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*ご注意

1.「お菓子の家で暮らそうか。」 その後のお話。相変わらずシリアスです。

2 BLはもちろん、近親相姦等、非道徳な要素が多いのでご注意ください。

3.かなり露骨な性描写が入ります。18歳以上の方の閲覧推奨。

 

 

お菓子の家で暮らそうか。

<in the CANDY HOUSE-V>

 

 

「ザックス――」

 

その名を呼んだ瞬間、ザックスに組み敷かれて。

柔らかすぎるベッドは、二人分の体重を乗せてクラウドの小さな体を沈めた。

無我夢中で、二人――互いの唇を貪る。

 

…ばかみたい、だけど。

もしかしたら二人は、前世で恋人同士だったのかもしれない、と。

気が遠くなるほどの深いキスを受けながら、そんなことを考えていた。

前世で報われぬ恋をして、離れ離れになって。

だからこそ、今度は絶対に離れぬように――兄弟という、この上ない絆を持って生まれてきた。

 

その絆を、今、捨てようとしている。

 

 

 

 

 


 

「…ザックス、お願い。」

「ん、なあに?」

まるで、子供を可愛がる父親のような。そんな優しい声色。

 

「………………さっきの続き、……………………して。」

そのクラウドの精一杯の誘いに、ザックスは目を丸くさせる。

 

「でも、さすがにあれ以上は…」

「あれじゃ、意味ない。」

「でも、痛いだろ?」

「そんなの、もう慣れてる。」

「…そういう言い方、すんなよ。」

「だって、本当のことだから。こんな体、」

ザックスが、眉間に少し皺を寄せた。

 

「いくらお前だって。お前のこと、悪く言うのは許さない。」

 

ザックスは、優しい。

けれど、どんな言葉をくれたって、事実は変えられない。

もう、数えきれないほどに、コルネオに体を汚された。

…コルネオだけじゃない。その部下達に、集団で暴行を受けたこともある。

そういうときは、必ずコルネオには言うなと、きつく命令された。

言うわけがないのに、口止めだと言って、無駄に殴られ辱められて――

 

「コルネオだけじゃ、ないんだよ。」

「え?」

「それ以外にも、相手することはあった。」

「クラウド…」

「一番最初のときなんか、五人相手に、」

「クラウド!」

 

もういいから、と体を包まれるように抱き締められて。

彼の舌によって、そっと目尻の涙を掬われたとき、自分が酷い顔で泣いていることに気付いた。

「んな顔で泣かれたら……」

慰めたくなる、と。

彼の優しさに、付け込むことになるのだろう。…それでも。

 

 

 

 

彼に、汚されたい。

 

 

 

 

どうしようもなく、そう切望して。泣きじゃくりながら――

ザックスと位置を入れ替えるようにして、彼に乗りかかる。

けれど、彼の胸の中は思いのほか広くて、

組み敷くつもりが、抱き留められるような形になってしまった。

 

ザックスの腹の上で、自らのバスローブの紐をほどき、素肌を晒す。

汚れた体をザックスに差し出す自分は、なんて滑稽なんだろう。

「一回だけ、でいいから…お願い、」

泣きながらザックスを乞う自分は、どれだけ卑怯なんだろう。

「おねが…い、中、いれて…」

こんなことを言えば、ザックスを困らせるとわかっているのに。

 

「ザックスの…いれて―――」

 

ザックスは眉を下げて、辛そうな顔をする。

…拒絶されたのだろうか。

そのクラウドの不安を追い詰めるように、ザックスの言葉が重なる

「駄目だ。」

はっきりと言葉にされ、言いようのない後悔に襲われた。

 

 

 

弟のくせに、実の兄を求めたりするんじゃなかった。

汚れきったこの体を、最愛の人に見せるんじゃなかった。

 

 

 

 

 

「…ちゃんと慣らしてから、な?」

 

ザックスの腕が、クラウドの後頭部に回される。

そうして頭を引き寄せられて、噛みつくようなキスをされ――

唇が重なったまま、気付けばまた位置を変えられて。

結局、自分がまたシーツの上に、抑え付けられていた。

 

「あのヒヨコのクラウドが、俺に襲いかかるようになるなんて。本当、嬉しい想定外。」

ザックスは、ほんの少し意地の悪い笑みを作って、しつこくキスを繰り返す。

ついばむようなキス――これは、もしかしなくても。

「うーん、親鳥になった気分!」

「ばか!」

また雛鳥の餌付けをイメージされたらしい。

悔しくて恥ずかしくて、思わずそっぽを向いてしまう。

 

そのとき、ザックスの体がふわりと浮いて。

――――離れていく体温。

ベッドから降りてしまったザックスに、もしや、彼に興味を失せられたかと不安になった。

ザックスの方を恐る恐る見やると、彼と目が合う。

「こっち、見るなよ。」

彼らしからぬ、冷たい言葉。

「今、俺も脱ぐから。覗くなよ?エッチ!」

「ふざけんな!バカザックス!」

 

一瞬でも、嫌われたかと不安に駆られた自分が、馬鹿みたいだ。

(でも…たぶん、)

ザックスは、クラウドの気持ちを軽くしようと、冗談を言ってくれているだけ。

ザックスに言われた通り、彼の方に視線をやらず、ベッドの上で丸くなっていた。

シャツを脱いでいく衣擦れの音、ベルトを外す金属音、ボトムのジッパーを下げる音。

それに、それらの衣服を、躊躇なく床に投げ捨てる音。

 

 

「お待たせ。寂しかった?」

 

 

なんて――そんな馬鹿みたいなこと、あるわけない。

服を脱ぐその少しの間、放っておかれたぐらいで。

そう思うけれど、寂しさを感じたのも事実で。…自分はどれだけ、甘えたなのだろうか。

 

 

 

きっともう、一分一秒だって、離れられない。

 

 

 

「寂しかった。」

え、っとザックスが目を見開く。

「本当は、ずっと………」

その言葉の意味を理解したザックスが、切なそうに眉を寄せ、唇を落としてきた。

今度は、雛鳥の餌付けなんかじゃない。

かつて繰り返された「おやすみのキス」でもない。

角度を変えて、唇を甘噛みして、舌を絡めて。――それは、きっと恋人同士がするキス。

 

 

 

「じゃあ、俺が慰めてやる。もういいってぐらい、甘やかす。」

 

キスを続けたまま、彼の指の腹が――クラウドのある場所を撫でた。

「ひゃっ…!」

「こんな小さいとこ。ちゃんと解さないと、絶対ケガするだろ。」

その小さな蕾を、指先でちょんちょん、とつついてくるのが。

もどかしくて、恥ずかしくて、

「…や…っ」

 

「………本当に、狭いな。指も、入らなそうだけど…」

独り言のように、ザックスがそう呟く。

そうして指の先だけを、そっと押し込もうとして、躊躇する。

「入るよ。指ぐらい、大丈夫だもん…。」

男に犯された体。ザックスの指ぐらい、簡単に受け入れるはずだ。

 

それなのに、やはりザックスは戸惑いがちに。

もどかしいほど慎重に、そっと指が一本差し込まれ、ひどくゆっくりと奥へ入っていく。

「……っ!」

「クラ、平気?すげえ…中きついんだけど。」

男に幾度となく、貫かれた体。

そうだというのに、ただザックスの指を一本入れられただけで、苦しい。

恥ずかしくて、嬉しくて…呼吸すらままならないなんて。

 

「クラの中、たまんねえ……」

ザックスの唾液で、濡らされたのだろうか。

くちゅくちゅと水音をたてながら、ゆるく指が抜き差しされる。

時折、ぐるりと指全体を回されたり、奥の壁を指先で突付かれたりするたびに、

体中に表現しようのない衝撃が駆け抜けていく。

「ひぁ…!やぁん…ッ!」

ザックスの前で滑稽な自分など晒したくないのに、漏れる声が我慢できない。

 

「可愛い声。すっげー、俺好み。」

「だって、だって…!」

「いいよ。声、我慢しないで。ここ、きもちい?」

「んぁぁあっ!や!そこ、や…!」

ザックスが見つけ出したところを、ぐいぐいと指の腹で押されてしまい、

訳がわからないまま、ただ首を左右に振るしかない。

 

 

 

 

こんな風にされたことなど、一度も無かった。

泣きながら男に奉仕するか、殴られながら突っ込まれるかの、どちらかしかなかった。

セックスが、される側も「気持ちいい」なんて…知るはずもなかったのだ。

「大丈夫?痛くない?」

「ぁ、あ…!ざっくす、なん、で…?」

「ん?何が?」

「きもち、いい、よ……なん、で…?」

これまで、この行為はただ、痛いだけだったはずなのに。

 

「気持ちいいの?良かった。」

ザックスの声が、またいっそう、優しくなる。

「おれ、が…ざっくすのこと、すき、だから?」

だから、こんなにも感じてしまうのだろうか。

彼は少し驚いた顔をして、そしてすぐに嬉しくてたまらないという表情になる。

 

 

 

「それ以上に、俺がクラのこと大好きだから――だと、思うよ。」

 

 

 

自分以上に、大好き≠ネんて、あるわけがない。

だって、これ以上なんて存在しないほどに、この人を愛している。

 

 

 

 

どう言ったら、この気持ちが伝わるのか。

その術をクラウドは知らなくて、ただ目の前の愛する人にしがみついた。

そうしてザックスの腰に足を絡めると、彼が少し戸惑った顔をする。

「クラ、そういうおねだりは、ちょっとやばいんだけど…」

「お願い…はやく、ザックスの、いれ……」

「あーーーーっ!この、ばかっ!」

 

急に怒られて、思わず背中に回していた手を離す。

しつこく強請って、今度こそ鬱陶しがられたのだろうか?

「ごめ、なさ…」

「可愛い!クラウド、やばい可愛い!」

ぎゅうと抱きしめられたかと思うと、ザックスの下半身が持ち上がり、

次の瞬間には彼の前で、両足を広げられていた。

 

「ここも、すっげー可愛い反応。」

 

ぴたりと後肛に、ザックスのモノが押し当てられたのを理解した。

それはすでに硬く猛っていて、先走りに濡れている。

その粘液を、まるでクラウドの秘部に塗り付けるかのように、ヌルヌルと数回滑らされる。

「ひくひく震えちゃってる。」

「や!!」

あまりに、恥ずかしい。

自分で見ることも叶わない場所を、ザックスに全て見られてしまっている。

しかも、彼を欲しがって、体が勝手に震えてしまうなんて。

 

「痛かったら、言って。」

「…言わ、ない。」

痛くてもいい。…ひどくされたって、ザックスならば構わないのだから。

「だめ。痛かったら、ちゃんと言って。…お前に嫌われたら、生きていけねえよ。」

 

ザックスは、なんて見当違いの心配をしているのか。

「痛くても、殺されても、いい。ザックスなら、いい。」

「そういう口説き文句、どこで覚えてきたの?」

ザックスが少し照れくさそうにして、頭をかく。

「…お前が泣いて嫌がったって、もうやめられないからな。」

ザックスは、そう言うけれど。

きっとクラウドが泣いて嫌がれば、やめてくれるのだろう。

やめてしまうとわかっているから、絶対に痛い≠ネんて言いたくないのだ。

 

 

 


 

「…あ…っ!」

少しずつ、少しずつ。

けれど確実に侵入して来るその肉塊に、思わずクラウドの腰が引けてしまう。

「あ、あ…!」

こんなに、男のそれは大きかっただろうか。

こんなに硬くて、熱かっただろうか?

メリメリと、狭い腸壁を割り入るようにして、奥へ奥へと入ってくる衝撃――

逃げるつもりなどないのに、無意識に逃げ腰になってしまう。

 

ベッドの上へ上へとずり上がって、ついには大きな枕が行き止まりを知らせる。

ザックスも引くつもりはないらしく、クラウドの中を、なおも侵入してくる。

「や…っ!」

「枕で、行き止まりだな。」

ザックスは、困ったような、嬉しいような。

そんな優しい表情で笑いながら、枕で逃げることの出来なくなったクラウドの腰を持ち直し、

ぐっと奥深くに突き入った。

 

 

「やああん!」

 

 

奥に、当たってしまった。

奥があるのかどうかなんて、よくわからないけれど。

ザックスがこれ以上ないほど、奥深くに入ってきてしまったのは間違いない。

クラウドの尻には、ザックスの茂みが当たっている。

あの彼の巨大なモノが、全て自分の中に入ってしまったのだと理解した。

「く……!きつすぎ、る…っ」

苦しそうな顔をされて、もっと緩めてあげられたらと思うのだけれど、うまくいかない。

ザックスが中にいると思うだけで、体が勝手に締め付けてしまう。

 

だって、こんなにも、

 

「だって…すき、なんだもん。」

え、と驚くザックスの体温が、更に熱く上昇したような気がした。

 

 

 

「離したくないんだもん――…」

 

 

 

ぎゅ、と。体がまた勝手に、ザックスを締めつけてしまったときだった。

腹の中で、彼自身がびくんと波うち、さらに体積を増す。

「あ、ぁぁ…!?あ…!」

「こっちの台詞だっての…この、」

「やあん!や!あぁぁ…っ!」

 

急に腰を動かされて、クラウドから喘声が漏れる。

ただ入っているだけで、ものすごい衝撃だったのに。

それを抜かれたり突かれたりするのだから、もうわけがわからない。

ザックスのものが抜け出てしまいそうなほどに腰をひかれ、その後すぐに突きたてられる。

奥を勢いよく貫かれるたびに、そのまま突き破ってしまいそうな気さえした。

…いっそ、突き破ってくれないだろうかと。

 

「クラ、クラ、」

クラウドの名を繰り返し呼びながら、その肉壁の感覚を味わおうとしているのか、

腰をぴたりとくっつけたまま、ぐるりと中を思い切りかき回す。

「ああああ!だめ!だめ…っ」

中をかき乱すたびに、結合部からはぐちゃぐちゃと卑猥すぎる音が響き、

どちらのものともわからない愛液が、クラウドの尻を伝ってシーツへと落ちた。

「クラのナカ、やばい…なんだこれ、」

「やああああ!おにいちゃ、」

そう、思わずザックス――兄を呼びそうになったとき、

 

「きゃあん!」

再び、思い切り奥を貫かれて、悲鳴に近い声が出てしまった。

そうしてそのまま、呼吸もままならないほどに激しく腰を打ちつけられる。

「お兄ちゃん、じゃない…だろ?」

「おに、ちゃ…ああん!あんっ!はあん!」

「お兄ちゃんじゃないって言ってんの。」

優しい声は相変わらずだけれど、少し不満そうなザックスの声。

だけど、あまりに激しく求められて、思考がまとまらない。

何を言われているのか、何を責められているのか―――

 

「死んじゃ…おにいちゃん、しんじゃう…!」

この快感の先には、何があるのだろう。

クラウドは、知らない。

男に体を貫かれて感じたことなど、一度だってなかったのだから。

 

這い登ってくる感覚が恐くて、思わず目の前の兄に助けを求める。

「おにいちゃん、おにいちゃん…!」

するとザックスの指がクラウドの頬をそっと撫で、顎を捕えた。

 

「お兄ちゃんじゃないって言ってんのに。そういうこと言う口は、」

塞ぐしかないな、と。

唇を貪られ、力強く肩を抱かれたまま。体を揺すられた。

「ん、んんんん!」

息ができない――そう抗議するように、ザックスの胸を押し返すけれど、

その手を握られて、また揺すられる。

 

「ふ…!ん、くるし…!」

空気を求めて唇を開くと、ザックスの舌が迷いなく入りこんできて、口内を侵される。

唇も、下半身も、どちらの結合部からも濡れた音が止めどなく漏れ、クラウドの鼓膜を犯していく。

こんな深いキス――どうしたらいいのだろう。

どうしたらいいのかわからなくて、遠慮がちに舌を絡ませてみると。

これ以上は無理だろういうほどに大きく膨らんだ腹の中の熱塊が、更に猛り狂って硬度を増す。

そうして、もはや凶器といえるそれの先端が、あろうことか――

ぐりぐりとクラウドの奥深くの壁を小突く。

 

「いやっ!いやっ!いやぁっ!」

 

瞬間、たとえようのない快感が全身に走って、馬鹿みたいに泣き喚く。

「そこ、やだ!やだぁっ!、おにいちゃ…っ!」

「ちょ、待って、マジでやばいって!締めすぎ!…そんなにここ、好き?」

そこはダメだと訴えているのに、ザックスはその場所にしつこく熱塊を押し付けてくる。

 

ゴリゴリッ!

 

それこそ、執拗なほどに――気が、遠くなる。

「あっ!あっ!ダメ、もうダメ!助け…っ」

「お前、なんでそんなに可愛いの?」

クラウドの口の端からだらしなくこぼれる涎を、ザックスは何度も何度も舐め取り、

愛おしそうに目を細めてみせる。

―――それが、あまりに甘すぎる表情で。

 

「俺も、もう、だめかも。中、いい?」

「…?」

言ってることの意味が理解できずに、ただザックスを見返すと、言い直す。

「中、汚してもいい?…えっと、中に射精してもいいかってこと、なんですが。」

ようやく意味を理解して、こくこくと頷いた。

それを、他でもないクラウド自身が、強く望んでいる。

強制ではなくて、自分の意思だということをわかってもらいたくて。

「お願い、中、よごし」

そう言葉にしようとしたとき、「それ以上言うのはだめ!犯罪的に可愛いからだめ!」と

慌ててザックスに止められる。

 

余裕のない彼が、嬉しい。

互いに溺れて、滑稽なほど愛し合う二人――それが、嬉しい。

 

 

 


 

「な、クラウド。お兄ちゃん、じゃなくってさ。呼んで?」

「…え?」

 

 

「―――ザックスって、呼んで。」

 

 

今、この瞬間に。

二人は、何か大きなものを失うのだろうと、そう確信があった。

失うものは、あまりに大きい。

 

 

 

 

兄弟という、繋がり。それは、無条件の絆――――

 

 

 

 

だけど、それを知っていてもなお、

「ざ、くす…」

「うん、クラウド。」

 

血という繋がりを失っても、構わない。

兄弟という、未来永劫変わることのない「絆」を失っても。それでも。

 

ずっと、ずっと前から。

欲しかったのは、兄弟愛を超えたその先にある、愛だった。

それはきっと、綺麗なだけではなくて、ときに濁って、醜く歪むこともある。

けれどきっと、何より根深い。深い、深い、繋がり――

それが、欲しいから。

 

 

 

「ザックス…!!」

 

 

 

愛する男の名を叫んで、彼に全身で抱きつく。

ザックスはその小さな体を当然のように抱き留めて、そして当然のように求める。

「あっ!あぁっ!?あ、だめ、ほんとに突き破っちゃ…?!」

「ここ、クラウドの一番奥だな。やっと、」

 

 

 

やっとたどり着けた、とそう囁く声。

 

 

 

「ふあ!ぁッ!んあ…っ!!」

「クラウド、クラウド…ッ!」

パン!パン!パアンッ!―――――ズンッ!!

とどめとばかりに奥の奥を叩かれて、最後に一際、深く貫かれた瞬間、

目の前が、白い世界へと変化した。

「あ…はぁぁああん!!」

「く…っ!」

 

 

クラウド自身が弾けたのとまったく同時に、

控えめな呻き声とともに、腹の奥深へ、熱いものが勢いよく注がれる。

それはクラウドの最奥の壁に当たって、逆流していく。

 

「ごめ、まだ、出てる…っ」

 

ぶるりと震える、ザックスの腰。一度ではなくて、幾度となく放たれる愛の印。

ザックスが眉間に皺を寄せるその表情――それらが、たまらなく好きだと思う。

そう思っていると、ザックスと目が合った。

それが恥ずかしくて、思わず目をそらすと、ザックスが言う。

 

「目、そらさないで。俺のこと、ずっと見てて。」

 

「…ざ、く…、」

いまだに、ナカに注がれ続ける熱。

クラウドを見つめ続ける、その視線。

それに応えるように、なんとか見つめ返そうとするけれど、瞼が重い。

 

一生、こうしていたいなと思った。

一生、この人を見ていたいと。

 

もっと、見ていたい、のに。

瞼の重さに耐え切れず、そのまま―――

 

 

 

 

 

 

 

 

誰も到達できないほど奥深くへ、入り込んでいく熱、言葉、想い。

 

彼によって汚されているのか、清められているのか――

わからない。…わからない、けれど。

 

「クラ?寝ちゃった?」

ただわかるのは、今、この体が愛しいということ。

 

「…愛してるよ、クラウド。」

愛する人の腕の中で、愛する人の色に染まったこの体が。

 

「愛してる。」

彼の、愛する存在が。

 

 

 

 

 

 

 

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C-brandMOCOCO (20101024

R30という、今までにない試みw

兄ちゃんゴンガりすぎです。

 

 

 

 


 

 

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