C-brand

 

 


 

 

 



 

 

 

【 ご 注 意 】

*「美 女 と 野 獣」 パロディです。とかいって、原作童話どこいった。

*かなり露骨な性描写あり、18歳以上の方の閲覧推奨。

*ザックスが、最初ちょっと?かなり?鬼畜気味です。ごめんなさい…

*のんびり、亀更新。

 

人々は皆、彼をこう呼びました。

―――化け物、

 

Story2.暗闇に棲まう者

 

 

「――オマエは、誰だ。」

 

 

暗闇に浮かぶ、不思議な青い灯を、クラウドはただ見つめていた。

「お前は誰だと聞いている。…マントを外せ。」

雪を避けるためのマント、それを外して正体を見せろという男の言葉。

月明かりすらない暗がりの中でも、唯一闇に融けないその「青い灯」に思考を奪われて――

クラウドは、男の指示に従うことを忘れてしまった。

 

ドカッ!!

 

「げほっ、げほ…っ!」

次の瞬間には、何かすごい衝撃を腹に受けて、再度床に両膝をついていた。

あの青い灯が、すぐ近くでこちらを見下ろしている。いや、灯じゃない。それは、

(眼…?眼が、青く光ってる…?)

 

バシン!!

今度は右頬に強い衝撃を受けて、床を転がった。

 

 

 

 

殴られたのだ、と理解するのに。どれだけ時間を要したか。

 

 

 

 

今、ここで初めて出会ったばかりの何者か―――

おそらくは城の主であろうその男に、ほとんど言葉を交わす間もなく殴られたのだ。

おかれている状況を理解しても、いったいどうしてそんな仕打ちを受けているのかわからず、

クラウドはただ茫然とするのみ。

言葉ひとつ発することは出来ず、抵抗をすることも忘れていると、床に強く頭を押さえつけられる。

 

 

 

 

「ふつーの人間が、俺を殺せるって?」

 

 

 

 

「え…?うあっ!」

ガン!

「い、いた…っ!」

ガン!ガン!

男のアーマーブーツと思われる重量感のある靴裏で、何度も頭を踏みつけられる。

「賞金稼ぎか?それとも騎士団か?」

「ぐぁ…ッ、ち…」

「金に目がくらんで、俺を殺しにきたんだろ?」

「ちが、う…っ」

「だったら、もっとガッツみせろよ。」

「俺、は…」

 

 

 

 

「なあ、殺してくれよ―――殺せるもんならさ。」

 

 

 

 

ほとんど何も見えない暗闇。

いつ、どこから男の拳がとんでくるのか…クラウドには全くわからない。

だから当然、受け身をとることも構えることもできない。

無抵抗のまま、男に顔や体を殴打され、口内には血の味が広がった。

「殺してくんないなら、」

男に首をわし掴まれる。

 

 

 

 

「……オマエが、死ぬぜ。」

 

 

 

 

体が宙に浮く――

男に投げ飛ばされたことを理解したのは、螺旋階段を転がり落ちているときだった。

「い、た…」

体中を強く打ち、階段の下でその痛みにもがいていると。上の階から声が聞こえる。

 

「消えろ。二度目はない。」

遠くにあの青い『眼』が見える。男は追ってこないようだった。

膝が震えて、うまく歩くことができない。

 

 

 

 

クラウドは体を引き鶴ずるようにして、そのまま城のエントランスへと向かう。

男はもはや侵入者であるクラウドに興味を失せたのか、城の奥へと戻っていく。

遠ざかっていく男の足音を聞きながら、玄関の扉へと手をかける。

そうして、入ってきたときに開け放したままだったそれを、そっと閉めた。

――ガチャリ。

内側から、太い鎖の鍵をかける。

 

 

 

「帰るもんか。」

 

 

 

遠のいていく足音が、ぴたりと止まった。

「俺は、絶対に帰らない。…帰れない。」

クラウドが村に戻れば、再び村の中は混乱に陥るだろう。

化け物の崇りに怯え、いつ襲い掛かるかもわからない死病に怯え続けるのだ。

そうしてクラウドはきっと、村の厄災として非難され…家を燃やされてしまうかもしれない。

――母の命だって、どうなるかことか。

 

「…誰だ?オマエは、」

 最初と同じ質問をされる。ただ、今度は純粋に『疑問』としての聞き方だった。

 

 

 

 

「生贄。……アンタの、ごはんだよ。」

 

 

 

 

そう言って、かぶっていた黒のマントを外す。

男が、息を呑んだのがわかった。

「……オマエ、女?」

もしかすると男は、暗闇でも夜目が利いているのだろうか。

こちらが見えているかのような言い方だった。

「俺は男だ。今度俺を女扱いしてみろ、二度目はない。」

男の言葉を真似て、強気にそう返す。プライドの高さは元来のものだ。

 

「…男、なのか。その顔で。」

「なんだよ。男は、生贄にはなれないのか?」

腹が膨れるならば、男も女も変わりはしないだろうに。

「……生贄、ね。いいや、」

 

 

 

「オマエなら大歓迎だ。―――ようこそ、」

 

 

 

男が、はは、と声を上げて笑った。

その瞬間、背筋が凍るような悪寒が走る。

男の表情は見えないけれど、それはひどく冷たく、そして不気味に渇いた笑いだった。

目の前のクラウドを、嘲るかのような。いや、むしろ…男自身を、嘲るかのような。

 

 

 

 

「…ようこそ、化け物の胃袋へ。」

 

 

 

 

 

 

   


 

 

 

食われる、という意味が。どういう意味か、わかっていなかったから。

そのとき≠ワで――あくまでこれは男の食事なのだ、と。そう認識していたのだ。

 

クラウド自身、野獣の存在については半信半疑ではあった。

けれど実際こうして、ニブル山の古城に棲みついている『何者か』と会い、話をして。

そうして男は自身を『化け物』と表現した。

男の姿カタチは見えないけれど、この凶暴さ、それにとうてい普通の人間とは思えない腕力…

それ以前に、人の肉を食らう者を、『普通の人間』と呼ぶことなど出来ないだろう。

 

では何者なのか。

村人が噂をするように、本当に数百年もの間生き続けている、人外の化け物だというのか。

村を襲った恐ろしい病は、本当にこの男の仕業だというのか。

 

 

 

自分がこの『野獣』に食われれば、村は助かるのか?

 

 

 

何が正しくて、何がそうでないのか――

男の舌が首すじの辺りを彷徨うたびに、襲いくる恐怖であるべき判断力がなくなっていく。

村を出たときから、命を捨てることを覚悟していた…。だけど、恐いものは恐いのだ。

せめて、生きたまま食らわれるのは避けたい。いっそひと思いに殺してほしい。

 

でも、男はそうしない。

 

まるで、ひどく焦らすかのように。体中を熱い舌が這い回る。

男の熱い息が肌にかかるたびに、ついに食いちぎられるのかと歯を食いしばるけれど、

その犬歯がクラウドの肌を食いちぎることはない。

 

「…オマエ、本当に男だったんだな。」

「……っ!」

 

火の明かりも、温もりもない。冷たいだけの部屋に投げ込まれて。

全ての服をむかれ、相手の姿は全く見えぬまま…言いようのない恐怖にかられる。

せめて何かにすがりつきたい衝動に駆られるけれど、クラウドの両の手は頭上で固く縛られていて

自由が利かない。両の足は男の強い力によって大きく開かれ、押さえつけられている。

 

何も見えない。手足も動かせない。目の端から零れ落ちる涙を、拭くことすら出来ない。

 

男が、クラウドの腿の内側に食らいつく――

肌に歯をたてられたこのとき、ああ、ついに肉を食いちぎられるのだ、と。

目を固く瞑って、そのときを待った。

 

でも、男の歯がクラウドの肉を食いちぎることはない。

代わりにクラウドを襲ったのは、他の衝撃――

「な、に…?な、」

「なんだと思う?」

「え…なに?やだ…なにして…!」

 

ぬるりと。生温かいものが、あろうことかクラウドの尻の穴に触れる。

それが入口付近をぐりぐりと動き回り、執拗に弄り回され…

「なに?!なんでそんな…やだっ!離せ!」

食われるのは覚悟していた。だけど、こんな辱めは想像もしていなかった。

―――男の舌で、尻を舐められるなんて。

 

「やだ!たすけ、助けて!」

 

村を出たときに、死を覚悟していた。屋敷の扉を閉めたとき、どんな痛みも受け入れるつもりだった。

だから絶対に無様に命乞いなどしないし、情けなく泣きわめいたりもしない。

そう、思っていたのに――想像もしていなかった男の仕打ちに、

気付けば必死に首を横に振って助けを求めていた。

「誰か…っ、助けて!」

 

 

 

 

「誰が助けてくれるんだよ。」

 

 

 

 

くっと、男は笑った。ひどく冷たい笑い声だった。

「オマエさぁ、もしかしてわかってねえの。」

「…な、にが?」

すがるように、男に聞き返す。

「オマエは、村の連中に売られたんだぜ。自分の身の可愛さにさ。」

「違う、だって、みんなは、村のために…っ」

みんなは、村を、家族を守りたかった。

クラウドとて、守りたいものがあったから、だから自ら「生贄」になることを受け入れたのだ。

「オマエ、俺が一番嫌いなタイプだわ。」

ぐっ、と尻の中心に何かが宛がわれる。今度は男の舌ではない。

何か熱く、硬い、凶器のようなものが――

 

 

 

「誰かのためって言うけどさぁ。それって結局、」

自分のためじゃん、と。男の言葉と同時に、尻の入口を割り入ってくる凶器。

 

「う、うそ…やだ…やだ…やめ…や――ッ!!!」

 

ズブズブと、少しのためらいもなく突き進む熱の塊。

いったい、何が起きているのか。これはいったい何なのか。

答えはひとつしかない、だけどそれを認めることはできなくて、クラウドはただその答えを否定した。

でも、それは容赦なく奥深くへと突き進む――

「ひぃ…っ、ひ、やめ…」

腹が膨れるのではないかと思うほどに、クラウドの腸壁をこれでもかというほどに広げて入ってくる。

 

「へえ、綺麗な色だと思ったけど。まさかここに挿れられちゃったの、初めて?」

「い、いたい…っ!…いたいよ…!」

「すっげえ可愛い顔してんのに。よく今まで突っ込まれなかったな。」

男がずるりとそれを抜きかけ、許してもらええるのかと期待したのも束の間。

次の瞬間には、勢いよくそれを突きこまれてしまう。

 

ズン!

「いぁぁあっ!やめ、やめて!」

やめてくれと訴えるたびに、それはますます勢いを増し、無慈悲にも抜き差しが繰り返される。

ズチュ!ズチュ!

粘膜が絡み合う、濡れた音。それに暴力のように肌と肌がぶつかる音。

これは、考えたくないけれど、どうしたって認めたくはないけれど――

「せま…食いちぎられそう、」

「ひいっ!」

 

男がたまらない、という風に息をひとつ大きく吐くと。

わし掴むように腰を持ち直し、乱暴に揺さぶられる。

中を抉る熱、削り取られるように擦られる感覚、奥を押し上げられたときのなんともいえない衝撃。

ズチャズチャ!とそれが抜き差しされる卑猥な音と、肌を叩く乾いた音が部屋中に響く。

石作りの部屋なのか、音の反響は大きく、それが言いようのない羞恥を生む。

 

パンパンパンパン!

 

「なんだっけ、オマエの村のばかばかしい話。」

「あ…っ!ふ、ん…!」

「野獣に、清らかな処女の体を捧げろってやつ。野獣は、処女の体を腹いっぱい食って…」

「んあっ!んぁあ!」

「そんで、俺はどうしたらいいの?オマエを殺せばいいの?なあ、」

「あ…っ!はぁん!んぁぁあ!!」

「オラ!オラオラ!」

 

パアン!と勢いよく打ち付けられ、腹の奥深くで何かが弾ける。

「あ、あ、あ…」

「オマエ、最高、だな…」

 

 

 

ずる、と尻から凶器を抜かれたとき、ごぽりと生温かい液体が一緒に流れ落ちる。

「…そして、野獣はまた独り。自分の醜い姿を嘆いて、やがては狂ってしまいました。」

嵐のような辱めが終わり、クラウドにひどい倦怠感が襲う。

朦朧とする意識の中で、男の言葉が聴こえてくる。

「村人たちは、平和に暮らしましたとさ。いつまでも、いつまでも…」

クラウドに話しかけるのではなく。

「めでたし、めでたし。」

男はただ呟くように、そうぽつりと言った。

 

 

 

 

 

「本当、人間って。どーしようもねえ生き物。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

「…おい、起きろ。」

 

頬を叩く衝撃に、意識が覚醒していく。

「か、あさん…?」

ここがどこなのか、自分の状況が理解できない。

「…俺はオマエの母ちゃんじゃねえよ。寝ぼけんな。」

「え…?え?!わっ!」

 

眼が覚めたのは、変わらず暗闇の中――でも雨戸と思しき壁にはまった黒い囲いの隙間からは

わずかに光が漏れていて、今が夜でないことがわかる。

(そうだ、ここは…)

昨夜、クラウドはこの古城に一人でやってきて、生贄となることを受け入れたのだ。

そうして、城の主であろう男に、この石作りの部屋に投げ込まれ、そのまま、

 

 

―――男に、犯された。

 

 

「いたっ…!」

尻の入口は切れてしまったのかしみるし、奥はまだ何か入っているかのような違和感がある。

少し動いただけで、腰に鈍い痛が走り、思わずバランスを崩す。

そのとき、男の体温が自分の肌に触れ、それにおぞましい嫌悪感が走って

「いやだ!」

拒絶の言葉を叫んでいた。

 

寝かされていたベッドから落ちそうになった体を、ただ男の腕によって受け止められたこと。

その事実に気付いたのは、クラウドが男の体ごと、思い切り突き飛ばしたときだった。

 

「………部屋にはシャワーがついてるから、勝手に浴びろ。

俺が部屋から出たら、明かりをつけて構わない。」

「……。」

男の不興を買い、もしや殴られるだろうかと不安になったが、男はとくに憤るわけでもない。

淡々とした口調で、男は説明を続ける。

「ここはオマエの部屋だ。好きに使え。――屋敷の中も、自由に使えばいいさ。

……ただし、雨戸は開けるな。明かりもつけるな。」

「……。」

どうしてそこまで、『明かり』を避けるのだろうか。男の指示はあまりに不可解で不気味だ。

 

 

 

「奥の青い扉――そこは俺の部屋だ。そこに入れば命はない。」

 

 

 

「理解したか」と問われたが、クラウドは沈黙を守った。

それが唯一できる男へ抵抗であり、相手に屈したわけではないという意思表示だった。

返事ひとつしないクラウドに、それ以上何を言うわけでもなく、男は部屋から出ていく。

初めからクラウドの返答など期待していないようだった。

 

男の姿がなくなってから、部屋の中を確認する。

白い石作りの部屋には小さなランプがついていて、それが唯一の照明のようだ。

それ以外には、簡素なベッドと、小さな木のテーブルと一脚のイスのみ。

部屋というよりも、まるで牢のような――無機質な空間。

 

実際、牢なのだろう。クラウドという男の「エサ」を飼うための。

 

シャワールームに入り、体の汚れを湯で流す。

浴室の明かりは心細いほど微かなものであるが、クラウドの肌に無数の痣がいくつもできていて

タイルを流れる湯に血が混じっているのがわかった。

 

 

 

 

恐い。

 

 

 

 

なんて、無知だったのだろう。考えてもみなかった。

――まさか、男の体でありながら、こんな辱めを受けるなんて。

さんざん男に殴られて、罵倒されて。

自分で触ったこともない場所をすり上げられ、あんな忌まわしいものを突きこまれて。

…気が、遠くなるような痛みだった。それに、気が遠くなるほどの屈辱感。

 

 

恐くて、恐くて、憎かった。姿見えぬその男が。―――野獣が。

 

 

 

これで、終わりではない。

またあの男に犯されるのだろうか。

…男が自分に飽きて、本当の意味でこの体を「食らう」まで。

きっと、何度でも。

 

 

 

 

 


 

 

シャワールームから出ると、小さな木のテーブルの上に食事の用意がしてあった。

焼けたパンと、フルーツサラダ、それにコーヒー。

まさか、男が自分に用意したものなのか。

野獣の『エサ』に、『餌』を与えるなんて、なんて悪趣味なのだろう。

 

(食欲……ない…。)

何も食う気がわかない。

温かいコーヒーを一口だけ口にして、しかしその苦みにそれ以上は受け付けず、

部屋の隅の小さなベッドの上で、毛布にくるまっていた。

着ていた服は男に破かれてとてもじゃないが着ることはできない。

外は相変わらず吹雪いているだろうに、着るものもなく、暖炉もストーブもない部屋ではあまりに寒い。

 

 

 

 

 

数時間が経ったのだろうか。ふ、と明かりが消えた。

 

それと同時に扉が開き、男が部屋に入ってくるのがわかる。

ランプに触れることなく、いったいどうやって消したのか。

 

「……飯、食わないのか。意地を張っているつもりか?」

「…………。」

「また、だんまり…ね。無理にでも、口を開かせてやろうか。」

男に脅され、慌てて答える。

「お腹、痛い…から、食べられない。」

ひどい疲労感もあるが、それ以上に腹が冷えたのか、下腹部が痛む。

 

「…オマエ、中洗ってないのか?」

「え?」

「次からは、ちゃんと掻き出して洗えよ。また腹壊すぞ。」

 

男の言葉の意味がわからないが、男は一度部屋から出ると再び戻ってくる。

その手に何か持っているようだが、部屋の暗さからよくわからない。

一瞬、男の手の中がきらりと光った。

 

そうして、緑の淡い光が、クラウドの体を包み込んだ。

瞬間、腹の痛みが消えていく――

「これって、まほう…?」

本で読んだことがある。

男の手が光ったときに見えたのは、たしかにマテリアと呼ばれるガラス珠のようなものだった。

『マテリア』――それはいわゆる『魔法』という術を発動させる際の、媒体となる石だ。

傷を治癒したり、時間を操ったり、火や氷、風や雷を生みだしたり…

力ある術者が使えば、あらゆることを可能にする。人を死に至らしめることでさえも。

 

 

「リジェネだ。それと、これ飲んどけ。」

 

 

男に強引に渡されたカップからは、温かい湯気と嗅いだことのある香りがした。

それは、腹下しに効果のあるハーブの匂い――…

「…母ちゃん母ちゃんって泣かれたら、面倒くさいからな。俺は、ガキが嫌いなんだ。」

男は、さも興味なさそうにそう言って、部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

 

ニブル山の古城に棲む、「野獣」と呼ばれるその男――

男が果たして村人のいうように「化け物」の姿をしているのかはわからない。

ただわかるのは、男は不思議な力を宿すマテリアを所持しているということ。

そうしてそれを操る術者であること。人の力の及ばない力を持っていること。

 

彼は人間を嫌い、憎み…周囲から隔絶されたこの城を棲みかにしているらしいこと。

 

そこは、少しの明かりもない暗闇。

男はわずかな光も疎み、その姿を絶対に見せようとしない。

周囲から切り離されたその空間は、まるで檻のようでもある。

何者の侵入も許さず、同時に、自分自身を守るための檻。

 

この屋敷も、男の心も、

それは少しの光も存在しない、真の暗闇だった。

 

 

 

愛しい、俺の野獣――

 

真っ暗な世界で、本当は何を考えていた?

独りが怖いと泣いていたんだとしたら、

アンタこそ泣き虫な子供じゃないか。

 

ねえ、そこから出ておいで。

 

 

 

 

 

  

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C-brandMOCOCO (2012521

ザックスが鬼畜…になりきれなず、どーせそのうちデレます。

 

 

 

 


 

 

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