

 

「これ以上ないほど、オマエを憎んでる。」

…意識は、そこで途切れた。

 

 

 

 

 


 

 

 

悪夢だ。

 

 

 

 

ドサ!

 

体と、頭部にすごい衝撃がして、目が覚めた。

とても冷たい床――冷たい空気。

そして、自分を見下ろす、冷たい大人たちの視線。

(だ、れ…?)

「ずいぶん上玉だなあ、この金髪。これで男だって?もったいねえ」

「ばーか、この手の客は少年愛好家ってのが多いんだよ。むしろ、すげえ客がつくぜ。」

筋肉質でガタイのいい男たちが、じろじろとクラウドを舐め回すように観察してくる。

 

…ここはいったい、どこなのだろう。

そう、その男たちに聞こうとして、気付いた。うまく起き上がれないことに。

クラウドは、手足を拘束されていた。

後ろ手に縛られ、両足にもステンレスの枷のようなものを填められている。

「な、に…?なんで、」

急に恐くなって、体が震え出す。その震えのせいで、うまく言葉も紡げない。

(お、にいちゃんは?)

 

「おーおーぷるぷるしちゃって!可愛いねえ!」

「ひゅー!もしかして、お初もまだなんじゃねえの?」

「試してみりゃわかるだろ。――なあ、俺らで味見しとこうぜ。」

「まだガキだぜ?オマエもいい趣味してんなあ」

「わかってねえな!ガキの体がいいんだよ!女でも男でも締め付けがさ〜」

 

埃臭い、小さな部屋。

ここにいるのは、見知らぬ男たち5人と、クラウドだけ。兄は、いない。

(お兄ちゃん、どこ…?)

男たちに囲まれ、がさついた手がクラウドの体を這いずり回る。

「や…やだ!やだ!おにいちゃ…!」

いったい、これから何をされるのか、わからない。ここにいる意味さえも、わからない。

わかるのは、ひとつ。

自分が名を呼べる相手は、一人しかいない。ここから救ってくれる人は、あの人だけだ。

 

 

「お兄ちゃん、助けて!お兄ちゃん…!」

 

 

男たちが、乱暴にクラウドの衣服を引き裂く。

男達の表情は、笑っているのか、怒っているのか。

どちらかわからないけれど、ひどく興奮していることだけは感じられた。

「お兄ちゃん、だとよ!」

「かっわいい!見ろよ!まだぶち込んでもないのに、泣いちまってるぜ?」

「こりゃ、初めてに決まりだな!まちがいねえ!」

男の手が、クラウドの頭を強く掴む。そうして、床におしつけられたまま――後ろから、腰を持ち上げられた。

 

「見ろよ!可愛いケツだな〜おじさん興奮しちゃってびんびんだよ!」

「こんな小さな穴に、入んのか?」

「ねじ込むんだよ、」

――これから、何が起こるのか。どうされてしまうのか。

何かを尻に押し当てられたとき、その先を理解した。

わかっているのに、逃れられない。

逃れようと体をよじると、ひどく腰をつかまれ、さらに強く、頭を床に押さえ込まれる。

 

「お兄ちゃん!お兄ちゃん!お兄ちゃん!」

 

どうしてだろう。

その名を呼びさえすれば、何とかなるような気がした。救われる気がした。

部屋の隅に見える、わずかに光が漏れるあの扉――

あそこから、あの人が飛び込んできてくれる。そう確信していた。

根拠などない。

なんの根拠も無いけど、兄ならきっと、助けてくれる。

彼は、自分のヒーローだから。

兄だから。

 

全て、だから。

 

こんな状況でもなお、信じていた。

(早くきて!お兄ちゃん!おにいちゃん…!)

男の欲望を後肛に押し当てられたその時でさえも、少しも疑うことなく、信じていたのだ。

だけど――

 

 

 

「やだ…やだ―――!!」

 

 

 

 

悪夢だ。

 

 

 

 

 

 


 

 

お菓子の家で、暮らしたい。

 

そう言ったのは、いつのことだったか。

本当は、お菓子の家なんかじゃなくてもいい。

ただ、大好きな兄と、二人きりで、暮らしたかった。

 

優しかった母。優しかった父。

二人が、もう手の届かないところへ行ってしまったことぐらい、自分にだってもう理解はできていた。

だから、もう自分には、兄しかいない。

兄さえいてくれれば、生きていけると…そう、思ったのに。

 

 

 

兄は、ここにいない。

 

 

 

いつも鬱陶しいぐらいに構ってきて、頭を撫でてきて、抱き締めてくれて。

(傍にいてって、言ったのに…)

お菓子の家を作ってくれると約束した。自分を、連れ出してくれると。

(嘘つきの常習犯……)

兄は、今頃――継母と、あの屋敷で暮らしているのだろうか。

(何度も何度も、呼んだのに…)

 

男に、犯されながら。何度も兄の名を呼んだ。

お兄ちゃん助けてと、その言葉しか自分は知らないのに。

 

(…捨てられ、た…?)

 

継母に、そして、最愛の兄に。――自分は、捨てられたのだろうか。

兄は継母を愛し、自分の存在が邪魔だったのだろうか。

自分の想いが、邪魔だったのだろうか。

自分の持つ、秘めた想い…それは、

 

 

(――お兄ちゃんを、ザックスを…好きだった、ってこと。)

 

 

その気持ちに兄は気付いてしまったから、自分に愛想をつかしたのだろうか。

実の兄に、ただならぬ想いを寄せていた。

それは、綺麗な想いなんかではない。

いつだって、心の奥で黒く渦巻いて、ドロドロしていて。

自分が恥ずかしいほどに、醜い色をしていた。

――兄を、自分だけのものにしたかった。

本当は、継母に嫉妬していたのは自分のほうだ。ザックスを、奪われてしまいそうで。

それを知っていたから、彼女は自分を愛さなかったのかもしれない。

 

 

兄を愛した、その報い?

 

 

(…捨てるぐらいなら…優しくしてくれなければ、いいのに…)

いつか絶対、お菓子の家を作ってやるよ

どうして、あんな約束をしたのだろう。守れない約束なんて、欲しくなかった。

ザックスを恨むのは、お門違いだ。兄は、何も悪くなんかない。

兄には選ぶ権利があって、捨てる権利だってある。

わかっているはずなのに、裏切られた悲しみが襲い掛かってきて――

 

涙が、止まらない。

止める術などもうわからない。

悲しくて、悲しくて、悲しくて、ただただ悲しくて、

 

 

 

 

(死んでしまいそうだよ、お兄ちゃん……………)

 

 

 

 

 


 

 

「――クラウド。ドン・コルネオがお呼びだ。」

「…はい。」

あれから、1年が経った。

自分の境遇を理解するには、充分すぎる時間だった。

クラウドは、継母によって人身売買のブローカーに売られた。

ブローカーを組織しているのは、ドン・コルネオという金と欲に埋もれた男。

このあたりでは、彼に逆らうものはいない。――この街では屈指の権力者だ。

世界一の軍組織であり、行政組織である、神羅カンパニーとも繋がりがある。

なんでも、ドン・コルネオは大量の寄付金を神羅にしているために、多少の違法行為も

目を瞑って貰っているらしい。

 

そのコルネオは、各地で売られてきた少年少女たちを、違法な風俗館で働かせる。

とりわけ気に入った子どもは、自分専用のオモチャ≠ニして自らの傍に置いていた。

コルネオは、いわゆる少年・少女愛好者である。

クラウドの美貌――それは、当然コルネオの目に止まり、一般の者では出入りを許されない

本館の邸宅に、住むことを許されていた。

住む、というのはいささか語弊がある。

実質は、ただの監禁状態なのだから。

 

クラウドに与えられた部屋は、地下の窓ひとつない狭い牢獄だった。

そこで、自分と同じ境遇の少年少女――

つまりは「コルネオの性欲の対象者」が、押し込まれるように入れられていた。

各々が眠るスペースすらほとんどない、狭い牢室。

少年少女たちは、着るものも与えられず、まともに風呂や食事などすることさえ叶わず…

そこに監禁されていた。

 

そうして、コルネオの「お相手」をする夜だけ。

体を清めることができ、食事も与えられ、そして着るものも与えられる。

大きなベッドで眠ることも許される。

ただし――それは、コルネオという醜い男の、性の捌け口にされるということだ。

 

監禁されている少年少女たち――

彼らとは、決してトモダチという関係ではなく、まともに言葉を交わすことも少なかった。

それでも、1年一緒にいれば、多少の連帯感や情も生まれる。

コルネオの「夜の相手」に選ばれるのは、ほとんどがクラウドだった。

ときどき、他の綺麗な女の子や、巻き毛の幼い男の子が呼ばれることもあったが。

それでも、クラウドはコルネオにとって、明らかに一番のお気に入りだった。

各地から集められた美しい子どもたち…彼ら、彼女たちは皆、稀有なほどの美貌を持っていたが、

クラウドはその中でも、類をみないほど美しく、また金髪碧眼もとても珍しく重宝されたのだ。

 

「今から水を浴びてこい。せいぜい可愛がってもらえるように、綺麗にすることだな。」

コルネオの部下によって、クラウドの名が指名されると。周囲の子たちに、声をかけられる。

「さすが、クラウドだな。良かったな。」

「頑張ってね。」

コルネオに選ばれるというのは、ここの中ではステータスのひとつのようだった。

それはあまりに狂気的で、クラウドにとっては正しい見解だとは思えなかったけれど――

それでも、選ばれるというのは運のいいことだと、そうほとんどの者が判断している。

コルネオに選ばれれば、一晩ではあるけれど衣食も、寝場所も与えられるのだ。

選ばれない者は…ここで汚れたまま、悪い病気になる者もいるし、

もしくはコルネオの部下たちのオモチャになる者もいる。

 

 

どれが幸で、不幸かなんて、わからない。

 

 

いえることは。

そこで得られる「幸」なんて、普通の視点で見れば、ただの不幸でしかないということだ。

 

クラウドにとっては、一人の中年男に犯されるのも、数人の男に輪姦されるのも、大差はない。

キングサイズのベッドで犯されるか、安っぽいベッドの上で犯されるか。

その違いだけだ。

 

 

 

この行為に、苦痛以外の何ものも存在しない。

 

 

 

 

 


 

 

「クラウド、入りなさい。」

「はい。」

今さら、抵抗をしようとも思わない。

今まで、何度抵抗したことだろう。

何度、逃げ出したことか。何度、自殺を試みたことか。

だけど抵抗するたびに、逃げ出すたびに、死のうとするたびに――何度もひどく殴られ、犯された。

このコルネオの周りには、幾人もの部下がいて、逃れることなどできやしないのだ。

もとより、逃げたところで…クラウドに帰るところなどないが。

 

コルネオの部屋は、もう何度も訪れている。

悪趣味で派手な装飾が施された、寝室。よくもこんなところで、眠れるものだと思う。

「ほひ〜今日も可愛いぞ!クラウド!やっぱりオマエの肌を知ってしまうと、他のヤツじゃ興奮できん!」

何度会っても、気味の悪い男。

こんな男にまた一晩中、いいようにされるのかと思うと、おぞましくて仕方が無い。

「ほれほれクラウド!しゃぶっておくれ!」

 

たいてい、行為の前に、何か軽く食べさせてくれたりもするのだが(コルネオの食事の付き添いで)、

どうやら今日は何もないらしい。

すでに興奮状態にある、その男。

三日間ほど、何も食べていない口に、無理やり男のそれを突っ込まれ――

こみあげる、嘔吐感。

涙が滲む。

男が、その腰を振って、乱暴にクラウドの口の中で出し入れを続ける。

 

 

 

……辛いときはいつも、考える。

これが兄だったら≠ニ。

ありえないけれど、そう考えればまだ、楽になる気がした。

(ばか、みたい……)

兄だったら。ザックスだったら。こんな乱暴なこと、するわけがない。

それなのに実の兄に犯されているのを想像して、現実から目を離している自分。

 

―――あまりに、惨めだ。

 

そうすることでしか、心を守れない自分が、あまりに惨めだ。

この汚らしい行為の後、きっと、もっと惨めな思いになる。

兄を、恨むのだ。

「どうして助けてくれないのか」「捨てたのか」…そう、いつも心で繰り返す。

兄に犯されるのを望んでおきながら、兄を恨むなんて。

 

なんて汚いんだろう。なんて醜いんだろう。

世界が、じゃない。大人たちが、じゃない。

 

 

 

自分が、醜い。

 

 

 

もう絶対に、兄には会えない。

どうして迎えにきてくれないのかと、そう嘆きながら、本当は。

(二度と、顔なんて見たくない。)

兄の顔を見るぐらいならば、死んだ方がマシだ。

こんな醜い大人≠ノなった自分を見られるぐらいなら、死んだ方がマシだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ほれほれ!どうした!もっと一生懸命ご奉仕せんか!」

「う…え…!」

動きが激しくなり、喉の奥に男のものを押し込まれ、我慢できずにおもわずえずく。

するとコルネオに、頬を思い切りひっぱたかれた。

 

「愛が足りないぞ!俺を愛してるだろ〜?愛してるといえ!」

「あ、い…?」

「ほひ〜ほひ〜愛してるコルネオ様と言うんだ!」

(愛してる、なんて…あの人にも、言ったことないのに、)

 

 

 

 

「あい、してる……………………わけ、ない。」

 

 

 

 

嘘であっても、愛を語るなどできなかった。

こんなに無理やり虐げられているというのに、どうして愛しているわけがあるだろう。

「きいいいいい!」

奇声をあげたコルネオによって、再度殴られる。

今度はさっきより力が入っていて、クラウドはベッドの角に頭をぶつけてしまう。

「反抗するのか!この淫売のクソガキが!」

 

そのまま、着ていたシルクのバスローブを引き千切るように脱がされ、頭をベッドに押し付けられた。

頭からは、血を流しているのだろう――ベッドの白いシーツに、血の跡が滲んだ。

(お兄ちゃんだったら、お兄ちゃんだったら…!)

そう、いつものように、何度も心で唱える。

これは、コルネオではない。自分の想っていた兄なのだ、と。

心を守るために、ひたすらそう考える。

だけど、だけど、だけど―――本当は、わかっている。

 

(――ありえない、)

 

ありえないのだ。兄が、こんなことをするわけがないし、自分を求めてくれるわけもない。

兄に触れることなど、二度とない。兄に愛される日など、絶対にこない。

全てが、ただの夢なのだ。

お菓子で出来た家のように、ただの夢物語でしかない。

 

 

 

「――もう、いやだ!お兄ちゃんじゃない!お兄ちゃんじゃなきゃ嫌だ!」

 

 

 

この世でただ一人、犯されたって、殺されたっていいと思えるのは…あの人だけだ。

(もう、いやだ…!終わりに、したい…!)

どうせもう、兄に愛される日などこないのだから、このまま惨めに生き続けて何になるといのだろう。

死んでしまった方が、どんなに楽になることか。

(殺してほしい…!!)

そう、思ったとき―――

 

 

 

ドオン!!!

 

 

 

ものすごい爆発音がして、部屋の外で警報が鳴る。

「な、なんだ!何事だ!」

今、まさにクラウドを後ろから押さえつけ、その体に押し入ろうとしていたときだった。

警報の音に動揺したコルネオは、クラウドから手を離す。そうして、部屋の外の様子を窺う。

「コルネオ様!侵入者です!おそらく神羅軍と――ぐわ!」

部屋の扉に、黒い影が映り――

そうして、そのまま、ドアが蹴破らた。そこにいたのは、

 

「くそ!ソルジャーか!神羅め、裏切りよったな!」

下半身を露にした情けない姿のまま、後ずさりをすることしか出来ないコルネオ。

ソルジャーを前にすれば、当然だ。

人間兵器と呼ばれる神羅の兵士、ソルジャーであれば、ただの金があるだけの中年男など

素手でも簡単に首を切り落とすことができるのだから。

 

「…神羅が裏切ったんじゃない。俺が、家族を探しにきただけだ。」

 

 

低い声が、部屋に響く。

その声はまだ、若いけれど。凄まじい迫力があった。

少なくとも、その声だけでコルネオは震え上がってしまうほどに。

「金髪の子が、ここにいると聞いた。吐け。吐かないなら、」

 

「な、なんだ…」

「切り落とすぞ、このスケベ野郎。」

そう言いながら、そのソルジャーと呼ばれた男は、クラウドの倒れているベッドへと歩み寄る。

「こんな小さな子まで、てめえは外道か…。」

 

許せねえ、と舌打ちしながら、クラウドの体に彼の軍コートをかける。

クラウドは、もうコルネオに抑えつけられていない。

起き上がることもできたはずなのに…クラウドは、ベッドに臥して体を丸めたまま、動かなかった。

動けなかった。

 

コートから香る、男の匂い。

そして、この声。

「もう、大丈夫だ。恐かったろ。」

そう言って、そっと髪を撫でてくるその手。それは、間違いなく――

 

「金髪なんて、そ、そいつしかおらんわい!ここらじゃ貴重なんだ、俺はクラウドしか、」

「―――え?」

男が、大きく息を飲んだのがわかった。

頭を撫でていた手が、小さく震え出す。

 

 

 

「……………おい、オマエ……」

兄に見られるぐらいなら、いっそ。いっそ、死んでしまいたかったのに――…

 

 

 

 

「くら、うど?」

 

 

 

 

 

 

――ねえ、ザックス。

お菓子の家には、入れない。

だってもう、俺はこんなにも汚れてしまったから。

本当は、

 

最初に裏切ったのは、俺のほう。

お兄ちゃんを好きになって…ごめんね。

 

 

 

 

 

 

 

NOVEL top

C-brandMOCOCO (20091228

コルネオのキャラって、シリアスシーンをぶち壊しますよね!

 

 

 

 

 


 

 

inserted by FC2 system